「人事評価制度を作りたいけれど、何から手をつければいいのか分からない」
「評価基準が曖昧で、社員から不満が出ている」
「制度はあるものの、形骸化していて人材育成につながっていない」
本記事を読んでいる方の中には、このような悩みを抱えている方も多いでしょう。人事評価制度は、単に従業員を格付けする仕組みではありません。正しく設計すれば、社員のモチベーションを高め、企業の成長を加速させる強力なツールになります。
本記事では、人事評価制度の具体的な作り方を8つのステップに分けて分かりやすく解説します。
人事評価制度の作り方にお悩みなら「あしたのチーム」にご相談ください。
目次
人事評価制度の作り方【8STEP】

人事評価制度を構築する際は、以下の順を追って進めることが大切です。まずは全体の流れを把握しましょう。
- 人事上の課題を明確にする
- 制度導入の目的をはっきりさせる
- 等級・報酬など他制度との整合性を取る
- 評価項目と評価基準を設計する
- 評価結果の反映ルール(昇給・昇格など)を決める
- 評価者(上司・幹部)への研修を行う
- 社員に制度内容を周知する
- 導入後は定期的な見直しを行う
これらのステップを順番に進めることで、自社に最適な制度を形にできます。各工程のポイントを詳しく説明します。
人事評価制度で使用する評価シートについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご確認ください。
関連記事:人事評価シートとは?目的や書き方までテンプレートつきで解説
1.人事上の課題を明確にする
人事評価制度を作る際は、まず自社が抱える人事の問題を洗い出す作業を行いましょう。現状の問題を特定しないまま制度を作ると、実態に合わないものになってしまいます。
例えば、若手社員の離職率が高い場合、原因は評価に対する不満にあるかもしれません。あるいは、特定の社員に業務が集中する属人化が起きているなら、スキルの可視化が不足している可能性があります。
よくある人事課題は、次のとおりです。
| 現状の課題 | 起こりうるリスク |
| 正当な評価がない | 社員のやる気やエンゲージメントが低下する |
| スキルを把握していない | 適材適所の配置ができず、組織の力が落ちる |
| 評価が個人任せ | 基準がバラバラになり、不公平感が生まれる |
まずは自社の状況を正しく把握し、何を解決したいのかを整理しましょう。
2.制度導入の目的をはっきりさせる
目的が定まっていないと、運用の途中でルールがブレてしまうため、課題の整理後は、次は制度を導入する目的を明確にしましょう。
主な目的としては、経営戦略や企業理念を社員の行動に結びつけることが挙げられます。会社が目指す方向性を評価基準に反映させることで、組織全体の成長を促せます。
また、社員の能力開発やキャリア形成を支援する視点も欠かせません。
評価を通じて「どのようなスキルを身につければ昇進できるのか」という道筋を示すためです。公平な処遇を実現し、社員が納得して働ける環境を整えることを目的に据えましょう。
3.等級・報酬など他制度との整合性を取る

人事評価制度は、単独で機能するものではありません。等級制度や報酬制度とセットで設計するのが基本です。
等級制度は、社員の役割や責任の重さを段階的に分けた仕組みです。
評価の結果が給与や賞与にどう連動するかも、あらかじめ決めておく必要があります。例えば「評価ランクがAなら基本給を〇%昇給させる」といったルールです。報酬制度と評価の内容が矛盾していると、社員の信頼を失うため注意しましょう。
4.評価項目と評価基準を設計する
次に、具体的に「何を評価するか」という項目と基準を決めましょう。職種や職位に合わせて、適切な評価軸を組み合わせることが大切です。
主な評価項目には、以下の3つがあります。
- 業績評価:売上や契約数などの数値目標
- 能力評価:職務に必要なスキルや知識
- 行動評価:チーム貢献やリーダーシップなどのプロセス
評価段階を何段階にするかも検討しましょう。5段階などの奇数にすると中央に評価が集まりやすく、4段階などの偶数にすると「良いか悪いか」をはっきりさせる傾向があります。自社の文化に合う方式を選択してください。
5.評価結果の反映ルール(昇給・昇格など)を決める
評価が決まった後の反映ルールを具体化します。昇給や賞与、昇格にどう結びつけるかを明確に規定しなければなりません。
この内容は就業規則や賃金規定にも反映させる必要があります。ルールが不透明だと、社員は「なぜこの給与なのか」と疑問を抱くからです。
公平性を保つためには、評価フィードバックの仕組みを設けることも重要です。評価の結果だけでなく、その理由を丁寧に説明することで、社員の納得感が高まります。ブラックボックス化を避け、反映の仕組みを社内にしっかり説明しましょう。
6.評価者(上司・幹部層)への研修を行う

