福利厚生とは?意味や種類、人気企業の面白い事例やトレンドのサービスを紹介

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充実した福利厚生制度があることは企業の魅力のひとつです。求人で優秀な人材を獲得し、長期的にモチベーションを高く持って働いてもらうために、自社に合った福利厚生を導入する必要があります。

本記事では、福利厚生の種類や内容、導入手順について解説するとともに、ユニークな福利厚生の事例やトレンドのサービスを取り上げて紹介します。自社に新しい福利厚生を導入する際は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。

福利厚生とは

企業が人事的、また、労務管理的な効果を期待して、従業員と家族に提供する給与以外の施策や制度が福利厚生です。企業が福利厚生に期待する主な目的として、人材の確保と定着、労働へのモチベーションや能率の向上、良好な労使関係の維持などが挙げられます。

福利厚生の施策や制度は、従業員の生活向上を支援するものが中心です。1990年代からは、米国式の福利厚生である「カフェテリア・プラン」の導入が始まり、従来は同一だった給付内容を認められる範囲で従業員が自由に選択できるようになりました。

カフェテリア・プランでは、社員旅行など全員に対して実施するのではなく、従業員のニーズによって参加するかどうか選択が可能となりました。ただ、導入の背景には、法定福利費の高騰に起因する人件費増の回避、個別交渉させることで労働組合による団体交渉の影響力を抑制するといった目論見もあったようです。

福利厚生の種類

福利厚生は、法的に義務付けられた法定福利と、任意の法定外福利の2種類に大別されます。それぞれの主な内容について、以下で解説します。

1.法定福利

法定福利(法定内福利厚生)とは、企業が従業員に対して提供・実施することが法律で義務付けられている福利厚生です。法定福利の具体的な内容は、健康保険や厚生年金保険、雇用保険や労災保険、介護保険や子ども・子育て拠出金など、主に社会保険料や制度料金の支援・提供です。

このうち、労災保険と子ども・子育て拠出金については、全額を企業が負担します。雇用保険料は2/3を企業が負担、その他の保険料は企業と従業員が折半して負担するように法律で定められています。

適用条件を満たす従業員に対して、法定福利を実施していない場合は法律に違反することになるため、人事担当者は注意しなければなりません。

2.法定外福利

法定外福利(法定外福利厚生)とは、法定福利とは別の福利厚生を、企業が任意で実施するものです。法定外福利については内容の規制はなく、各企業が独自に設定できます。最近では、企業理念と関連付けた個性的な法定外福利を実施することで注目される企業も少なくありません。

法定外福利として実施される内容例としては、以下があります。

・住宅補助(住宅手当、家賃補助など)
・健康支援や医療補助(健康診断など)
・慶弔手当や災害見舞金
・育児手当や介護手当
・自己啓発支援
・業務や職場環境の整備
・休暇制度
・スポーツやカルチャー、レクリエーション支援
・財産形成支援(持ち株制度など)
・その他の補助・支援(通勤手当、食事補助など)

それぞれの法定外福利の内容は、企業によって異なります。

福利厚生の対象者

従来、福利厚生の対象者は正社員に限定されていました。しかし、最近では、契約社員やパートタイム労働者、アルバイトにも福利厚生を実施する企業が増えてきています。

近年、雇用形態の多様化やパートタイム労働者の業務内容・労働時間の拡大などにより、正社員と非正規雇用者間で労働負担の差が縮小しました。そこで、正社員と非正規雇用者間の待遇の差が問題化しています。それを受けて、政府は「同一労働同一賃金」、つまり、雇用形態を問わず公平な待遇の実現を提唱しているのです。

法定福利については法律で規定された適用条件を満たさない場合、法定外福利については待遇差に合理的な理由がある場合は、非正規雇用者を福利厚生対象者から除外できます。しかし、それ以外は、全従業員が福利厚生の対象者です。

