組織サーベイとは?実施する3つのメリットや種類、手順や注意点を解説

「組織サーベイの目的や効果が分からない」
「アンケート設計や運用のやり方に迷う」

上記のように感じる方は感じる方は多いと思います。また、調査のねらいが伝わらず、負担だけが増えると感じる現場も増えている状況です。

そこで本記事では、組織サーベイの基本や代表的な種類、失敗しない設計と運用の流れを体系的に解説します。さらに、社内の声をデータでつかみ、具体的なアクションへ落とし込む手順まで一本にまとめました。

会社での活用を早く進めたい方は、評価制度と連動した運用も見据えると効果が定着しやすいでしょう。また、会社での目標や評価とつなげたい場合は、あしたのチームの資料を参考にてみてください。

組織サーベイとは?

組織サーベイ

組織サーベイとは、企業や従業員に潜む課題を数値とコメントで可視化する調査のことです。

主に、アンケートや実態調査を用いて働き方・評価・育成・コミュニケーション・業務負荷などを体系的に集計します。また、部署別や年代別の違いも把握でき、現場の感覚に頼らない判断が可能です。

組織サーベイの実施によって、表に出にくい不満やリスクを早期に特定できます。さらに、配置や育成の見直し、評価基準の整備など具体的な打ち手へ結びつきができます。

組織サーベイを定期的に回すことで、施策前後の変化を追跡でき、改善の優先順位の明確化が可能です。

組織サーベイを実施する3つのメリット

組織サーベイ

従業員の声と現場の実態を集め、数値とコメントで整理すると、打つべき対策が見えてきます。

まず全体像をつかみ、次に優先順位を決める流れが作れます。以下の三点を押さえると、導入効果を感じやすくなります。

  • 社内の課題を早期発見できる
  • 従業員の満足度が向上し離職率の低下につながる
  • 組織の現状を数値化して把握できる

導入前後の比較も進めやすく、施策の見直しに踏み出しやすくなります。

社内の課題を早期発見できる

組織サーベイは、見えにくい社内の課題の早期発見が可能です。

主に、表面化しにくい人間関係の摩擦や部署ごとの業務負担の偏りなどは、日報だけでは捉えにくくなります。また、設問を仕事量・裁量・承認・対人関係などの領域別に設けることで、悪化しやすい領域が早めに浮かび上がります。

さらに、四半期ごとの短いパルス調査を回すと、変化の兆しを素早く検知可能です。

そのため、社内の課題を早期発見し大きなトラブルへ発展させたくない場合は、組織サーベイを実施しましょう。

従業員の満足度が向上し離職率の低下につながる

従業員の満足度が向上し離職率の低下につながることも、組織サーベイを実施するメリットの1つです。

従業員の満足度が向上し離職率が低下すれば、組織の業務や職場の人間関係が改善されるだけでなく、業務のモチベーションも向上します。さらに、社内の課題が洗い出され未然防止・早期発見が可能です。

そのため、組織サーベイを実施すれば社内の従業員は働きやすくなり、従業員の離職率の低下や定着率の向上が期待できます。

組織の現状を数値化して把握できる

組織サーベイは、組織の現状を数値化して把握できるため、漠然とした課題を明確化できます。そのため、感覚に頼らず現状を測ることが可能です。

主に、従業員満足度・エンゲージメント。心理的安全性などを全て数値化し、部署別や勤続年数別に集計します。また、平均だけでなく、項目ごとのばらつきや推移も確認できます。

前回比で上がった領域、下がった領域が一目でわかるため、対策・改善方法を検討しやすくなります。さらに、前回と今回で数値がどのように変化したのか追跡すれば、施策の効果測定が可能です。

そのため、現状の課題を具体的に把握し、対策方法を検討したい企業は、組織サーベイを実施してみましょう。

組織サーベイの主な種類

組織サーベイ

部門の状態や人の声は、目的に合った調査で拾いやすくなります。代表的な種類は次の五つです。

  • 従業員満足度調査(ES調査)
  • エンゲージメントサーベイ
  • パルスサーベイ
  • モラールサーベイ
  • ストレスチェック

名称だけで選ぶと狙いがぼやけます。各調査の狙いと使いどころを押さえ、優先課題に合う手段を選びましょう。

従業員満足度調査(ES調査)

従業員満足度調査(ES調査)とは、働きやすさへの満足度を数値で捉え、職場環境の改善点を調べる調査のことです。

従業員の不満を解消し離職率の低下につなげるだけでなく、給与や評価、上司の支援、成長機会、設備や制度など幅広い範囲の調査をします。さらに、愛社精神や帰属意識が向上し、生産性やモチベーションの向上にもつなげられます。

