「エンゲージメント調査の方法が分からない」
「効果的な進め方や注意点を把握したい」
このような悩みを持つ人事・組織開発の担当者も多いのではないでしょうか。
エンゲージメント調査は、従業員の意識や組織の状態を把握するための重要な手法です。適切に実施すれば、課題の可視化や改善施策の検討につながります。一方で、設計や運用を誤ると、本音を引き出せず形骸化しかねません。
本記事では、エンゲージメント調査の基本的な考え方から、具体的な手法、実施フロー、失敗しないための注意点まで分かりやすく解説します。
従業員エンゲージメントの向上に課題を感じている方は、ぜひ「あしたのチーム」の資料もご覧ください。
目次
2種類の従業員エンゲージメント調査方法

従業員エンゲージメント調査には、主に2つの手法があります。
- パルスサーベイ|簡単な調査でリアルタイムの状態をチェックする方法
- センサスサーベイ|詳細な調査で包括的・多面的にチェックする方法
各手法を詳しく見ていきましょう。
パルスサーベイ|簡単な調査でリアルタイムの状態をチェックする方法
パルスサーベイは、週1回や月1回など短い周期で繰り返し実施し、従業員の状態を継続的に把握する調査手法です。
設問は5問から10問程度に抑え、回答時間が短く業務への影響も最小限です。そのため心理的負担が少なく、継続的な実施でも回答率を維持しやすい傾向にあります。
定点的に数値を追えるため、モチベーションの変化や小さな課題を早期に察知できます。組織の変化に素早く対応したい場合に有効な方法といえるでしょう。
センサスサーベイ|詳細な調査で包括的・多面的にチェックする方法
センサスサーベイは、従業員の帰属意識や仕事への満足度、エンゲージメントの状態を総合的に把握するために行う調査手法です。組織全体の傾向を確認する目的で活用されます。
実施頻度は年1回や半年に1回が一般的で、質問数は50問から100問以上に及ぶ場合もあります。意識面だけでなく、職場環境や人間関係など幅広い情報を収集できる点が特長です。
多くのデータを基に分析を行うことで、課題の要因や長期的な変化を把握できます。人事施策の見直しや組織改善を検討する場面で有効な方法です。
エンゲージメント調査を実施する際の2種類の選択肢

エンゲージメント調査を行う手段は主に以下の2つがあります。
- 自社で実施する
- 外部サービスを活用する
両者を比較するため、各選択肢の詳細を見ていきましょう。
自社で実施する
エンゲージメント調査を自社で行う場合は、Google フォームや社内アンケートシステムを活用して実施します。外部サービスに依存せず進められる点が、自社で調査を実施する際のメリットです。
自社の文化や課題に合わせて設問内容や実施方法を柔軟に調整できます。特定の施策や働き方に関する質問を自由に追加できる点も利点といえるでしょう。
外部費用がかからず、予算を抑えやすいため小規模な組織でも導入しやすい方法です。一方で、設計や分析には一定の知識と工数が求められるため、負担面も踏まえて検討すると良いでしょう。
外部サービスを活用する
外部サービスを利用する場合は、エンゲージメント調査に特化した専門会社やクラウドツールを活用して実施します。専門的な仕組みを取り入れられる点が、外部サービスを活用するメリットです。
人事領域の知見が反映された設問設計や分析ロジックを活用できるため、調査結果の精度を高めやすくなります。自社内だけでは見えにくい課題の発見も期待できるでしょう。
他社ベンチマークを用いた比較が可能なサービスも多く、結果を客観的に解釈できます。配信や集計の自動化により運用負担を抑え、改善施策に集中しやすくなる点も利点といえます。
エンゲージメント調査で確認すべき3つの指標

