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調査リリース

2021/02/25

人事評価制度 “放置”企業が47.0% 実態と制度がミスマッチ? 人事評価制度の満足度が組織・社員に影響 評価しにくい目標NGワード1位「できるだけ」2位「努力する」3位「頑張る」 ~人事評価制度運用に関する調査~

人事評価サービスを提供する株式会社あしたのチーム(本社:東京都中央区、代表取締役社長CEO:赤羽博行、以下「あしたのチーム」)は、自社で人事評価制度を導入している、全国の従業員数5名以上300名未満の企業に勤める従業員もしくは経営者を対象に、人事評価制度運用に関する調査を実施いたしました。
その結果、人事評価制度の見直し頻度の低さや、「自社の人事評価制度がうまくいっているか」・「人事評価制度の満足度」に対する経営者と従業員の認識のギャップ、経営者が思う人事評価制度の難点などが明らかになりました。

●人事評価制度運用に関する調査トピックス
《人事評価制度の見直し・改訂について》
■人事評価制度の見直しをする頻度は、年1回より少ないという回答が47.0%で約半数に。
《人事評価制度に期待する効果について》
■経営者が人事評価制度で実現したいことは「正当な評価」「給与決定基準の明確化」「昇格・降格の基準の明確化」がTOP3。
■人事評価制度を運用することで感じた意外な効果は、「スキルアップに前向きで他の社員のモチベーションが上がった」、「中間管理職のコミュニケーション能力の向上」などの声。
《人事評価運用がうまくいくことによる効果について》
■自社の人事評価制度がうまくいっていると思うのは、経営者は75.0%、従業員は33.0%、42ポイントの差。
■自社の人事評価制度の満足度は、経営者は71.0%、従業員は26.0%と45ポイントの差。
■自社の人事評価制度で不満な点、経営者は「年功序列が排除できない」27.6%、従業員は「評価が給与に反映されない」50.0%がそれぞれトップ。
《人事評価運用の課題について》
■人事評価制度で経営者の負担が増える?制度を運用する上で困ったことは「評価業務のため自分の負担が増えた」が42.1%で最多。
■人事評価制度の難点は「明確な評価基準を設定すること」が最多で52.3%、次いで「数値的指標がない職種(間接部門など)の評価」41.9%の順に。

●調査概要
1. 調査の方法:インターネット調査
2. 調査対象者:全国の従業員数5名以上300名未満で人事評価制度を導入している企業の経営者(20歳以上の男女、および勤続1年以上の従業員(20~59歳の男女)
3. 有効回答数:300名(経営者:100人、従業員:200人)
4. 調査実施日:2021年1月26日(火)~2021年1月28日(木)

1. 人事評価制度の見直し・改訂について
①直近で人事評価制度を改訂した時期
あなたの会社において直近で人事評価制度を改訂した時期をお答えください。(お答えはそれぞれ1つ)※大幅な見直し・改訂だけでなく、少しの規約改訂や運用条件の変更などを含めて、最新版(現行)の制度の運用を開始した時期をお答えください。(単数回答)【n=100】※経営者


現在の人事評価制度の仕組みを導入してから、規約や運用条件の変更など制度の改訂をした時期を聞きました。今から10年以上前となる「2010年より前」が24.0%、「わからない・覚えていない」14.0%、「改訂していない」26.0%となりました。

② 人事評価制度の見直しをする頻度
あなたが人事評価制度の見直しをする頻度をお答えください。(単数回答)【n=100】※経営者


実際に改訂するかに関わらず、人事評価制度の見直しをする頻度は「1年に1回程度」28.0%が最多となりました。ただし「2年に1回程度」「3年に1回程度」「それ以下の頻度」「わからない・見直していない」をあわせた割合が47.0%と半数近くになっています。昨今の働き方の変化スピードを考えると、定期的に人事評価制度を見直さず“放置状態”の企業においては、業務の実態と評価制度が合わなくなっているかもしれません。

2.経営者が人事評価制度に期待する効果について
① 人事評価制度で実現したいこと
あなたが会社全体において人事評価制度を通じて実現したいと思うことをお答えください。(複数回答)【n=100】※経営者


