サーバントリーダーとは?経営者をボトムに置くことで組織を活性化できる

一人の力で出来ることは少なくても、人が集まり力を合わせれば大きなことを達成することが可能になります。それを仕事に置き換えると、大きな利益を生むことも不可能ではありません。

しかし、従来からある組織の枠組みでは、リーダーをトップに置いた支配的な縦型の体系で人を管理するため、所々に壁が出来やすくなる難点があります。

今、このような壁を無くし、風通しを良くすることで組織を活性化できる存在・手法として「サーバントリーダーシップ」が注目されています

この記事では、 社員一人一人が生き生きと働き、高いモチベーションを維持することにおいて有効とされる、サーバントリーダーについて詳しく解説していきます。

サーバントリーダーとは

サーバントリーダーとは、奉仕・支援型のリーダーのことを言います。

サーバントリーダーは、1970年アメリカのロバート・K・グリーンリーフが提唱した「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」というリーダーシップ哲学に基づいています。

サーバントリーダーの役割は、部下を引っ張っていくのではなく、部下が目標達成できるよう支援や援助を行い、時には軌道修正することです。その結果、周囲から「信頼」を得ることができ、主体的に協力してもらえやすくなります。まさに「人間力」で自然と人がついてくるのです。

このサーバントリーダーの生みの親アメリカのロバート・K・グリーンリーフは、社会人生活の大半をマネジメントの研究や開発、教育に力を注いだ人物です。カールトン大学を卒業後、父の経営する会社を2年経験し、その後大手通信会社AT&Tに勤めました。マサチューセッツ工科大学やハーバード・ビジネス・スクールでも講演を行い、退職後は教育コンサルタントとして活躍していました。

グリーンリーフは執筆活動も積極的に行っており、「真のリーダーはフォロワーに信頼されており、まず人々に奉仕することが先決である」と提言し、リーダーシップには高位な職権が伴うものではないとしました。

サーバントリーダーシップをはじめ彼のアイデアは今でも世界中で高い評価を得ています。

サーバントリーダーと従来からあるリーダーの違いとは

サーバントリーダーと従来からある支配型のリーダーでは大きな違いがあります。

根本の考え方として、支配型のリーダーは、より高い役職につくことを目指しながら組織を動かします。それに対して、サーバントリーダーは、メンバーを中心に考えた組織運営を行います。具体的な違いとして以下表にまとめました。

  支配型リーダー サーバントリーダー
目標 自分の地位をあげる 地位にこだわらず、人への奉仕
組織の動かし方 メンバーを支配する メンバーと協力する
コミュニケーション 人に指示や命令をする 傾聴やクリアリングなど人の意見・主張に心から耳を傾ける
仕事のスタイル 自分の利益のためにうまく立ち回る。自分の能力を磨き、その自信を元に指示を出す。 全員のために調整する。コーチングやメンタリングを通して、部下と共同で仕事をする。
成果 自らの成功 チームの成功
失敗 失敗した人を罰する 責任を明確化し、失敗から学ぶ

支配型のリーダーは、自分中心の考え方で、権力を誇示した命令や、どちらかというと一方的な説明でチームとのコミュニケーションを図っていきます。

一方、サーバントリーダーは、信頼関係を重視した考え方で、メンバーの話に耳を傾け、風通しのよい環境をつくり、協力体制をしっかりと作っていきます。

支配型リーダーとサーバントリーダーは、考え方から仕事のスタイルまでほとんどが対称的といえます。

サーバントリーダーのメリット・デメリット

サーバントリーダーを配置することで、どのようなメリットがあるのでしょうか?

組織にサーバントリーダーを配置することはメリットだけのように感じますが、実はデメリットも存在するのです。それぞれメリットとデメリットを紹介します。

メリット1:チームの結束力が高まる

サーバントリーダーがいる組織では、チームの結束力が高まりやすいのが特徴です。

チーム一人一人の意見が尊重され、一人一人が働きやすい環境となるだけでなく、リーダーとのコミュニケーションが円滑になるため、情報共有もしやすい環境となります。

結果的に、メンバー間に壁がなくなり、結束が生まれやすくなるのです。

グローバル化が急速に進む昨今、チームメンバーも多様化しています。その様な環境下でも結束を生みやすいのが特徴です。

メリット2:主体性が生まれる

支配型リーダーの場合、部下は指示された通りのことだけをこなしていれば、「とりあえず良し」とされます。

しかし、サーバントリーダーの場合、メンバー一人一人が考えて行動しなければなりません。

そのため、メンバーが主体的に思考する環境となり、全員が当事者意識を持って積極的に行動できるようになります。結果として組織全体としても活気が出てきます。

メリット3:生産性が上がる

サーバントリーダーの元では、メンバー一人一人が自主性を持てるようになり、社員のモチベーションも高く維持することができます。その結果、生産性が伸びるメリットも期待できるでしょう。

さらに、リーダーとメンバーが友好な関係を築けているため、サポートも円滑に行える環境となっており、業務効率向上も期待できるのです。

デメリット1:決定まで時間がかかる

メンバーに自主性を持たせるためには、メンバー自身に思考させ、気付かせる必要があります。

従来の支配型リーダーでは、リーダーが答えを出してくれるため、仕事関連の決定までの時間はそこまでかかりません。

しかし、サーバントリーダーでは、答えが出るまでサポートしてくれるものの、業務完了や意思決定まで時間がかかってしまうことが最大のデメリットと言えるでしょう。

デメリット2:環境についていけない人が出てくる

サーバントリーダーの組織では、コミュニケーションが大事となります。

そのため、コミュニケーションを苦手とするメンバーがいる場合は、対話により本人が思っていることを引き出すのに時間がかかったり、サーバントリーダーの技量によってはうまくコミュニケーションが取れない可能性があります。

