SDGsとは?17つの目標や日本の取り組み状況、企業のメリットをわかりやすく紹介

SDGsという言葉を、普段の生活で耳にすることが多くなりました。また一般の人々だけではなく、企業としてもSDGsに取り組むケースが年々増えてきています。
本記事では、今後SDGsに取り組むことを検討している企業担当者の方向けに、SDGsの17の目標や日本企業の取り組みなど基本を解説。また、SDGsに取り込むことでの企業のメリットや、実際に取り組む際の手順を紹介します。

SDGsとは

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年9月に国連本部にて採択・決議された世界共通の目標のことをいいます。

当時アメリカのニューヨークで開催された「国連持続可能な開発サミット」では、人と地球の繁栄のための行動計画として目標が掲げられました。そのなかで、「17の目標」と「169のターゲット」からなる成果文書が作成され、2030年までに世界が達成するべき「ゴール」が宣言されました。この17の目標と169のターゲットを合わせたものが、SDGsと呼ばれています。

SDGsは、私たちが暮らす社会や地球環境をより良いものにしようという宣言です。その内容は、環境保全に限らず、教育・貧困・ジェンダー・飢餓など人々の生活に欠かせない17の領域において設定されています。

SDGsとMDGsの違い

SDGs(持続可能な開発目標)は、その前身であるMDGs(ミレニアム開発目標)の内容を引き継ぎながら作成されました。MDGsが8つのゴールと21のターゲットだったのに対して、SDGsでは17のゴールと169のターゲットと、カバーする領域を大幅に拡大しています。

開発目標に含む領域が広がった理由に、目標の対象と、目標達成に向けて取り組む主体の拡大があげられます。MDGsは、主に発展途上国を対象に目標を設定していました。SDGsは、発展途上国に限らず先進国も含め、全ての国が取り組むべき目標であると位置づけています。

さらに、目標を達成するためには国の取り組みだけでは不十分であるとしている点も、SDGsとMDGsの大きな違いです。SDGsでは、169のターゲットすべてを達成するには、政府だけではなく、企業や地方自治体、教育機関、そして社会に生きる一人ひとりというように、全ての人に行動を求めています。

SDGsとESGの違い

SDGsとセットで語られる機会が多いものに、ESGがあります。ESGとは「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字をとった言葉で、投資家が投資先を検討する際に、重視するべき項目として提唱された投資概念です。

このことから、ESGを考慮した投資は「ESG投資」と呼ばれます。自然生態系の配慮、生物多様性の保護、気候変動への取り組み、人権への配慮、ジェンダー平等、企業コンプライアンスの遵守など、ESGで重視される項目には、SDGsと重なる部分が多く存在します。行動指針であるSDGsに対して、ものの見方となるESGが合わせて語られやすいのもそのためです。

SDGs17の目標とは

SDGsの17の目標は、人権、経済、社会、地球環境とさまざまな分野にまたがり設定されています。そして、それぞれの目標の下に、ターゲット(具体的な行動と目標数値)が設定されているのがSDGsの構成です。

このターゲットがあることで、抽象度の高い目標の達成にむけ、具体的に何を目指せばいいのか、その指針と達成するべき数値が共有できます。また、それぞれのゴールのなかには、ターゲットとあわせて「その目標を達成するのに必要な方法」が記載されています。

1.貧困をなくそう

「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」という目標が掲げられています。設定されたターゲットは5つあり、国際的に定める貧困ラインを下回って生活する人々をなくすことや、それぞれの国で貧しい人や弱い立場にいる人が十分に守られる仕組みづくりや対策を施すことが記載されています。

2.飢餓をゼロに

「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは5つあり、2030年までに飢餓を撲滅すること、5歳未満の子どもの栄養不良を解消し、若年女子・妊婦・授乳婦・高齢者の栄養ニーズに対策をすること等が記載されています。

3.すべての人に健康と福祉を

「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは9つあり、有害化学物質の大幅な減少や薬物乱用やアルコールなどの物質乱用の防止・治療の強化、エイズやマラリアなどの伝染病の根絶、妊産婦の死亡率の削減が記載されています。

4.質の高い教育をみんなに

「すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは7つあり、男女の区別なく、すべての子どもが質の高い初等教育・中等教育を修了できることや、大学など高等教育への平等なアクセスが記載されています。