エンゲージメント調査の結果を読み解く際は、いくつかの重要な指標に注目する必要があります。
主な3つの指標を以下にまとめました。
- 総合的なエンゲージメントスコアの指標
- ワークエンゲージメント指標
- エンゲージメントドライバー指標
各指標の詳細を見ていきましょう。
総合的なエンゲージメントスコアの指標
総合的なエンゲージメントスコアは、従業員が企業や担当業務に対して抱く評価や愛着の度合いを示す指標です。組織全体の状態を俯瞰する目的で用いられます。
また、多くの調査ツールでは「eNPS(Employee Net Promoter Score)」や「総合満足度」として算出され、貢献意欲や定着意向を反映した全体指標です。数値が高いほどロイヤリティが高く、離職リスクが低い傾向にあります。
全体像を一目で把握できるため、経営判断に活用しやすい点が総合的なエンゲージメントスコアを指標とするメリットです。定期的に測定し経年比較を行うことで、施策の影響や組織変化を確認する指標として役立つでしょう。
ワークエンゲージメント指標
ワークエンゲージメント指標は「活力」「熱意」「没頭」の3要素から構成され、従業員が業務にどの程度前向きに取り組めているかを評価する指標です。仕事に対する充実度を把握する目的で用いられます。
業務にエネルギーを注げているか、仕事に誇りややりがいを感じているか、集中して取り組めているかといった心理状態を測定し、働き方の状態を可視化できます。
メンタルヘルス対策や働きがいの評価にも活用でき、部署ごとの比較によって課題のある領域を特定可能です。環境改善の優先度を判断する際に役立つ指標といえるでしょう。
エンゲージメントドライバー指標
エンゲージメントドライバー指標は、従業員のエンゲージメントを高める要因を把握するための指標です。数値の背景にある要素を確認する目的で活用されます。
総合スコアが結果を示す指標であるのに対し、ドライバー指標は原因にあたる項目を測定します。評価制度への納得感や上司のマネジメント、人間関係、業務内容、報酬など、影響要因を多面的に捉えられる点がメリットです。
分析を行うことで、スコア低下の要因となる課題を具体的に特定できます。改善の優先度や施策の方向性を明確にし、実行計画へつなげやすくなるでしょう。
エンゲージメント調査の進め方【4STEP】

エンゲージメント調査を成功させるには、正しい手順で準備と実施を進める必要があります。
エンゲージメント調査を進める手順を以下の4STEPに分けて説明します。
- 調査の目的設定
- 設問の設計
- 社内周知・調査実施
- 結果分析・改善策立案
各工程の詳細を見ていきましょう。
1.調査の目的設定
最初のステップでは、なぜエンゲージメント調査を行うのか目的を明確にし、全体方針を定めます。エンゲージメント調査の明確な目的設定が、高品質な調査を実施するための基本です。
定着率の改善や理念浸透、離職防止など、重視するテーマによって設問内容や対象者は異なります。目的が曖昧なままでは、分析や施策の方向性も定まりにくくなるでしょう。
具体的な目的を設定することで、従業員への説明がしやすくなり、調査への納得感や協力も得やすくなります。経営層や現場の課題を整理し、解決したいテーマを言語化することから着手してみましょう。
2.設問の設計
目的が定まった後は、目的に沿って設問を設計し、必要な情報を過不足なく得られる構成に整えましょう。また、回答者がアンケートに回答する際の負担を抑える視点も欠かせません。
人間関係に課題がある場合は、上司とのコミュニケーションや心理的安全性に関する項目を重視しましょう。職場環境や働きがいなど、組織全体を網羅する形にすると分析しやすくなります。
また、アンケートの回答形式にも配慮が必要です。5段階評価など数値化しやすい形式を用いることで、集計や比較が容易になります。他社データと比較できる設計にしておくと、客観的な評価につながるでしょう。
3.社内周知・調査実施
設問が完成したら、調査の実施に進みます。調査を実施する段階では、調査の目的や重要性を丁寧に従業員へ共有することが欠かせません。
URLを送付するだけでは不安を招きやすいため、結果の活用目的や個人が特定されない仕組みを説明し、安心して回答できる環境を整えましょう。プライバシーへの配慮を明確に伝えることが重要です。
繁忙期を避けて回答期間を設定し、PCやスマートフォンから手軽に回答できる形式を採用すると負担を抑えられます。必要に応じてリマインドを行い、回収率の向上を図りましょう。
4.結果分析・改善策立案
調査終了後は、収集したデータを集計・分析し、具体的な行動へ落とし込みましょう。分析工程が調査の成果を左右します。
スコアや傾向を確認し、組織の強みと課題を客観的に整理してください。全体平均に加え、部署別や年代別などでクロス集計を行うことで、属性ごとの特徴を把握しやすくなります。
ドライバー分析を通じて重点的に改善すべき項目を明確にし、優先度の高い施策を立案します。人事制度や育成施策と連動させ、改善を継続することが重要です。
エンゲージメント調査を行う際の3つの注意点

