振替休日の期限はどれくらい?厚生労働省が定める労働基準法を解説

企業における就業規則の中でも、 「労働基準法」 は人事担当者が押さえておくべき規則のひとつです。特に、よくある質問として振替休日の期限が挙げられます。

そこで今回は、振替休日をはじめとした労働基準法における「休日」の定義を、それぞれの項目ごとに詳しく解説していきましょう。

振替休日とは?

振替休日とは、休日が日曜日や祝祭日といったその他の休日と重なった場合、月曜日以降を休日にすることで休日が減らないようにする制度のことです。

「国民の祝日に関する法律」第3条第2項により「国民の祝日」が日曜日に当たる時は、その日の後の最も近い平日を休日とすると定められています。

こうした振替休日の規定は日曜日が休日であり、ほかの曜日が通常は休日でないことを前提とした作りになっています。なお、法律中に「振替休日」の語句はないため、振替休日とは一般的な通称となっています。

また、ビジネス上の意味では休日出勤が必要な時、あらかじめ所定の休日とほかの勤務日と入れ替えておくことを振替休日と呼んでいます。

労働基準法上ではカレンダー上の振替休日を企業の休日としなければならないと決められていません。そのため、月曜日の振替休日を勤務日としても問題ないといえます。

振替休日と代休の違い

ビジネスにおける振替休日とは「休日と勤務日をあらかじめ交換しておくこと」です。

一方、代休とは「急な休日出勤の代わりにほかの勤務日の勤務を免除すること」を指します。

出勤した分の休みを「あらかじめ」決定していたか、または「事後に」決定したのかが両者の大きな違いとなります。

まず、振替休日の場合、本来休日とされている日に社員が出勤したとしても、その休日出勤は「勤務日の出勤」として取り扱われ、代わりの休日は「休日に休んだ」ものとして取り扱われます。

しかし、代休の場合、休日出勤は「休日に出勤した」ものとして取り扱われ、代わりとなる休日は「勤務日に休んだ(勤務免除された)」ものとして見なされることになります。

このような違いから、両者では賃金計算方法も異なります。労働基準法で「休日出勤を行わせた場合には休日手当として35%の割増賃金を支払わなければならない」と規定されていることをふまえ、振替休日と代休それぞれの休日手当について見てみましょう。

振替休日 休日手当の支払いは必要ない事前に決められていた振替によって所定の勤務日に出勤したこととされます。休日と労働日が入れ替わっただけと解釈されるため、休日手当を支払う必要はありません。
代休 休日手当の支払いが必要休日出勤し、その分の休みを事後に取得することとされます。労働基準法に則り、35%の割増賃金の支払いが必要です。

「休日出勤」とは「土曜日か日曜日のどちらかに出勤すること」あるいは「両方に出勤すること」と解釈されがちですが、正確には「休日と予定されていた日に出勤することになった」状態を指します。

つまり、前述の通り、休日と労働日の交換が予定されていたかどうかが割増賃金が発生するかどうかの分かれ道となります。

所定休日と法定休日の違い

次に、混同されがちな所定休日と法定休日の違いについても見ていきましょう。

所定休日とは

労働基準法第32条では、労働時間の上限が1日8時間・週40時間と定められています。

1日8時間勤務の場合、5日の時点で労働時間が40時間に達するため、労働者をこれ以上働かせることはできません。労働基準法では休日は週1日与えれば良いとされているものの、休日を週2日に設定する企業が多いのはこのためです。

たとえば、土曜日と日曜日の週休2日制の場合、1日は労働者に必ず与えなければならない「毎週少なくとも1回の休日(法定休日)」に該当。もう一方、法定休日以外に会社が労働者に与える休日を「所定休日(法定外休日)」と呼んでいます。2日の休日のうち、どちらを法定休日とするのかは就業規則などで定めておく必要があります。

なお、所定休日に労働者を勤務させても休日労働として扱われないため、割増賃金の支払い義務は生じません。ただし、週の労働時間が40時間を超える場合は時間外労働となるため、25%以上の割増賃金の支払いが必要です。

法定休日とは

労働基準法第35条1項では、労働者に対して「毎週少なくとも1回の休日(または4週間に4回)」を与えなければならないと定められています。このような法律で定められた休日を法定休日といいます。