調査結果は部門別や年代別に分類しそれぞれの差を確認し、優先度の高いテーマから対策を実施し改善後に再度測定しましょう。また、打ち手の妥当性を検証しましょう。

関連:従業員満足度調査(ES調査)は魅力ある職場づくりに必須!メリットや調査の手順を解説

エンゲージメントサーベイ

エンゲージメントサーベイとは、企業の経営理念が従業員に共感される組織にし、愛着や貢献意欲を向上させるために行う調査のことです。

調査する内容は、主に理念への共感・仕事の意義・挑戦機会・称賛と承認・学習と成長などです。また、単なる満足度だけではなく、前向きな行動につながる心理状態にも焦点を当てます。

企業と従業員の方向性が一致していない場合、従業員のモチベーション低下や離職率の増加になります。しかし、エンゲージメントサーベイを実施すれば未然に対策が可能です。

そのため、自社の従業員がどれだけ企業の方向性とマッチしているのか把握したい場合は、エンゲージメントサーベイを実施しましょう。

関連:成功するエンゲージメントサーベイの秘訣とは? 目的設定から効果的な進め方

パルスサーベイ

パルスサーベイは、短期間で定期的に調査を実施し、組織全体が抱えている課題をタイムリーに把握するために行う調査のことです。

主に、週に1回や月に1回などの頻度で調査を実施し、コンディションの急変や施策の反応を早期に把握し対策を行います。

回答負担があまりかからない調査であるため、回答率が安定しやすく高い精度で時系列に沿ったデータ収集・分析が可能です。また、結果はダッシュボードで可視化し、前回比や移動平均で傾向を追います。

この時、前回よりも数値が低下した部門には、一次対応のフローを用意し、早めに手を打ちます。

モラールサーベイ

モラールサーベイは、従業員の士気や職場の雰囲気を評価し、組織風土の強みと弱みを見極めるために行う調査のことです。

社内の士気が低く雰囲気があまり良くない職場であれば、従業員の労働意欲低下につながります。そのため、調査では信頼関係や規律、オープンさなどの文化に関わる要素を主に調査し、都度改善策を検討します。

これらの分野は、研修の実施や制度の改正だけでは変化しにくい領域でもあるため、モラールサーベイの実施が欠かせません。また、定例会や1on1の設計などを行い、社内にモラールサーベイを根づかせることが大切です。

ストレスチェック

ストレスチェックとは、従業員のストレスレベルを調査するために行います。

主に、心身の負担を計測し、メンタル不調のリスクを早期に察知し、仕事量・裁量・対人関係・支援不足などを確認し、集団分析で職場の傾向を特定します。

高ストレスがかかっている従業員には、医師面接などの支援へつなぎ、職場全体では業務設計や要員計画を見直します。

ストレスチェックでは個人の守秘を徹底しつつ、組織課題は匿名集計で共有するのが重要です。そのため、ストレスチェックを行う際は、安全配慮と生産性の両立を目指し、継続的に運用するようにしましょう。

参考:労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」の具体的な運用方法を定めた省令、告示、指針が公表されました|厚生労働省

組織サーベイを実施する手順【4STEP】

組織サーベイ

組織サーベイは流れを押さえるほど成果に結びつきます。ここでは準備から改善までを四つの段階で整理します。

まず全体像を確認してから各ステップを深掘りしましょう。

  • 1.組織課題を明確にする
  • 2.調査項目と調査方法を決める
  • 3.従業員へ周知し実施する
  • 4.調査結果を収集・分析し改善を行う

次の小見出しで、それぞれの要点と進め方を具体的に紹介します。

1.組織課題を明確にする

組織サーベイを実施する際は、最初に組織課題を明確にします。

組織サーベイでは、どのような組織課題に対してどのような調査を実施するのかを判断するのが大切です。

例えば、「離職率を抑えたい」「評価への納得感を高めたい」「残業の偏りをなくしたい」など、社内で抱えている課題を洗い出します。また、組織課題が明確化すると調査対象者・調査期間・必要な設問が決まりやすくなります。

さらに、回収率や満足度スコアなど、後で振り返れる物差しを先に決めておきましょう。

2.調査項目と調査方法を決める

組織課題が明確になったら、続いて調査項目と調査内容を決めていきます。

例えば、記名で実施するオープンアンケートと匿名で実施するクローズドアンケートという方法が組織サーベイでは用いられます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、しっかり検討するのが大切です。