経営者が人事評価制度で実現したいことは「従業員の能力やスキルの正当な評価」「給与決定基準の明確化」「昇格・降格の基準の明確化」がTOP3となりました。人事評価や処遇決定に対し、明確な基準で正当に評価したいと考える経営者が多いようです。基準を設け、主観でない評価制度にすることにより、社員に明快な説明ができるようにしたいという想いもあるのかもしれません。

② 人事評価制度に期待すること
あなたが従業員の意識や行動に関して、人事評価制度が良い影響を与えると期待することをお答えください。(複数回答)【n=100】※経営者


経営者が人事評価制度に期待することの1位は「従業員のモチベーション向上」83.0%と8割以上が回答しました。次いで「優秀人材採用・離職防止」54.0%、「生産性・業績アップ」53.0%となりました。

③ 人事評価制度に期待することの中で、効果を感じているもの
あなたが従業員の意識や行動に関して、人事評価制度が良い影響を与えると期待することの中で、効果を感じているものをお答えください。(複数回答)【n=100】※経営者


人事評価制度に期待することのうち、人事評価制度を運用することにより効果を感じているものをお聞きしました。効果を感じているとの回答割合が最も多いのは「従業員のモチベーション向上」59.0%となりました。

④ 人事評価制度の意外な効果
あなたが人事評価制度を運用することで感じた、意外な効果をお答えください。(お答えは具体的に)※あなたご自身、評価をする人、評価をされる人、または組織全体に与えた良い変化をご自由にご記入ください。(自由回答)【n=100】※経営者
●社員に自主性が生まれ、売り上げアップにつながったこと。
●スキルアップに前向きで他の社員のモチベーションが上がったこと。
●長く続いていた年功序列・終身雇用のスタイルから、年齢や経験にかかわらず能力に応じた評価に変えられたことが、社員のモチベーションを上げるのに役立つと思う。
●個人とチームとの両方での評価により、チームワークが高まったこと。
●人をリードできる人、業務効率化ができる人、コミュニケーション力の高い人など、潜在能力の見える化ができたこと。
●社員の中には、給与がアップしなくてもいいから新しく複雑な仕事をしたくないと思っている向上心が見られない人間がいると分かったこと。
●人事評価制度を有効に活用する人財は、能力が伸びる。その振り返りに使われていること。
●社員が自分の能力を過信しなくなった。できなかったことに対して素直に能力不足を認め、個々に合った業務のハードルを設定できるようになった。
●評価をする側とされる側が面談で率直に話すことでお互いの理解が深まり、誤解が生じなくなりました。
●評価するサイドの社員の意識改革が図れたこと。
●中間管理職のコミュニケーション能力の向上。
●次の管理職候補を選択することが可能になること。
●対外的アピールになること。
●人事評価は社員にとって自分の行動や考えを振り返る機会になる。仕事以外でも人としてのあり方を見つめ直すきっかけになり、自信がなくプライベートでも辛い思いをしていた社員が自信を持てるようになったり、私生活も含めて行動を改善したりして、社員がいい方向に向かっている。とてもいい傾向にあるので今後も続けていきたい。

人事評価制度にもともと期待をしていなかったが運用する中で感じた、意外な効果をお聞きしました。その結果、社員の能力や適性だけでなくキャリアや働き方についての志向も含めた特性がよくわかるようになったことや、人事評価の振り返りを通じた自己分析が社員の人生にもよい影響を与えていることなどが回答されました。「対外的アピールになる」という回答もあり、人事評価制度を整えていることが採用活動や営業活動に効果を発揮するケースもあるのではないでしょうか。

3. 人事評価制度運用がうまくいくことによる効果
① 総合的に人事評価がうまくいっていると思うか
あなたは自社の人事評価制度は総合的にうまくいっていると思いますか。(単数回答)【n=300】※経営者 n=100、従業員 n=200