5.ジェンダー平等を実現しよう

「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは6つあり、あらゆる場所での女性・女児に対する差別の撤廃、人身売買などのあらゆる場所での全ての女性・女児に対する暴力の排除が記載されています。

6.安全な水とトイレを世界中に

「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは6つあり、全ての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスや、汚染の減少等による水質改善が記載されています。

7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに

「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは3つです。2030年までに、安価で信頼できる現代的エネルギーへの普遍的アクセスの確保、再生可能エネルギーの割合の増大、エネルギー効率の改善が記載されています。

8.働きがいも経済成長も

「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは10個あり、一人当たりの経済成長率の持続、経済成長と環境悪化の分断、同一労働同一賃金の達成などが記載されています。

9.産業と技術革新の基盤をつくろう

「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは5つあり、持続可能かつレジリエントなインフラの開発や、開発途上国における安価な資金貸付といった市場へのアクセス拡大が記載されています。

10.人や国の不平等をなくそう

「各国内及び各国間の不平等を是正する」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは7つあり、差別的な法律や政策の撤廃、年齢や性別、生涯など状況にかかわりなく全ての人々の能力強化などが記載されています。

11.住み続けられるまちづくりを

「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは全部で7つあり、安全かつ安価な住宅へのアクセス確保とスラムの改善、安全かつ安価で利用できる持続可能な輸送システムへのアクセス提供などが記載されています。

12.つくる責任つかう責任

「持続可能な生産消費形態を確保する」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは8つあり、天然資源の持続可能な管理や効率的な利用、一人当たりの食料廃棄の半減、環境上適切な廃棄物の管理の実現などが記載されています。

13.気候変動に具体的な対策を

「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは3つあり、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力の強化、気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込むことが記載されています。

14.海の豊かさを守ろう

「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは7つあり、あらゆる種類の海洋汚染を防止と削減、海洋酸性化の影響を最小限化などが記載されています。

15.陸の豊かさも守ろう

「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」ことが記載されています。新規植林及び再植林の大幅な増加や、生物多様性を含む山地生態系の保全などが記載されています。

16.平和と公正をすべての人に

「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」ことが目標に掲げられています。

設定されたターゲットは10個あり、違法な資金及び武器の取引の大幅な減少、子供に対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問の撲滅、全ての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率の大幅な減少などが記載されています。

17.パートナーシップで目標を達成しよう

「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」ことが目標に掲げられています。設定されたターゲットは19個あります。開発途上国のための追加資金やODAなどについて記載されています。

SDGグローバル指標(SDG Indicators)|外務省

SDGsの日本政府の取り組み

日本国内では、政府が2016年にSDGs推進本部を設置するとともに、SDGsの貢献を可視化するべく施策の重点項目を整理した「SDGsアクションプラン」を策定。また、SDGsの達成に向けて優れた取り組みを実施する企業や団体を「ジャパンSDGsアワード」を通じて表彰しています。

日本政府のSDGs推進本部

政府が設定したSDGs推進本部は、総理を本部長に据え、全閣僚を構成員とした組織です。年に約2回の会合を開催し、SDGs推進に取り組んでいます。2019年には、SDGsの17ゴールを日本の文脈に再構成した8つの優先課題を設定しました。

8つの優先課題
【人間(People)】
1. あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
2.健康・長寿の達成
【繁栄(Prosperity)】
3.成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
4.持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
【地球(Planet)】
5.省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
6.生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
【平和(Peace)】
7.平和と安全・安心社会の実現
【パートナーシップ(Partnership)】
8.SDGs 実施推進の体制と手段 

また、企業や民間団体の取り組み促進のため、官民パートナーシップを重視。国際機関やNGO、有識者などさまざまなステークホルダーが集まるSDGs推進円卓会議を開催し、意見交換を通じて政府の政策に盛り込んでいます。

ジャパンSDGsアワード

ジャパンSDGsアワードは、企業やNGOなど、幅広いステークホルダーの活動を後押しするものとして、政府が2017年から開催しているものです。2022年までに5回開催され、受賞した団体は民間企業をはじめ、地方自治体や商店街の振興組合、特定非営利法人や小学校など多岐にわたる団体・組織がSDGsを推進していることがわかります。

