メンター制度はいらない?導入のメリット・デメリットと成功の5つのポイントを解説

多くの企業では、OJTや1on1といった人材育成の仕組みがある一方で、メンター制度を導入すべきか迷う担当者も少なくありません

現場に負担が増えるのではないか、成果が見えにくいのではないかといった不安から「メンター制度はいらないのでは」という声が上がることもあります。

そこで本記事では、メンター制度が「いらない」といわれる背景を整理したうえで、導入する利点や注意点を具体的に解説します

また、メンター制度導入時の評価制度の構築は「あしたのチーム」にご相談ください。評価制度のテンプレートや面談記録の型、評価指標の整備などをサポートいたします。

メンター制度がいらないと言われる4つの理由

メンター制度 いらない

導入後に手応えが弱いまま運用が続くと、不要だと感じやすくなります。まず、つまずきの源を4つに分けて全体像をつかみましょう。

  • 制度の目的や役割が不明瞭なため
  • OJTや他制度との違いが分からないため
  • メンターの負担が大きくなるため
  • メンターとメンティ間のミスマッチが起きる場合があるため

メンターの詳細はこちらのページで解説しているので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:メンターとは?役割や導入効果、成功のポイントを解説

制度の目的や役割が不明瞭なため

狙いが曖昧だと、面談の中身が人ごとにぶれ、上長とメンターの役割まで重なります。

面談の頻度、所要時間、記録の書式まで先に決めて共有すれば、迷いが減ります。役割の線引きを文書化し、新任にも同じ基準で伝える運びに変えると、メンター制度が機能する可能性を高められます。

OJTや他制度との違いが分からないため

実務の習得を担うOJTや、上司と部下が向き合う1on1と、他の制度との境界が曖昧だと、実施の必要性を感じられず、メンター制度の意義が伝わりません。

OJTや1on1などの制度間の違いが説明されていないと、メンター制度に取り組む従業員が混乱し、制度の意義を見出せず成果が出にくいです。

従業員の教育や研修などの制度は、実施時に目的を明確にし、従業員に伝えることが大切です。

メンターの負担が大きくなるため

メンターの業務負担が大きくなることもメンター制度のデメリットです。本来の業務に加えて、指導業務が追加されるため、負担の増加だけでなく、業務効率や品質の低下のおそれもあります。

メンターの指導に関する業務を正当な評価へ結びつけ、表彰や加点の仕組みまで用意すると、関与の意欲が保たれます。

メンターとメンティ間のミスマッチが起きる場合があるため

指導するメンターと指導を受けるメンティ間で、性格や価値観が合わない場合、信頼関係を築けず、メンター制度に期待する効果が出にくいおそれがあります。

ランダムな割り振りではなく、希望を短いアンケートで集め、性格だけでなくスキルやキャリアの近さも基準へ含めます。

性格や人柄だけでなく、メンターとメンティ間のスキルやキャリアの相性が良くないと、的確な指導ができず両者の間で不満が生じやすい点にも注意が必要です。

メンター制度を導入する4つのメリット

メンター制度 いらない

制度の狙いは、配属差を早く埋め、学びが回る環境をつくる点にあります。メンターが日常の不安を拾い、上長やOJTと連携すると、つまずきが広がりにくくなります。

メンター制度を導入する4つのメリットは以下の通りです。

  • 従業員の指導力向上が期待できる
  • 従業員の成長をサポートできる
  • 社内コミュニケーションを活性化できる
  • 離職率の低下が期待できる

各項目を詳細に説明します。

従業員の指導力向上が期待できる

メンターを任された従業員は、後輩へ噛み砕いて説明する場面が増え、伝え方と観察の目が磨かれます。準備の段階で手順や根拠を整理するため、業務知識の理解が深まり、自分の型が身につきます。

面談の終わりに振り返りと次回のプランを残すと、学びが積み上がります。小さな発表やロールプレイを重ねれば、周囲を巻き込む力も育ちます。

結果として、プレイヤーだけでなくマネジメントの視点も育ち、管理職候補の土台が整います。

従業員の成長をサポートできる

メンター制度により、従業員の成長をサポートできます。経験が浅い従業員でも、業務を相談できる相手を用意することで、不安を早く解消しやすくなります。

メンターが現場の知識やコツを具体例で伝えるほど、メンティは試行の回数が増え、習熟が加速します。

小さな達成を可視化して称える運びを加えると、挑戦が続き、成長の実感も高まります。

社内コミュニケーションを活性化できる

メンター制度の導入で、役職や年齢、部署を超えた交流が生まれ、組織全体の関係性が強まりやすいです。普段接点の少ない人同士が関わることで、風通しの良い文化が育まれるきっかけになります。

社内コミュニケーションが活性化することで、社内の情報共有が促進され、組織全体のチームワーク向上が狙えます。

離職率の低下が期待できる

メンター制度で新人の不安や悩みを解消することで、離職率の低下が期待できます。支援の窓口やエスカレーション先を明確にすると、切り替えが早く進みます。

サポート体制があることで、安心して従業員がキャリアを築ける環境の構築が可能です。

人材流出を防ぐ方法の詳細はこちらのページで解説しているので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:人材流出を防ぐ方法とは? 人事評価制度への不満解消の重要性に迫る

メンター制度を導入する3つのデメリット

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導入の狙いが明確でも、運用の設計が甘いまま始めると不満が生まれやすいです。どこで摩擦が起きやすいかを先に押さえると、見直しの焦点が定まります。