率直な声を集めたい場面では匿名が向きますが、個別フォローが必要なら記名が有効です。

調査項目では、数値で比較しやすい五段階評価を軸にし、背景や提案を拾う自由記述を少し加えるなど回答負担と集計・分析のしやすさを考慮しましょう。また、実施手段はWebフォームが扱いやすく、スマートフォンからの回答にも対応させられます。

3.従業員へ周知し実施する

組織サーベイの調査設計が終わったら、従業員へ組織サーベイを実施する旨を伝えることが大切です。

特に、実施する目的・回答の扱い方・調査の所要時間・締切日時・問い合わせ先などをわかりやすく伝えるようにしましょう。

また、匿名の場合は回答の扱いを明確にし、調査結果は改善のために役立てることを周知すると、従業員からの信頼や安心を獲得するのが可能です。

さらに、調査時期は繁忙期を避け、休憩前後など回答しやすい時間帯に案内を送ることで、回答率の向上を期待できます。さらに、期日が近づいたら短いリマインドを送付すると、より回答率が向上します。

4.調査結果を収集・分析し改善を行う

調査が完了し、結果を収集したら分析し数値化したり、過去の結果と比較したりして調べます。この時、全体平均だけでなく、部門や年代で分けて調査結果の差を比較すると、より具体的な課題が見えてきます。

調査結果を分析したら、適宜改善策や新体制構築のための資料として役立てていくことが大切です。また、課題ごとの優先度と施策による効果の見込みを検討し、担当者と期限を割り当てます。

しっかりと組織サーベイの結果が反映され、社内状況が改善されていくことで、従業員は企業に対して信頼感や安心感を覚えやすくなることでしょう。

組織サーベイを実施する際に注意すべき3つのポイント

組織サーベイ

組織サーベイは進め方を誤ると信用を損ね、回答も集まりません。

失敗を避けるために、実施前から実施後までの要点を三つにしぼって確認しましょう。

  • 実施目的と調査結果を従業員に共有する
  • 従業員が負担にならない時期や頻度で実施する
  • 目的に応じて調査対象者や項目を設定する

実施目的と調査結果を従業員に共有する

組織サーベイを実施する際は、実施目的と調査結果を従業員に共有するのが大切です。

組織サーベイを実施する目的と結果を従業員へ開示すると、安心感を与えられるため、率直な回答が集まりやすくなります。そのため、実施する前に活用範囲・匿名か記名か・回答データの扱い・公開範囲を明確に伝えましょう。

また、実施後は主要な数値・見えた課題・着手する改善案・実施時期まで共有するのが大切です。

従業員が負担にならない時期や頻度で実施する

組織サーベイは、実施時期や頻度が従業員の負担になる場合があるため、繁忙期や賞与査定直前のタイミングは避け、回答に十分な余裕がある週を選びましょう。また、月次は負荷が高いため、四半期ごとや半期ごとの定点観測が現実的です。

設置する設問は短時間で終えられる分量に整理し、スマホでも回答しやすい設計にします。

回答所要時間、締切、問い合わせ先も先に知らせることで、回収率を高めることが可能です。

目的に応じて調査対象者や項目を設定する

目的に応じて調査対象者や項目を設定することも、組織サーベイを実施する際に注意すべきポイントの1つです。

例えば、従業員の労働意欲を調査したい場合は、やる気や企業に対する思いに関する項目を設置すると、狙った回答を得られやすくなります。また、エンゲージメントの把握が目的の場合は、仕事の意義・成長実感・上司支援・評価の納得感などの項目を設置するのがおすすめです。

調査対象者は、新入社員だけ・管理職だけなどに対象をしぼることが効果的です。

組織サーベイを実施するなら「あしたのチーム」がおすすめ!

組織サーベイ

組織サーベイは、課題の早期発見や離職の抑制、エンゲージメントの向上に直結します。ただ、設計と運用を上手に回さないと、負担が先に立ち現場の納得を失いがちです。

また、あしたのチームは、サーベイ設計・配信・ダッシュボードでの可視化・評価制度との連動などを一貫して支援しています。さらに集計だけで終わらず、現場が動ける打ち手づくりまで伴走します。

これから組織サーベイの実施を検討している企業は、あしたのチームの資料ダウンロードをしてみましょう。

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株式会社あしたのチーム運営

この記事の監修者   あしたのチーム編集部さん

あしたのチーム編集部は、企業の経営者やビジネスパーソンに向けて、働き方改革や組織活性化に役立つ知識をさまざまなコンテンツを通じて発信しています。
より良い経営や人材活用のヒントにつながる情報を、わかりやすくお届けすることを目指しています。

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