サーバントリーダーはさまざまな性格のメンバーと上手にコミュニケーションをとる力量が必要とされ、それが十分でない場合には対話型の環境についていけないメンバーが出てくるかもしれません。

サーバントリーダーシップの導入方法

それでは、実際にサーバントリーダーシップを導入していくためには、どのようなことが必要になってくるのでしょうか。

1.サーバントリーダーシップの組織体系(逆ピラミッド型)への改変

まず、サーバントリーダーシップを取り入れていくには、組織改変が必要になります。

顧客は一番上に位置し、顧客のことを最もよく知っている現場の社員を尊重する逆ピラミッド型の組織づくりが必須と言えます。

現場社員の下にくるのは、チームのリーダーたる中間管理職。最前線で働く社員が力を発揮できるようサポートをし、目標達成まで尽力します。ピラミッドの一番下に来るのが経営層です。

日々変化していく現場の状況を把握し、どのようにすれば現場がより良く機能していくか方向性を意思決定していきます。

サーバントリーダーはこうした逆ピラミッド型の組織で、初めてその力を発揮していきます。そのため、サーバントリーダーを配置したいなら、まずは組織編成の見直しが必要になるのです。

2. 経営者側(ボトム)からサーバントリーダーの意識を持つ

組織の意識改革を行うには、まずはトップ自らが積極的に意識改革をしていく必要があります。

経営層からサーバントリーダーシップの精神を持ち行動していくことがいち早く意識改革を成功させるコツと言えます。

また、サーバントリーダーの意識を持つために、経営層からコーチングを学んでいくとより早くサーバンドリーダーシップを機能させることができます。

3.サーバントリーダーに求められる資質

サーバントリーダーに求められる資質ついて、グリーンリーフ・センター・アメリカ本部の所長ラリー・スピアーズが、「サーバントリーダーに求められる10の属性」として定義しています。

以下の求められる10の資質についてよく理解し、日々実践していくことが重要となります。

  • 傾聴(Listening):相手の意見や話を心から聞く
  • 共感(Empathy):相手の気持ちを理解・共感する
  • 癒し(Healing):偏らず、人を癒すことを意識する
  • 気づき(Awareness):意識を高め、特に自分への気付きから自部門を知る
  • 説得(Peruasion):権力や服従なしに、相手に納得できる
  • 概念化(Conceptualization):ビジョンを抱く能力を育てたいと願う
  • 先見力(Foresight):現状がもたらす帰結を見定められる
  • 執事役(Stewardship):大切なものを任せられるほど信頼される
  • 人々の成長に関わる(Commitment to the growth of people):自分や人の成長に深くコミットできる
  • コミュニティづくり(Building community):奉仕する人たちに、コミュニティを創る

「サーバントリーダーシップの10の属性」

NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会

サーバントリーダーシップ導入の企業事例

実際にサーバントリーダーシップを導入したことで、組織の改善に成功した企業が増加してきました。

その中でも、経営のトップである社長がサーバントリーダーシップを発揮した「良品計画」と「ダイエー」の事例をご紹介します。

事例1:良品計画

業績が急落したタイミングで良品計画の社長に就任となった松井忠三氏。就任後は、自ら全国の「無印良品」の店舗に足を運び、現場の声に耳を傾けました。

そこで見えてきた課題を元に、業務を見える化する「MUJIGRAM」というマニュアル作成と、社員の声を吸い上げるシステムの開発をしました。

「MUJIGRAM」 は現場社員の声に注目し、プラッシュアップを重ねています。サーバントリーダーシップの「傾聴」「概念化」「先見力」を発揮した事例です。その甲斐もあり、業績悪化からV字開発を果たしました。

事例2:ダイエー

売り上げが落ち込み、赤字店舗の閉鎖に踏み切ったダイエー社長の樋口泰行氏。対象の50店舗に自ら直接足を運び、閉鎖となった理由の説明とお礼をして回りました。

その結果、対象店舗の現場のスタッフのモチベーションが向上し、売り尽くしセールが成功。2年4ヶ月ぶりに前年比プラスの売り上げ結果となりました。

閉店後も現場スタッフのモチベーションは変わらず、他のスタッフにも浸透していきました。サーバントリーダーシップの「傾聴」「共感」「説得」を発揮した事例です。

サーバントリーダーシップの手法を上手く活用して組織を元気にしよう

サーバントリーダーシップには、組織を一気に良い方向に導くことができる要素が備わっています。

かし、それを充分に発揮するには適切な組織編成と、何よりも経営層が積極的に意識改革を促すことが重要です。

また、サーバントリーダーシップの効果を十分に発揮するためには、成果を正当に評価するための公正公平な人事評価制度の構築・運用も必要不可欠でしょう。

あしたのチームの「ゼッタイ!評価®」は、あらゆる業界の人事評価制度の構築・運用ノウハウがあり、目的にあった運用が可能になります。

サーバントリーダーシップの導入と一緒に、人事評価の見直しも検討されてみてはいかがでしょうか。

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