経営者の方と従業員(正社員)の方に対し、自社の人事評価制度は総合的にうまくいっていると思うか聞いたところ、「うまくいっていると思う」「ややうまくいっていると思う」の計は、経営者は75.0%、従業員は33.0%と、42ポイントの差がつく結果となりました。

② 人事評価制度の満足度
あなたは自社の人事評価制度に満足していますか。(単数回答)【n=300】※経営者 n=100、従業員 n=200


自社の人事評価制度に対する満足度は「満足している」「やや満足している」の計が経営者は71.0%、従業員は26.0%と45ポイントの差となりました。前問の人事評価制度が総合的にうまくいっていると思うか・人事評価制度の満足度ともに、経営者と従業員の認識には大きな乖離があるようです。

③ 人事評価制度の満足度と組織への好影響について>
あなたは人事評価制度が組織や社員に良い影響を与えていると思いますか。(単数回答)【n=100】※経営者

【自社の人事評価制度への満足度の回答別】


人事評価制度を満足度の高い状態で運用できるかどうかが、経営にどう影響するのか調査しました。「人事評価制度が組織や社員に良い影響を与えていると思うか」をお聞きし、その結果を「人事評価制度の満足度」別に見ると、「人事評価制度に満足している」と回答した方は「人事評価制度が組織や社員に良い影響を与えていると思う」64.3%と、高い割合で人事評価制度が組織や社員に良い影響を与えているという結果になりました。反対に「人事評価制度に満足していない」と回答した方は「人事評価制度が組織や社員に良い影響を与えていると思わない」の割合が多くなりました。

④ 人事評価制度の満足度と従業員の勤続意向について
あなたは現在お勤めの会社で今後も働きたいと思いますか。(単数回答)【n=200】※従業員
 【自社の人事評価制度への満足度の回答別】


人事評価制度への満足度は、従業員の心理にどのような影響を与えるかを知るため、「現在お勤めの会社で今後も働き続けたいと思うか」の結果を、人事評価に対する満足度別に見てみました。その結果、満足度の高い方は「働き続けたいと思う」の割合が多くなりました。【2-② 「人事評価制度に期待すること」】では54.0%の経営者が人事評価制度に「優秀人材の採用や離職防止」の効果を期待していましたが、従業員の意見からも、人事評価制度に満足していることが離職防止に効果を示すことがわかりました。

⑤ 人事評価制度の不満点

あなたが自社の人事評価制度で不満に感じる点や改善すべきと思う点をお答えください。(複数回答)【n=177】※経営者 n=29、従業員 n=148

自社の人事評価制度に「あまり満足していない」「満足していない」と回答した経営者と従業員に、不満に感じる点や改善すべきと思う点をお聞きしました。経営者は「評価をしても年功序列が排除できていない」27.6%が最多、次いで「評価制度の形骸化」24.1%となりました。評価結果をどのように処遇に反映するかがルール化できていないと、年功序列からの脱却は進まず、また制度自体の形骸化にもつながってしまうのかもしれません。定期的に自社の評価制度の在り方を見直し、課題を改善していくことが、人事評価制度を形骸化させずに効果を上げ続けていくために必要不可欠です。従業員の不満は「評価が給与に反映されない」50.0%が最多で半数の方が回答しました。評点が高くても低くても給与額決定に関連がないのでは、従業員は人事評価をしている意味がないと思うばかりか、頑張っても頑張らなくても同じとさえ感じてしまうのではないでしょうか。次いで「評点を決める明確な基準がない」39.2%、「評価する人によって甘辛のばらつきがある」37.8%と続き、評点をつける際の基準がないことが上位となりました。経営者が人事評価に期待することの1位「従業員のモチベーション向上」(【2-② 「人事評価制度に期待すること」】)を実現するためには、評価の基準を定め、評価結果をきちんと給与に反映させることがポイントであるようです。

4. 人事評価制度運用の課題について
①人事評価制度運用で困ったこと
あなたが人事評価制度を運用する上で感じた、困ったことをお答えください。(複数回答)【n=57】※経営者
 ※「人事評価制度を運用する上で感じた、困ったことはない」と回答した方を除く