受賞結果と共に、受賞した団体の取り組みをウェブサイトで公開しており、企業や団体でSDGsの取り組みを考える際のヒントとなっています。

参考:ジャパンSDGsアワード|外務省

SDGsに取り組む企業のメリット

SDGsは、達成に向けて国や個人だけではなく、明確に企業の関わりが必要であることを盛り込んでいます。17の目標の達成に向けては、企業の取り組みが欠かせません。SDGsと企業のあり方を紐づけ経営活動に盛り込むことは、潜在的な企業価値を見直し、新たな事業の創出や経営リスクの減少などにつながります。

経営リスクの減少

SDGsは、現代社会が抱えているさまざまな課題を網羅しています。それは目線を変えれば、今の時代を生きる人々が必要としているものです。SDGsの各ターゲットの達成に企業として取り組むことは、環境、社会、経済など多様な側面で社会に貢献することを意味します。

市場に変化をもたらすSDGsを意識した取り組みは、長期的視点で社会から支持されることとなり経営リスクを減少させます。

新たな事業機会の創出

SDGsに注目した経営活動は、おのずとこれまでの「経済合理性」を重視したものとは異なり、新しい市場に目を向けるきっかけとなります。他企業や教育機関などと連携し、自社で培ってきた技術やノウハウを新たな市場に動員することで、これまでにない事業機会の創出につながります。

SDGsで掲げられている目標は社会的なニーズであるという面もあります。そこに収益性が伴う事業を創出することができれば、社会的な貢献のみならず、収益性の期待できる新たな事業につながるポテンシャルをひめているでしょう。

市場での優位性の確保

人々のライフスタイルの変化や、IT技術の発展による事業変化の加速化、新興国の対等など、企業をめぐる環境はより競争が激しいものとなっています。そのなかでSDGsは、経営活動を行う上で避けては通れない取引条件になる可能性があります。

常日頃からSDGsと経営戦略を結び付け、持続可能な経営の仕組みを確立した企業は、他社とは違う価値を社会に提供するという点で、市場での優位性を確保できるでしょう。SDGsを達成するために取り組むビジネスは、収益性のみならず社会的に本当に貢献できているかという点において成果がかかるまでに時間がかかるかもしれません。

そのため、企業は少しずつからでも取り組み、他社が追従できないよう、早くから着手することを意識するとより優位性をえやすいでしょう。

社会や地域での信頼獲得

近年、企業活動と社会課題の解決を重視する流れが、投資家だけでなく一般の人々の間でも広まっています。2022年に電通が公開した「SDGsに関する生活者調査」では、世間での認知上昇と、とりわけZ世代の関心の高さが伺えます。

これまでの企業の「儲かっているのが良い企業」という認識とは異なり、企業が経営活動を通じて、消費者や社会にどのような影響を与えているのかが、より注視されています。事業を通じたSDGsの貢献を具体的に公開することで、社会や地域での信頼獲得につながるでしょう。

企業イメージの向上

上述のような信頼獲得は、企業のイメージ向上につながります。企業の好感度の高さは、顧客に対して自社サービスや商品を選ぶ機会を増やすだけではなく、人材獲得の側面でも良い影響をもたらします。採用では「この会社で働きたい」と志望意欲を高め、多様性に富んだ人材を確保できるようになるでしょう。

特に、Z世代にあたるこれから就職する若者はSDGsへの関心が高く、企業がSDGsに取り組むことで入社意欲を引き出すことにつながるでしょう。また、SNSネイティブであるZ世代の意見を取り入れながらマーケティングを進める中で、SDGsに取り組む商品づくりについてうまく宣伝することも可能ではないでしょうか。

SDGsの企業の取り組み

では、実際に事業活動を通じたSDGsの貢献はどのようなものがあるでしょうか。以下に、企業のSDGsの取り組み事例をご紹介します。

他社との連携によるサステナブルな商品共有|三菱商事&Olam社

三菱商事の関連会社であるOlam社は、「世界の農業とフードシステムを創造/責任ある成長」を企業理念に掲げ、SDGsのおよそ14の目標にインパクトを与えるフレームワークを構築しています。営農指導を通じた生産性向上や、ITプラットフォームを活用した環境負荷への提言など、サステナビリティを重視した農作物を提供。児童労働の解決に取り組むとともに、社会・環境課題に配慮した農産物の提供を行っています。