福利厚生の代表的な制度

法定外福利の種類として、上で9種類を上げました。ここでは、その中でも代表的な制度6つについて、それぞれ、説明します。

1.住宅手当・家賃補助

住宅関連手当は法定外福利の大半を占める要で、住宅手当や住宅ローン補助、家賃補助の他、社宅や借り上げ社宅・寮の提供なども含まれます。昨今は寮や社宅より、従業員が自由に住む場所を選べる住宅手当や住宅ローン補助、家賃補助が主流です。

住宅手当や家賃補助など現金で支給する場合は給与とみなされるため、従業員が負担する所得税の課税対象となる点に注意しましょう。

2.通勤手当

通勤手当は一定条件下で一定金額まで(※)法定外福利厚生費として認められます。その場合は、通勤手当を支給された従業員に所得税が課されることはありません。ただし、社会保険料は通勤手当も所得に含む扱いで算出されます。
※最も経済的かつ合理的な経路利用に限り15万円まで非課税

3.健康診断

従業員が健康上のトラブルを放置すれば業務に支障をきたしたり、休職・離職につながったりするおそれがあります。生産性の低下を防ぐ目的で、健康診断を実施する企業は少なくありません。健康診断にくわえて、管理栄養士による食生活指導や、万歩計を配布するなど運動習慣づくりを支援するケースもあります。

4.育児支援

女性従業員の離職率を下げ、キャリア形成を促すために重視されているのが、育児を支援するさまざまな施策です。法で定められた出産・育児休暇よりも長期の休暇を取得できるようにしたり、育児休暇後の復帰を支援したりといった施策を実施する企業もあります。

また、社内に託児所を設置する、男性従業員の育児休暇取得を促す、子どもが病気をした際の看護休暇を制度化するなどの施策により、従業員の育児と仕事の両立を支援し、離職率の低下につなげることも可能です。

5.慶弔・災害見舞金

厚生労働省の調査によれば、企業の90%以上が慶弔・災害に関連する福利厚生を実施しています。従業員が結婚した際に祝い金を支給したり、弔事や事故、災害、病気などが発生した際の従業員と家族への支援として現金を給付したりする制度です。

いざという時の現金支給なだけに、保険のようなものとして期待されるケースも多い福利厚生といえます。

参考:「6.慶弔災害見舞金関係施策」

労災時報

6.持株制度

従業員の持株制度は、従業員の財産形成を支援する福利厚生のひとつです。企業の成長に対する従業員のモチベーションを高められる点も、従業員の持株制度のメリットといえるでしょう。ある程度の強制力があることによって、従業員の資産形成を促すことが可能です。

他の財産形成支援として、財形貯蓄制度や社内貯金、個人年金の補助を実施する企業もあります。

福利厚生制度の導入手順

法定福利の実施は当然として、法定外福利を導入するには、どのような手順を踏むべきでしょうか。主な手順には5段階あります。それぞれの手順について、以下で説明します。

1.方針の決定

「2-2 法定外福利」で例を挙げたように、法定外福利の内容は幅広いジャンルにわたります。企業が負担する金銭コストや運用コストが限られる以上、魅力的な福利厚生をすべて導入することは不可能です。

そこで、従業員の中でも特にどのような人に向けて福利を提供すべきかなど、福利厚生制度を導入する目的と方針を明らかにしたうえで、実施内容を絞り込む必要があります。従業員に「どのような福利厚生を希望するか」アンケートを取るのもひとつの方法です。

どのような福利厚生を実施するかは経営方針とも関連します。経営方針に沿うテーマの支援策を福利厚生制度として導入するのも良いでしょう。

2.導入内容の検討

福利厚生として導入する内容が決まったら、導入方法を決めます。他社の事例を参考にしたり、アウトソーシングのサービスの活用を検討したりすると良いでしょう。稟議などで決議してもらうためには、導入や運用にかかるコストについても算出しておく必要があります。

3.規程や運用マニュアルの作成

他の社内規程との整合性を考慮しながら、導入する福利厚生に関する規定や運用マニュアルを作成します。

複雑で難解な運用マニュアルでは従業員が理解しにくく、運用の時間コストが上がる結果につながりかねません。一読しただけでだれでも確実に運用できるように、マニュアルを簡潔・明快に整備しましょう。