エンゲージメント調査は、進め方を誤ると従業員の不満を高めてしまうリスクがあります。主な注意点は以下の通りです。
- 目的と重要性を従業員に共有する
- 回答負担を軽減する工夫を行う
- 調査結果を必ずフィードバックする
各注意点の詳細を見ていきましょう。
目的と重要性を従業員に共有する
エンゲージメント調査を行う際は「なぜ実施するのか」という目的と重要性を事前に従業員へ共有することが重要です。背景を理解してもらうことで協力を得やすくなります。
説明が不十分なまま進めると、監視や評価への不安を招きやすくなります。目的を丁寧に伝えることで、回答時の心理的な抵抗を軽減可能です。
透明性を高めることで、従業員は職場改善の取り組みとして調査を捉えやすくなります。結果として正直な回答が集まり、施策の実行も円滑に進めやすくなるでしょう。
回答負担を軽減する工夫を行う
エンゲージメント調査では、従業員の業務時間を使って回答してもらうため、負担を抑える工夫が欠かせません。
質問数が多すぎたり記述式が中心だったりすると、回答が負担となり、精度の低下を招きやすくなります。必要最小限の設問に絞り、短時間で完了できる形式を意識しましょう。
回答目安時間を事前に示したり、選択式やアプリを活用したりすることで心理的負担を軽減できます。回答率が高まれば、調査の継続性やデータの信頼性向上にもつながります。
調査結果を必ずフィードバックする
調査後に避けたいのは、結果を従業員へ伝えないまま放置することです。共有を行わなければ、調査の意義が伝わりません。
エンゲージメント調査の結果を開示することで、従業員は取り組みの意味を理解しやすくなります。良好な点だけでなく、課題となる部分も含めて誠実に伝える姿勢が重要です。
結果に対する会社の考えや今後の方針を示すことで、意見が経営や人事に反映される実感を持ちやすくなります。透明性のあるフィードバックは信頼関係の維持にもつながるため、必ず現場へ還元してください。
エンゲージメントを高めるには人事評価制度の構築も大切

従業員のエンゲージメント向上には、納得感のある人事評価制度の構築が欠かせません。評価への信頼が、組織への意識に直結するためです。
公平で明確な評価が行われることで、自身の働きが正しく認められていると感じやすくなり、貢献意欲の向上につながります。一方、基準が不明確な制度は不満や不信を生む要因となります。
評価基準を明示し、フィードバックを通じて説明責任を果たすことが重要です。評価結果を処遇へ反映させることで、長期的なモチベーション維持にもつながるでしょう。
人事評価制度の構築はこちらのページで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:人事評価制度とは組織内の評価制度!導入方法や評価シートの書き方・例文も紹介
従業員エンゲージメントに関するお悩みは「あしたのチーム」にご相談ください

エンゲージメント調査は、従業員の意識や組織の状態を把握し、改善につなげるための重要な取り組みです。パルスサーベイとセンサスサーベイにはそれぞれ特性があり、目的に応じて適切に使い分けることで、調査の効果を最大化できます。
一方で「調査結果をうまく活用できない」「施策につながらず形骸化してしまう」といった課題を抱える企業も少なくありません。
調査を効果的に進めるうえでの課題を解決するには、調査の目的設定や設問設計、結果分析を丁寧に行い、継続的な改善に結び付けることが重要です。また、調査とあわせて人事評価制度を見直し、制度と環境の両面からエンゲージメント向上を図る視点も欠かせません。
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