メンター制度を導入する3つのデメリットを解説します。

  • 制度への不満から従業員が離職するおそれがある
  • 効果が属人的で成果が不安定な場合がある
  • 成果の評価が難しく従業員の不満が高まる可能性がある

制度への不満から従業員が離職するおそれがある

運用の基準が曖昧だと、担当の偏りや面談の質の差が広がり、不公平だと感じる人が増えます。ミスマッチが続く配属では、相談が進まず、精神的な負荷も高まります。

メンターは本来の業務に加えて準備や記録が増えるため、時間が奪われがちです。特定の人へ負担が集中すれば、チーム全体の不満が連鎖します。

担当上限や面談の回数、記録の粒度を数字で決め、代替業務の棚卸しまで整える姿勢が欠かせません。

効果が属人的で成果が不安定な場合がある

指導の質が人の経験や性格に強く左右される設計では、部門ごとに成果がばらつきます。面談の進め方や質問の深さ、記録の書きぶりが人任せだと、学びが資産になりません。

標準のアジェンダ、記録の雛形、相談の受け渡し先を共通化しない限り、再現は難しいです。メンターだけに依存しない相談経路も必要です。

上長、先輩、専門窓口へ自然に橋渡しできる文化を育てると、属人性が弱まります。仕組みと文化の両輪で安定度が上がり、次の期にも同じ成果を狙えます。

成果の評価が難しく従業員の不満が高まる可能性がある

メンター制度は短期間で数字に表れにくく、従業員の不満が高まる可能性が高いです。評価の指標が無いまま制度を進めると、メンターは正当な評価がされにくい中、業務負担が増える状況に陥ります。

実施率や相談件数、立ち上がりの短縮、早期離職の推移など複数の数値で効果を追い、行動の記述も合わせて残しましょう。

評価制度へ結び付ける流れを最初に決め、表彰や加点まで連動させれば、関与の意欲が保たれます。見える化が進むほど、不満は和らぎます。

メンター制度導入を成功させる際の5つのポイント

メンター制度 いらない

メンター制度導入を成功させる際の5つのポイントは以下の通りです。

  • 導入目的を明確にする
  • メンターに必要なスキルを定義する
  • メンターの負担軽減やフォロー体制を整える
  • メンティとの適切なマッチングを行う
  • 適切な評価を行う制度を整える

各項目の詳細をみていきましょう。

導入目的を明確にする

メンター制度の導入目的を、まず明確にしましょう。目的が曖昧だと運用が迷走し、効果を発揮できないためです。

頻度や扱うテーマ、記録の型も目的にひもづけ、紙一枚の運用ルールに整理して全員へ配布します。制度の狙いを共通認識として持てれば、効率的に運用できます。

メンターに必要なスキルを定義する

人選の基準を言葉にし、共通の期待を示しましょう。傾聴力や指導力など、必要なスキルを明示することで、メンターの人選がしやすくなります。

また、必要なスキルを明らかにすることで、メンターに該当した従業員が自身に求められている役割や働きを理解でき、効率的に指導にあたれる点もメリットです。

メンター制度のスキル要件を明確にすることで、制度全体の品質向上につながります。

メンターの負担軽減やフォロー体制を整える

メンター制度導入時は、メンターの負担軽減やフォロー体制を整えましょう。担当人数の調整や業務の一部削減など、メンターの負担を軽減する工夫を徹底してください。

メンターの心の相談窓口や休暇の取りやすさにも配慮し、孤立を防ぎます。負担の見える化が進めば、周囲の理解が生まれ、継続できる形になります。

メンティとの適切なマッチングを行う

メンターとメンティのマッチングは適性を判断して行ってください。性格やキャリア志向を踏まえたマッチングを重視すれば、価値観や働き方のずれが起こりにくいです。

相性が合わない時の変更ルールを先に明示し、適宜組み合わせを見直しましょう。

適切な評価を行う制度を整える

メンター制度を導入する際は、適切な評価制度を整えましょう。適切な人事評価を通じて、モチベーション維持や制度定着を図ることで、メンター制度の効果的な運用につながりやすいです。

結果は加点や表彰、昇格要件への反映までつなげると、やる気と継続性が高まります。期首に指標を共有し、月次でレビュー、四半期で見直す運用にすると、合意が保たれます。

人事評価制度の詳細はこちらのページで解説しているので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:人事評価制度とは組織内の評価制度!導入方法や評価シートの書き方・例文も紹介

メンター制度導入時の評価制度の構築は「あしたのチーム」にご相談ください

メンター制度 いらない

メンター制度は、若手社員の成長支援や部門間の対話促進、早期離職の防止などに効果的な仕組みです。上司やOJT担当者ではカバーしきれない相談の場を設けることで、学習スピードや定着率の向上につながります。

一方で、目的が不明確なまま導入すると負担が偏ったり、OJTや1on1との役割が曖昧になったりするリスクがあります。

制度を成功させるには、目的の明確化、役割分担の整理、面談頻度や所要時間のルール化、記録様式や評価基準の整備といった工夫が欠かせません。

そこで「あしたのチーム」では、メンター制度の評価制度設計をはじめ、役割定義や面談記録の雛形、指標づくりまでを一式でサポートしています。自社に合った形で短期間に立ち上げたい場合は、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事の監修者   あしたのチーム編集部さん

あしたのチーム編集部は、企業の経営者やビジネスパーソンに向けて、働き方改革や組織活性化に役立つ知識をさまざまなコンテンツを通じて発信しています。
より良い経営や人材活用のヒントにつながる情報を、わかりやすくお届けすることを目指しています。

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