4.従業員への周知

わざわざコストをかけて福利厚生を導入しても、従業員に利用してもらえなければ、意味を成しません。そこで、福利厚生の導入前後に、福利厚生の導入目的や具体的な利用方法などについて、従業員への周知を図ることが大切です。

社内メールや朝礼、会議などを通じて告知したり、説明会などを実施したりすると良いでしょう。あるいは、各部署の管理職に福利厚生の内容や適用条件をしっかりと把握させ、担当部署の従業員が適用対象になった場合に個別に声掛けしてもらう方法も効果的です。

5.PDCAをまわす

福利厚生を導入したら、従業員の反応をチェックしたうえで内容を改訂していくことも重要です。実施後に、福利厚生を利用した従業員にアンケートを取って感想や意見を収集するなど、福利厚生の効果を確認しながら、改善していく必要があります。

人気企業の面白い福利厚生制度6選

企業理念や社風に合わせた個性的な福利厚生を実施している企業もあり、話題になっています。ここでは6企業の事例を紹介します。

1.株式会社ウエディングパーク「カレーファミリー制度(カレファミ)」

職場のコミュニケーション活性化のためにみんなで一緒にカレーを食べるというユニークな福利厚生です。部署内で「親役」「兄弟役」などを決めて疑似家族をつくり、一緒にカレーを食べながら交流します。

上司や先輩との人間関係構築に不安を覚えがちな新入社員が職場に馴染みやすくなることが目的の施策であり、新入社員からの提案で制度化が実現しました。

職場内のコミュニケーションを活性化して良い人間関係をつくれば、職場への所属意識や業務への意欲が向上し、生産性アップにつながるでしょう。

2.ヤフー株式会社「企業内保育所 HUTTE(ヒュッテ)」

出産休暇・育児休暇を取得した従業員の復職や継続就業支援として、2018年7月より、本社が入居するビル内に保育所を開設しました。

ヤフー株式会社は従来「えらべる勤務制度」など育児中の従業員が働きやすい制度を実施しており、産休・育休後の従業員復職率は2017年度で96.1%を達成しています。さらなる強化策として企業内保育所を実施することにより、人材の確保とキャリア形成を図りました。

子どもたちの豊かな心を育てるため、500冊もの絵本を設置し、読み聞かせも行っています。絵本の選定には「公益財団法人東京子ども図書館」の協力を得ました。保育所を利用しなくてもヤフー株式会社の社員であれば絵本を借りられます。

3.クルーズ株式会社「ルーラ制度」

船旅を提供する企業らしい福利厚生が、クルーズ株式会社の「ルーラ制度」です。勤続7年目の従業員に旅行費用15万円と休暇5日間を与えるもので、2011年から実施されています。十数人の従業員が利用しており、好評です。

ルーラ制度の目的は「長く働いてくれている従業員と、従業員をサポートしてくれている家族への恩返し」とされていますが、一人旅も認められており、独身者も取得できます。従業員に旅をする機会を提供することで、事業内容・サービスへの理解や共感を喚起する施策といえるでしょう。

4.株式会社サニーサイドアップ「失恋休暇」

PRやプロモーションなど多彩な事業を展開する株式会社サニーサイドアップは「たのしいさわぎをおこしたい」をモットーとしています。プライベートが充実することによって仕事の充実につながると考える同社は「32の制度」を実施しており、「失恋休暇」もその1つです。

失恋も人生の中で良い経験になるはず、という社長の考えによって制度化された「失恋休暇」。失恋の苦しみで手に付かない従業員は会社を休めます。PRやプロモーションは感動を与えることがキーになるため、従業員がさまざまな発想を得られるように人生経験を豊かすることを支援する福利厚生です。

5.GMOインターネット株式会社「おひるねスペースGMO Siesta」

短時間の昼寝をすると効率的に疲労回復できることが知られています。作業効率や生産性を上げる効果があるとして、GMOインターネット株式会社では従業員に昼寝を推奨しています。

