R&Dとは?種類、メリット・デメリット、企業事例、課題について紹介

R&Dは、企業が新しい製品を生み出し、既存商品を改良するために欠かせない研究開発のことをいいます。商品化される技術だけではなく、未知の技術を追求する基礎研究などもR&Dに含まれます。

本記事では、R&Dの種類などの基礎知識や、企業にもたらすメリット・課題について解説します。

R&Dとは

R&Dとは、Research and Developmentの略で、研究開発のことをいいます。メーカーが自社独自の新技術を開発し、新たな素材やそれらを活かした新商品を世に送り出すことを指します。

また、技術革新が日々進む現代では、メーカーだけでなく、流通業やサービス業、IT業など、さまざまな業種でR&Dのニーズが高まっています。最先端技術として注目されるAIを活用したロボット開発やビックデータの研究もR&Dに当てはまります。

R&Dの種類

R&Dは、「基礎研究」「応用研究」「開発研究」の大きく3つに分けられます。

基礎研究

基礎研究とは、純粋に科学的に新たな技術を追求する研究をさします。例えば、通信産業であるNTTでは、基礎研究として未来のイノベーションにつながる技術の開拓を進めています。世間に提供されるサービスとは別に、社会に変革をもたらすコンセプトを実現する先端技術を追い求めるのが、基礎研究といえます。

応用研究

応用研究とは、基礎研究で確立された科学的事実を、実用化に向けて追求する研究をいいます。また、すでに実用化された技術の新たな使い方を探る研究も、応用研究に含まれます。具体的な技術・製品へと結びつけるための研究であり、明確な期日を定め研究に取り組むケースが多く見られます。

開発研究

開発研究とは、基礎研究と応用研究から得られた技術を活用し、最終的な商品化にむけた研究を指します。複数の要素を組み合わせて開発を行うこともあります。技術の追求という視点だけではなく、商品化のためのマーケティング的視点も求められる研究です。

R&Dの目的

R&Dを企業が行う第一の目的は、将来的な事業発展のためといえます。すでに大手のシェアを獲得している企業であっても、世間のニーズや社会の価値観は変わり続けます。時代の流れに合わせて、新たな技術や商品が開発されることで、人々の暮らしは豊かに便利になってきました。

たとえば、飲料品メーカーであるアサヒグループの研究開発では、女性の月経前の精神的不調を緩和する効果のある「ラクトバチルス・ガセリCP2305株」の研究を進めています。こうした研究結果が商品開発につながれば、飲むことで月経前の不調を和らげる飲料品が簡単に手に入る世の中になるかもしれません。

現状に満足することなく、未来の商品につながる研究開発に投資を続けることで、企業は発展してきたといえます。

参考:【研究成果】「ラクトバチルス・ガセリCP2305株」が女性の月経前におけるゆううつな気分や不安感を緩和することを解明

R&Dを設置するメリット

R&Dを設置するメリットは、製品化につながるほか、企業の競争力が強まり他社との差別化が行えることがあげられます。

製品改良や新製品開発つながる

研究開発を続けることで、まだ世にない製品を生み出すことができます。また、研究開発で新たに見つかった科学的知見が、既存製品の改良に使われることもあります。

企業の競争力の強化

基礎研究、応用研究を経て商品化された製品は、これまでにない世間のニーズを満たすものかもしれません。新しい技術や製品を絶えず生み出すことは、企業の競争力強化につながります。変化の速い現代において、企業が生き残るためには必要なものといえるでしょう。

企業の知的財産が増える

研究開発で蓄えられた新技術や研究結果は、企業の知的財産となります。特許申請により、知的財産を保護することが可能です。新しい技術は、もしかしたら市場にイノベーションを起こすかもしれません。知的財産は、企業の将来性を支えるものになるのです。

R&Dを設置するデメリット

事業成長につながるR&Dですが、維持コストの問題などから自社で内製するのが難しいケースもあります。

商品化までに時間がかかる

研究開発で追求した技術が、いつ商品化できるかは明確にはわかりません。とりわけ基礎研究の部分においては、成果といえるものが立証されるまでも時間がかかります。研究開発費が売上に結びつくには、長い時間がかかると考えられます。

投資費用がかかる

研究結果が、商品化や製品の活用に結びつかないケースもあります。その場合、R&Dへの投資費用だけがかさむことになりかねません。R&Dの活動を途絶えさせないためには、研究開発への予算を確保しつつ、次につながる成果を出すことはもちろん、研究開発へ投資する意味を経営陣が理解することが必須といえるでしょう。

人材確保が困難

R&D部門では、扱う技術に精通した知識を持つ人材が欠かせません。少子高齢化が進む現代では、優秀な人材を確保することが難しくなります。また、育成した人材が他社に流れる可能性はゼロにはできないため、常に人材確保、育成、職場環境の整備などに注力する必要があるでしょう。