また、労働基準法第37条では、企業が時間外や「休日」に労働者を働かせた場合、35%以上の割増賃金を支払わなければならないと定められています。この「休日」とは、法定休日のこと。つまり、割増賃金が必要になるかどうかが法定休日と所定休日の最大の違いです。この点をふまえ、企業には法定休日と所定休日を就業規則に明記しておくことが求められます。

振替休日の期限

振替休日とは、あらかじめ申請して法定休日を平日の勤務日と交換しておくシステムのことです。

法律上その期限は存在せず、また休日出勤が決定した時点で事前に振替休日の日程も決まるという特性からも期限が存在しません。ただし、労働基準法第115条で定められている請求権に則るとすると、2年で消失する可能性もあります。

振替休日の明確な期限はないものの、慣例としてほとんどの企業が賃金計算のもととなる1ヶ月以内で消化するようルール付けしています。

その他労働基準法で確認しておきたいポイント

これまでご紹介した項目以外に、休日に関してチェックしておきたいポイントもあわせて解説します。

サブロク協定

法定労働時間を超える労働(残業)、法定休日の労働(休日出勤)が即座に法律違反となってしまうわけではありません。

あらかじめ企業側と労働者側で話し合って労使協定を結び、労働基準監督署に届け出ておくことで企業は合法的に従業員へ残業・休日出勤をさせることができます。労働基準法の第36条に定められている、いわゆる「サブロク協定」です。

ただし、労働時間に上限を定める必要があるため、サブロク協定さえ出せば何時間でも労働して良いということにはなりません。また、残業手当や休日出勤手当も都度必要となります。

休日労働の規制

振替休日があることを理由に休日労働を頻繁に行わせることは、労働者の私生活を乱すことにつながります。そのため、法定休日に労働するにあたって次の3つが法で定められています。

  1. 非常災害時災害その他避けることのできない事由によって臨時に必要がある場合。使用者が労働基準監督署長の事前許可を得ること(法33条1項)。
  2. 公務上の必要がある場合労基法の適用事業に該当しない官公署の公務員についての規定。(法33条3項)
  3. 36協定の定めによる場合使用者と労働組合又は労働者の代表との協定に基づいて休日労働をさせることができる(法36条)。
    必要な理由、業務の種類、労働者の数、休日労働の対象となる休日、協定の有効期間等を定めて労働基準監督署長に届け出ることが必要(法施行規則16~17条)。

また、労働基準法の解釈として、就業規則などで振替休日の定めをすること、振替休日と労働日を特定すること、事前に労働者に通知すること、できるだけ近接した日に振替休日を設定することなどが求められています。就業規則に明確なルールを記載しておくことをおすすめします。

有給休暇

労働基準法39条では、労働者に毎年一定日数の「年次有給休暇」を付与することを義務づけています。所定の休日以外に一定の休みを与えることで、労働者は心身疲労を回復したり、ゆとりのある生活を目指すことができます。

フルタイムの場合、雇い入れの日から6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤すれば10日の有給休暇を付与する必要があります。その後、1年ごとに付与される日数が加算され、雇い入れの日から6年半以上勤務する場合は毎年20日ずつ有給休暇が付与されることになります。

有給休暇は労働者の権利であるため、企業の承諾や同意なく有給休暇の時季を指定することができます。ただし、例外として、労働者が請求する時季に有給休暇を取得することが「事業の正常な運営を妨げる場合」には「時季変更権」によって他の時季に指定するよう求めることができます。

正しい勤怠管理と人事評価が企業の魅力を高める

「振替休日」「代休」「法定休日」「所定休日」など、休日にはさまざまな種類があり、それぞれ定義が異なります。

労働者側から見ればどれも同じに思えるものですが、企業側は正しく認識・運用し、未払いなど不測の事態を起こさないよう努めなければいけません。

労働者のワークライフバランスを守るためにも、日ごろから適切に勤怠管理をするよう心がけておきましょう。また、勤怠管理だけでなく、同時に社員の人事評価も正しく行えるよう、評価の制度や仕組みを見直してみるのも良いでしょう。

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