参考:P237 サステナビリティ・レポート|三菱商事

物流企業としてのCO2排出量削減|日本海運

日本海運は、物流企業として二酸化炭素の排出量削減を明確に打ち出している企業の一つです。環境配慮車両への切り替え、モーダルシフト、共同配送の推進など、さまざまな提案を行っています。

参考:NXの環境に対する取り組みについて|日本海運

自社の開発品でマラリア感染症対策と途上国の雇用創出|住友化学

住友化学は、工場の虫よけ網戸の技術をもとに開発した防虫剤処理蚊帳「.オリセット®ネット」で、発展途上国でのマラリア感染症防止と雇用創出、教育支援に取り組んでいます。

商品は国連児童基金などを通じて80か国以上に供給され、マラリアによる死者数の減少に貢献すると共に、発展途上国で生産することで現地の雇用創出に貢献しています。

参考:「オリセット®ネット」を通じた支援|住友化学

完全循環型ペットボトルによるCO2排出量削減|セブン&アイグループ

セブン&アイグループでは、コンビニの店頭でペットボトルを分別し回収する仕組みを構築しています。その数は年間4億本に上ります。そして、回収したペットボトルからあらたな製品を開発それにより、二酸化炭素の排出量をペットボトル1本あたり約25%削減することに成功しています。

参考:循環経済社会を実現するために。|セブン&アイグループ

人事部のSDGsの取り組みとは

事業活動だけではなく、人事部の取り組みもSDGsの達成と大きく関わっています。労務関連の業務には、ジェンダー平等や働きがい、健康や福祉と切っても切り離せません。

また、障害者雇用やダイバーシティ&インクルージョンを推進する組織など、採用や人材育成の面でもSDGsとのつながりがあります。以下に、SDGsとつながりの深い人事部での取り組みをご紹介します。

ジェンダー平等の実現(目標5)

SDGsの5番目の目標には、ジェンダー平等が掲げられています。男性だけでなく、女性も差別されずに活躍する社会に向けては、企業のダイバーシティの推進が欠かせません。

女性管理者比率の向上、男女の育休取得率の向上のほか、セクシャルマイノリティの人を考慮した制度や組織作りが求められます。

人や国の不平等をなくそう(目標10)

SDGsでは、性別、年齢、国籍、人種、社会的地位などあらゆる属性に限らず、すべての人が平等にチャンスを得られるよう、不平等の撤廃を目標に掲げています。

企業では、差別のない公平性の保たれた制度や環境整備が必要です。正社員と非正規社員の不均等な待遇の改善、同一労働同一賃金の実現、勤務形態で判断されない公正かつ公平な評価制度の構築がなされなければいけません。

すべての人に健康と福祉を(目標3)

企業の業績向上や生産性向上には、従業員の健康が深く関わっています。近年注目されている健康経営では、従業員が「病気にならないための健康状態」を維持し、病気を予防するべく、さまざまな取り組みが行われています。

また、身体的な病気だけではなくメンタル不調への予防施策を取り入れる企業もあります。健全な職場の環境づくりが、SDGsへとつながっています。

働きがいも経済成長も(目標8)

すべての人が働きがいをもって仕事ができる環境を整えるため、平等な教育機会の提供やキャリアプランの構築が求められます。

また、長時間労働を解消するためIT化による業務効率化を図ったり、テレワークなどの柔軟な働き方を導入しライフワークバランスのとれた職場を整備したりすることは、従業員の働きがい向上につながります。

SDGsに企業が取り組む手順

SDGsに企業が取り組む際、手順を追ってプロジェクトを進めることが重要です。「環境に配慮しよう」「男女平等を実現させよう」という抽象的な目標を掲げるだけでは、SDGsの達成に貢献することは難しく、プロジェクトが道半ばで曖昧になってしまう可能性もあります。