R&Dの企業事例

実際に企業ではどのようなR&Dが行われているでしょうか。以下に、3つの企業の事例をご紹介します。

「生活習慣のReDesign」を掲げる|ライオングループ

ライオングループは、「生活習慣のReDesign」を掲げ、幅広い分野での基礎研究開発、製品開発研究に挑んでいます。基礎研究では、「口腔」「界面」「香料」「安全性」「分析」「生命科学」と6つの分野での研究が進んでおり、近年登場した幼児用の安全歯ブラシである、「まがれる・おれない安全ハンドル」も、こうした基礎研究の結果といえるでしょう。

製品開発研究でも、「お口のケア」や「住まいと衣類のケア」といった、同社の製品を改良する技術の研究が続けられています。部屋干しの洗濯物の嫌な臭いを軽減する「部屋干しトップ」の製品は、基礎開発研究を経て生まれたものです。変化する生活スタイルや価値観にあわせた商品を生み出す背景には、このような地道な研究開発があることがわかります。

R&Dが事業の要である化粧品|資生堂

イノベーションを創出する要として、研究開発を事業の中核に据えている資生堂では、独自の考え方を定義し、唯一無二の価値を生み出しています。

もともとは1916年に設立された「試験室」が、西洋の科学と東洋の英知を融合したことが資生堂のR&Dのはじまりです。現在では「資生堂グローバルイノベーションセンター」を中心とした、さまざまな研究開発が行われています。

化粧品を心地よく使うための「感性研究」、化粧品に使用する成分開発をつかさどる「マテリアルサイエンス」、そのほか「皮膚科学」や、新しい研究領域に位置づけられる、毛髪再生医療や化粧品のカウンセリングで活用するデジタル技術開発など、多様な領域が事業を支えていることがわかります。

日本だけでなく、アジア、アメリカ、欧州にも研究開発の拠点をおいており、研究開発の動きはグローバルに渡ります。

テクノロジーでスポーツを変革する|ミズノ

ミズノは、人を中心としたメカニズムへの研究を通じ、スポーツの世界にさまざまな革新をもたらしてきました。同社は「スポーツで人を幸せにする」という研究開発ビジョンのもと、5つの領域で研究開発に取り組んでいます。

スポーツでたくさんの子どもを育む「教育」、スポーツで心身ともに健康な人を増やす「健康」、スポーツで人の限界に挑戦する「競技」、スポーツで働く人を元気にする「ワーク」、スポーツで地球環境を良くする「環境」と、一見すると事業には直結しない領域にも注力していることがわかります。

2022年秋には、研究開発への投資を支えイノベーションを創出する「イノベーションセンター」を建設予定であり、スタートアップとの協業も盛んです。

R&Dに関する課題

新たなイノベーションを生み出し、時代の変化に適応する商品を世に送り出すR&D。代えがたい重要性の一方で、企業がR&Dへ投資し続けるには課題も残されています。

投資対効果の適切な管理の難しさ

研究開発の成果が、すべて商品化に結びつくとは限りません。また基礎研究で得られた成果が、実用化につながるまでの時間を正確に測定するのは至難の技です。そうしたR&Dにかかる予算を確保するのは、企業の強い意志が求められます。

業績不振や不景気のなかでは、企業はコストカットを迫られます。株主など、ステークホルダーの理解を得なければ、予算確保が難しくなるかもしれません。たとえ基礎研究や応用研究で成果が出たとしても、「研究開発費が多すぎる」という声があれば、予算の見直しを迫られるでしょう。

どれくらいの投資に対して、どのようなリターンが得られたのか。不確実性の多いなかでも、投資対効果を見極める力が求められます。

自前主義からの意識転換

自前主義とは、研究開発で得られた特許といった資源を、自社で活用して事業展開を図ることをいいます。昨今では、R&Dは自社だけに限らず、アライアンス提携といった形で他社と協業する動きが見られます。新技術の開発に取り組むスタートアップと連携したり、基礎研究を続ける産学提携を結んだりする流れは、自前主義からの脱却といえるでしょう。

たしかに、自社独自の特許や技術を持つことは、市場での競争力の強化につながります。しかしながら、時代の流れや技術革新のスピードが速い現代では、協業により新しいイノベーションを生み出す視点が欠かせません。自前主義にこだわるあまり、R&Dで遅れをとってしまう可能性がゼロとはいえないのです。

R&Dを上手に活用して将来性のある企業を目指そう

R&Dは、事業成長には欠かせない部門です。普段、消費者の目に触れる機会はありませんが、基礎研究や応用研究の結果、新たな製品が消費者の手に届きます。自社製品やサービスを改良し続け、事業を成長させるには、R&Dの視点が欠かせないものといえるでしょう。

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