評価者の主観や偏見によって結果が左右されると、不公平感が生じるため、制度を運用する評価者への研修は、制度の成否を分ける重要な工程です。
研修では、陥りやすい評価エラーについて学びます。例えば、一部の良い印象に引きずられて全体を高く評価してしまう「ハロー効果」などがあります。
公平な評価を行うためのマインドセットを教育し、共通認識を持たせましょう。また、評価マニュアルを整備し、実務レベルで評価シートの書き方や面談方法を指導します。評価者によるブレを最小限に抑える工夫が必要です。
7.社員に制度内容を周知する
制度が出来上がったら、全社員に対して内容を周知しましょう。社員が制度の内容を正しく理解していないと、不安や不信感につながってしまいます。
周知期間は1ヶ月程度設け、説明会や資料配布など複数の手段で伝えましょう。以下の内容を分かりやすく提示します。
- 制度を導入する背景と目的
- 具体的な評価項目とスケジュール
- 評価結果が給与や昇格にどう影響するか
単にルールを伝えるだけでなく、この制度が社員自身の成長やキャリアにどう役立つかを記載し、疑問を解消できる質問の場を確保することも大切です。
8.導入後は定期的な見直しを行う
人事評価制度は、一度作れば終わりではありません。導入後も定期的に運用状況を確認し、改善を繰り返す必要があります。
企業の成長や社会環境の変化に合わせて、評価項目を柔軟に修正しなければならないからです。従業員満足度調査やアンケートを実施し、現場の声を拾い上げましょう。
フィードバック面談の頻度は適切か、評価基準に不公平感はないかなどを検証します。ツールを活用して効率的にデータを集めるのも一つの方法です。常に「今の自社にとって最適な形」を追求し続ける姿勢が、制度の形骸化を防ぎます。
人事評価制度で設定・検討する主な評価項目

自社に合う制度を作るには、具体的な評価項目の種類を知る必要があります。
- 業績評価・能力評価・行動評価
- 360度評価・コンピテンシー評価
- 年功評価
これらの項目をどのように組み合わせるかが重要です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
業績評価・能力評価・行動評価
業績評価は、売上や新規契約数など、数値化された成果を基準にする手法です。目標管理制度(MBO)などが代表的で、結果が明確なため納得感を得やすいのが特徴です。
能力評価は、職務遂行に必要なスキルや知識、問題解決力を定義して判断します。今の役職に求められる力を備えているかを測るために活用する指標です。
行動評価は、仕事のプロセスやチームへの貢献、リーダーシップなど、数字で見えにくい要素を評価します。
これらを職種ごとに細かくカスタマイズすることで、実態に即した公平な評価が可能になります。主観を排除するため、明確なガイドラインを設定しましょう。
360度評価・コンピテンシー評価
360度評価は、上司だけでなく部下や同僚など、複数の立場からフィードバックを取り入れる手法です。多角的な視点によって客観性を高め、個人の盲点やチーム内での役割を把握するのに役立ちます。
コンピテンシー評価は、高い成果を出す社員に共通する行動特性や価値観を基準にします。組織が求める人物像を可視化できるため、人材育成や採用にも活用しやすいのがメリットです。
ただし、導入する際は評価基準を言語化し、評価者への教育を徹底することが不可欠です。
年功評価
年功評価は、勤続年数や年齢、会社への貢献度を重視する伝統的な制度です。かつての日本企業で主流でしたが、現在では成果主義への移行により減少しています。
長期的な雇用の安定や忠誠心を育む側面がある一方、若手のモチベーション低下を招くリスクがあります。年功を過度に重視すると、評価の不透明感が生じやすいため注意が必要です。
現代の制度設計では、年功要素をどの程度残すか、あるいは排除するかを慎重に判断しなければなりません。古い慣習による無意識のバイアスを排除し、現在の事業内容に即した評価軸への再定義が求められます。
年功序列制度に関してより詳しく知りたい方は、以下の記事もご確認ください。
関連記事:年功序列制度のメリットやデメリット|維持・廃止する際のポイントまで解説 | あしたの人事オンライン
人事評価制度の作成を成功させるための3つのポイント