以下に、企業がSDGsに取り組む際に気を付けるべきポイントをステップを追って解説します。

1.取り組みの意思決定を行う

まず、SDGsと自社のつながりを見つけ出すことからはじめましょう。自社の事業活動とまったく関係のない領域にいきなり進出するのは、経営リスクを高めてしまいます。SDGsとのつながりを見つけるためには、企業理念を再確認し、将来のビジョンを経営層で共有することがおすすめです。

きたるべき2030年の自社の未来を考え、その理想のために実現するべきミッションを話し合いましょう。また、SDGsの取り組みを進めるには経営陣の理解が欠かせません。会社として意思決定をするべく、資料を作成したうえで話し合いを行いましょう。

2.専任担当者の決定とチーム編成

SDGsへ取り組むことが合意されたあとは、プロジェクトを推進する担当者を選びましょう。中心的存在となる人が、社内や社外の関係者を巻き込み、取り組みを推し進めます。キーパーソンとメンバーを決めるほか、プロジェクトチームを編成し役割を柔軟に分担する方法もあります。

また、自社のリソースだけでは心もとないという場合には、同じような取り組みを行う社外ネットワークが助けになります。外務省の主催するジャパンSDGsアワードでは、過去に表彰された団体の取り組みを見ることができます。自社の具体的な実施内容を検討する際の参考にできるでしょう。

3.自社活動の棚卸と取り組みの方向性の整理

体制が整ったあとは、具体的な取り組みの検討に入ります。その場合「何をするか」から考えるのではなく、「何をしてきたか」を棚下すことから始めましょう。自社のウェブサイトや会社案内などを活用し、事業や活動をリストアップします。

これまでの事業活動のなかで、環境などSDGsに関連することに配慮したものがあれば、持続可能な事業活動という視点を加えることで、取り組みをより強化することができます。環境配慮、地域社会との関係性を整理し、SDGsのゴールやターゲットと事業との関係性を分析しましょう。

4.取り組み内容の決定

企業がSDGsに取り組む際、重要となるのはその「目的」です。事業活動と関連した取り組みであっても、その結果が自社の利益に結びつくものでなければ周りからの賛同を得るのが難しくなります。

たとえば「コスト削減」という目的であれば、「従業員の省エネ意識を向上させ、製造方法の見直しと共にコストを削減する」というSDGsのゴールと結びつけることができます。「人材確保」や「女性の活躍」など目的を明確にしたうえで、それに対する自社の動機とSDGsとの結びつきを考えてみましょう。

SDGsの取り組みでは大企業に注目が集まりがちですが、企業規模が小さいと実現できないものではありません。むしろ地域とのつながりの強さなど、中小規模の企業だからこそ生かせるポイントもあります。それぞれの身の丈にあった活動を、地道に継続させることが重要です。

また、取り組みにあたって資金調達が必要な場合は、補助金や助成金、クラウドファンディングなどで外部から資金を調達する方法もあります。

5.自社の取り組みの評価

年度末に、自社での取り組みを評価するため、取り組みの過程では資料や写真など、後々必要となるものを残しておきましょう。また、定期的に取り組みを振り返り、評価することで、当初掲げた目的からずれずにプロジェクトを遂行できます。

取り組みをまとめたあとは、ウェブサイトや株主総会など外部への発信を行いましょう。取り組みの成果がまとまっていることで、新製品の発売の際にSDGsとのつながりをアピールしたり、営業用パンフレットにSDGsに関する取り組みを加えたりすることもでき、企業のイメージ向上につながります。

SDGsを企業の生存戦略に活かそう

環境保全やジェンダー平等、教育や貧困、社会にはさまざまな課題があります。近年では、インターネットの発達により、そうした社会課題に人々が触れる機会も多くなりました。以前であれば「遠い世界の出来事」だと思っていたものが、身近な生活に関連していると知ることで、社会課題を自分事としてとらえる意識が世間に芽生えています。

そうしたなか、利益追求型の企業にはますます厳しい目が向けられるでしょう。環境に代表されるように、資源は有限です。事業を推進するうえで欠かせない「人」もまた資源です。

環境に配慮し、従業員や関係者を幸せにする、そして事業活動の結果、教育の質の向上や地域の雇用創出、豊かな街づくりなど、より良い社会づくりにつなげることができる。そのような社会に貢献する企業は、人々からの信頼を集め、長期的なビジネスを継続していくことができるでしょう。

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