2011年に設置したマッサージ・おひるねスペース「GMO BALI Relax」が従業員に好評だったため、昼寝用ベッドを30台した「おひるねスペースGMO Siesta」も設けました。耳栓やアイマスクも完備しており、12:30~13:30に利用できます。

6.ChatWork株式会社「ゴーホーム制度」

「ゴーホーム制度」は従業員が実家に帰省する際の費用を支援する制度です。帰省1回につき14,000円(従業員に配偶者がいる場合は×2)を年2回まで支給します。制度の適用基準は、職場から実家が140km以上離れていることです。

家族とのコミュニケーションを充実させることがリフレッシュにつながり、仕事のパフォーマンス向上に良い影響を与えるというアイディアは、コミュニケーションツールを運営する企業ならではといえるでしょう。

トレンドの福利厚生向けアウトソーシングサービス4選

福利厚生サービスを外部業者に委託する方法もあります。主なサービス提供業者を4つ、紹介します。

1.福利厚生倶楽部

株式会社リロクラブが運営する福利厚生代行サービスです。リゾート施設やエンターテインメント、グルメ、生活サポートといった大企業レベルの福利厚生を、企業規模を問わずに実施できるプランが用意されています。契約している企業の約78%が従業員数100名未満の中小企業です。

全国に福利厚生倶楽部の事業拠点があり、地域に密着した福利厚生が用意されています。会員専用サイトでは隔月で、全国50エリアのお得なサービス情報の配信も行います。

入会金は従業員数によって30,000~100,000円、月会費は会員1人あたり550~1,000円です(従業員数が100名未満~2,000名未満の場合)。

2.ベネフィット・ステーション

株式会社ベネフィット・ワンによる福利厚生代行サービスで、幅広いエリアとジャンルの福利厚生を提供している点が特徴です。旅行やレジャー・エンターテインメントなど福利厚生の定番ジャンルはもちろん、資格取得や留学支援から、人生のさまざまな節目におけるお祝い、健康診断や健康相談、リラクゼーションや美容、育児・介護支援、婚活支援までと多岐にわたります。

豊富な選択肢から、ライフステージやライフスタイルに合わせて、従業員が好きな福利厚生を選べる点が、現代の需要とマッチしているといえるでしょう。

3.オフィスおかん

「置き型社食」と銘打ち、職場の冷蔵庫に健康的な惣菜各種を「1品100円」で提供するサービスです。メニューは毎月20種類、肉や魚から季節の野菜までをおいしく調理した惣菜を手軽に食べられる環境を提供することによって、従業員の健康的な食生活や労働意欲換気への支援ができます。

メニューは管理栄養士が監修したもので、すべて国内製造、賞味期限は1カ月です。ランチだけでなく、朝食を食べずに出勤した従業員の朝食、午後のおやつ、夕食用に持ち帰りといった利用もできます。

企業規模に合わせて3サイズの冷蔵庫を展開しており、従業員の自宅へ届ける「オフィスおかん仕送り便」でテレワーク支援も可能です。

4.UNIPOS

従業員がお互いの功績に賞賛や感謝を伝えあえるWebサービスシステムです。メッセージと一緒に、お小遣いやギフトに交換できるポイントを添えることもできます。

ほめられたり感謝されたりすれば、さらに頑張ろうという意欲が湧くのが人情です。また、同僚を評価することで、反省や発奮の機会も得られます。それが企業の業績向上につながっていくのです。

ポイントの交換先は企業ごとにカスタマイズできます。また、企業で利用しているビジネスチャットと連携が可能なため、ログインの手間なく使用できるのもメリットです。

福利厚生制度を上手く活用して従業員満足度を向上させよう

福利厚生には法定福利と法定外福利があります。法定福利はすべての企業に義務付けられたものなので、法定外福利をいかに充実させるかが企業の差別化につながります。

法定外福利を上手に活用して従業員満足度を向上させ、人材の定着や求人におけるアドバンテージ、従業員の業務に対するモチベーション向上や生産性アップを図りましょう。

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