経営者が人事評価制度を運用する上で困ったこと1位は「評価業務のため自分の負担が増えた」42.1%となりました。経営者自ら面談や評価を行っている場合は、負担が増えてしまうことでしょう。自社の人事評価制度に客観的基準を設け、管理職に評価業務を委譲できるようにすることで経営者の負担は軽くなるかもしれません。

 

② 人事評価制度で難しいと思うこと
あなたが人事評価制度で難しいと思うことをお答えください。(複数回答)【n=86】※経営者
 ※「人事評価制度で難しいと思うことはない」と回答した方を除く


人事評価制度で難しいと思うこと1位は「明確な評価基準を設定すること」52.3%となりました。明確に基準を設けることが重要と考えていても、自社に合った基準の設定は難しいもののようです。2位は「数値的指標がない職種(間接部門など)の評価」41.9%、3位は「達成した状態が不明な抽象的な目標に対する評価」39.5%となりました。

③ 評価が難しい目標ワード
あなたが社員の人事評価を行う際、その成果を評価しにくいと感じる目標の文言をお答えください。(複数回答)【n=100】※経営者


ここまでの調査で、経営者は人事評価運用において「評価業務のため自分の負担が増えた」ことに困っており、「明確な評価基準の設定」が難しいと感じていることが明らかになりました。また「達成した状態が不明な抽象的な目標に対する評価」が難しいと回答した方も約4割いました。そして従業員の人事評価に対する不満のTOP3は「評価が給与に反映されない」、「評点を決める明確な基準がない」、「評価する人によって甘辛のばらつきがある」であることもわかりました。
そこで、人事評価の「難しさ」の要因となり得る“目標設定”に着目し、経営者が社員の人事評価をする際に成果を評価しにくいと感じる目標の文言をお聞きしました。その結果、評価しにくい目標ワード1位は「できるだけ~する」27.0%となりました。「できるだけって、どれくらい?」という指標のあいまいさから、評価がしにくいのではないでしょうか。また、評価する側が期待するレベルと評価される側が目指すレベルが食い違うことで、社員が評価に納得できず不満を抱くということも起こりそうです。会社と社員の双方が納得し、組織に良い影響を与える人事評価制度の実現には、目標設定の段階からお互いに評価基準を定量的に明確化することも重要です。評価しにくい目標ワード2位は「~に努力する」26.0%、3位は「~を頑張る」24.0%となりました。「努力した」「頑張った」ことはわかるけれども、その結果どうなったのか、成果が見えにくい目標では評点をつけにくいのもうなずけます。自分の努力・頑張りが評価されない、給与につながらないと感じる社員の方は、「評価しにくい目標NGワード」を使っていないか、振り返ってみるとよいでしょう。また経営者や評価をする立場の方も、現行の人事評価制度は成果を評価しにくいままで進んでいないか、直近の働き方や業務実態に対応して適正に評価できるものになっているか、今一度見直してみましょう。人事評価制度は、導入するのが目的ではありません。人事評価制度を通じて会社が実現したいことや期待する効果を得るために、制度を運用する中で仕組みや基準を見直し・改訂して、制度を育てていくことが重要です。会社の変化に応じて人事評価制度も定期的に見直し、必要に応じて変更や改訂をしていくことが、会社と社員がお互いに納得感をもち、会社の成長スパイラルに寄与する人事評価制度構築・運用への第一歩となるかもしれません。

 

●報道関係者様へ
■引用・転載時のクレジット表記のお願い
※本リリースの引用・転載は、必ずクレジットを明記していただきますようお願い申し上げます。
<例>「あしたのチームが実施した調査によると…」

●セミナー情報
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■株式会社あしたのチーム会社概要
代表者  :代表取締役社長CEO 赤羽 博行( https://www.ashita-team.com/ )
本社所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX11F
事業内容 :・報酬連動型人財育成プログラム「ゼッタイ!評価®」
      ・人事評価クラウド「あしたのクラウド™HR」
      ・目標設定プログラム「あしたの履歴書®︎」
資本金  :1億円(資本準備金含む)
設立   :2008年9月25日