制度を作っても、運用がうまくいかなければ意味がありません。成功のために押さえるべきポイントは以下の3つです。
- 評価者エラーを防ぐための教育とサポートを行う
- 評価後にフィードバックを行う
- 公平感を保つ制度運用を行う
これらを意識することで、社員が信頼を寄せる制度へと進化します。
評価者エラーを防ぐための教育とサポートを行う
評価者による主観的、感情的な判断を防ぐことは、制度の信頼性を守るために不可欠です。人間には無意識の思い込みがあるため、研修を通じて評価エラーの知識を深めなければなりません。
例えば、特定の項目が優れていると他も良く見える「ハロー効果」や、評価が甘くなりがちな「寛大化傾向」などがあります。これらを理解するだけで、より冷静な判断が可能になります。
評価マニュアルやチェックリストを整備し、誰が評価しても同じ結果になるようなサポート体制を整えましょう。透明性を高める努力が、制度全体への信頼につながります。
評価後にフィードバックを行う
評価結果を社員に伝えるフィードバックは、人材育成に欠かせないプロセスです。結果だけを伝えても、社員はどう改善すべきか分からず、モチベーションを落とす恐れがあります。
面談の場では、評価の理由や背景を丁寧に説明し、良かった点は認め、不足していた点は具体的な改善案を提示しましょう。
また、今後のキャリアに対する期待を共有することで、社員は前向きに業務に取り組めます。定期的な面談は信頼関係の構築にもつながり、離職を防ぐ要因にもなります。フィードバックを形だけのものにせず、対話を重視した運用を心がけましょう。
公平感を保つ制度運用を行う
評価の公平性は、社員が制度に納得するための最重要要素です。どれほど立派な基準を作っても、運用が恣意的であれば社員は不満を抱きます。
絶対評価と相対評価の特性を理解し、自社の組織構成に合った方式を選んでください。評価基準や給与への反映ルールは事前にすべて公開し、後出しの変更は避けるべきです。
上司の個人的な感情で評価が変わらないよう、組織全体でモニタリングを行う仕組みも有効です。定期的な社内アンケートで現場の不公平感を察知し、迅速に改善を図ることで、納得感のある制度運用を継続できます。
社会動向から求められる人事評価制度の視点

今の時代に合った制度を作るには、最新の社会動向を無視できません。
- 「同一労働同一賃金」時代の評価制度設計
- 副業・リモートワークと評価の関係
- 能力主義・成果主義への対応
変化の激しい現代において、どのような視点が必要なのかを解説します。
「同一労働同一賃金」時代の評価制度設計
「同一労働同一賃金」とは、業務内容が同じであれば、正社員や非正規雇用といった雇用形態に関わらず同等の待遇を求める考え方です。これに対応するには、職務ベースで評価項目を明確にする必要があります。
評価結果が給与や賞与にどう反映されるかを統一的に規定し、不合理な差が生まれないようにしなければなりません。役割に応じた評価基準を整備することが、法的リスクの回避につながります。
リモートワークなどの働き方の違いによって評価に差をつけることも、基本的には避けるべきです。あくまで「仕事の内容」と「成果」に焦点を当てた制度設計が、これからのスタンダードになるでしょう。
副業・リモートワークと評価の関係
テレワークや副業が普及したことで、上司が部下の働きぶりを直接見る機会が減っています。そのため、勤務実態の把握が難しくなっているのが現状です。
これからは、オフィスでの振る舞いだけでなく、オンラインでの成果や日常的なコミュニケーションの姿勢を把握できる仕組みが必要です。副業で得たスキルを本業に活かしている場合、それを前向きに評価する仕組みも検討しましょう。
リモート環境下では、目に見えない努力が評価されにくいという課題があります。プロセスを可視化するツールを導入するなど、場所を問わず正当な評価が下せる工夫が制度の質を左右します。
能力主義・成果主義への対応
日本の人事評価は、終身雇用を前提とした年功序列から、能力や成果に基づく形へと大きくシフトしています。個人のパフォーマンスを重視することで、市場競争力を高める目的です。
ただし、成果だけを過度に追うと、チームワークの欠如や短期的な利益追求を招く恐れがあります。そのため、結果だけでなく成長過程や組織への貢献度をバランスよく評価する視点が求められます。
成果主義を導入する際は、職務内容や達成すべき目標をこれまで以上に具体化しなければなりません。評価者が年功バイアスを持ち込まないよう教育を徹底し、組織全体の整合性を保ちながら設計を進めましょう。
人事評価制度の作り方にお悩みなら「あしたのチーム」にご相談ください

人事評価制度は、単に従業員を評価するための仕組みではありません。人材を育成し、組織の成長を実現するための重要な経営インフラです。課題の整理から始まり、目的設定、基準の設計、そして継続的な見直しまでを段階的に進めることが、成功への唯一の道です。
公平性と納得感を高めるためには、評価者への教育や丁寧なフィードバック、時代に合わせた制度改善が欠かせません。これらを疎かにせず、社員と会社が共に成長できる環境を整えましょう。
あしたのチームでは、豊富な導入実績に基づいたノウハウを提供しています。制度の構築から運用まで、自社に最適な形を模索している方は、ぜひ一度ご相談ください。
人事評価制度の「いまとこれから」
人事評価制度サービスをリードし続けるあしたのチームが考える人評価制度の「いまとこれから」、深い洞察とエビデンスに基づいた最新のレポートをダウンロードいただけます。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。
人事評価制度の役割とこれから〜基礎編〜

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。
人事評価制度の役割とこれから〜応用編〜

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。
人事評価を制度化する意義
あしたの人事オンライン 「あした」を変える「人事」が分かる総合メディア
