「人材育成研修を導入したいけれど、どんな種類があるのか分からない」
「研修の設計方法や効果的な進め方を知りたい」
「社員教育を強化して離職防止や生産性向上につなげたい」
このようなお悩みを抱えていませんか。
人材育成研修は、社員の能力向上と組織の成長を同時に実現できる重要な取り組みです。しかし、やみくもに実施しても成果は限定的になり、自社の課題や人材レベルに応じた設計が不可欠です。
本記事では、人材育成研修の目的や人材開発との違い、階層別・テーマ別・職種別の研修種類、効果的な設計の流れ、具体的な実施方法、さらには企業にもたらす効果まで徹底解説します。研修導入を検討しているご担当者様は、ぜひ参考にしてください。
あしたのチームでは、創業13年、全国4,000社以上の実績に裏打ちされた人事評価制度の構築・運用のノウハウで貴社の人事評価制度構築・運用をワンストップで実現しています。
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目次
人材育成とは?企業が取り組む目的

人材育成とは、従業員の能力やスキルを高めることで、企業の業績向上や将来の事業戦略の実現につなげる取り組みです。
企業にとっては未来をつくるための重要な手段であり、将来必要となるスキルを逆算して教育を行うことで、戦略実現に必要な人材を計画的に育成できます。
社員一人ひとりの能力が向上すれば、生産性の改善や労働力不足の解消にもつながります。
ただし、自社に合った内容でなければ十分な効果は得られないため、課題や社員のレベルを踏まえた施策を講じることが重要です。
なぜ研修が人材育成に必要なのか
研修は、社員の能力を計画的に高め、企業の成長を支えるために欠かせない仕組みです。
OJTや自主学習だけでは指導の質や学習内容にばらつきが生じやすく、誤った知識が定着してしまうリスクもあります。
その点、研修を実施することで体系的な知識や実務に直結するスキルを習得でき、現場で即戦力として活躍することが可能になります。
ただし、研修は受動的な学びに偏りやすいため、事前に学習の目的を明確にし、研修後のフォロー体制を整えることが成果を最大化するポイントです。
人材育成と人材開発の違い
人材育成と人材開発は似ているようで目的が異なります。
企業目標に直結するのが「人材育成」であり、個々人のスキルや可能性を広げるのが「人材開発」です。
両者は密接に関わっており、人材開発で培ったスキルや意欲を、人材育成の枠組みの中で企業目標の達成につなげることが求められます。
人材育成は、企業の経営目標を実現するために必要な人材を計画的に育てる取り組みです。
社員の能力を高めることで、組織全体の生産性向上や戦略の実行を後押しします。
一方で人材開発は、社員自身が仕事の質を高めるためのスキル習得やモチベーション向上を目的とする色合いが強く、キャリア形成や自己成長の支援に重点が置かれます。
人材開発についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご確認ください。
関連記事:人材開発とは?3つの方法や助成金、制度を解説 | あしたの人事オンライン
人材育成研修の主な種類

役割や課題は階層や担当分野で大きく変わります。
- 階層別研修|新入社員・若手・中堅・管理職
- テーマ別研修|マナー・コンプライアンス・DXなど
- 職種別研修|営業・エンジニア・マーケティングなど
次の研修の狙いを確認し、自社に必要な研修を選択しましょう。
階層別研修|新入社員・若手・中堅・管理職
役割と期待は段階で変わります。
初期は社会人基礎、若手は自律と影響力、中堅はチーム成果、管理職は人と組織のマネジメントに焦点を当てて設計しましょう。
| 種類 | 主な狙い | 主な内容 |
| 新入社員研修 | 社会人基礎の定着と理念浸透 | マナーや報連相や文書作成や電話応対を学ぶ。導入やOJTやフォローアップを段階的に実施 |
| 若手社員研修 | 主体性と自律的キャリア形成の支援 | ケーススタディやグループワークで責任感と後輩指導力を伸ばす。2年目や3年目は業務遂行、4年目や5年目はリーダーシップを強化 |
| 中堅社員研修 | チーム成果への貢献拡大 | リーダーシップと部門間調整を習得。中長期のキャリア視点を養う |
| 管理職研修 | 人と組織のマネジメント強化 | 部下育成や戦略思考や意思決定やリスク管理やコンプライアンスを学ぶ。多様性理解も重視 |
テーマ別研修|マナー・コンプライアンス・DXなど
共通課題を横断して磨く型です。現場の課題に直結するテーマを選ぶと学びが定着しやすいです。
| 研修名 | 学べる内容 |
| ビジネスマナー研修 | 挨拶や名刺交換や敬語や電話応対など社会人基礎の習得 |
| コンプライアンス研修 | 法令順守や情報管理や公私の線引きや贈収賄防止の理解 |
| ハラスメント研修 | パワハラやセクハラの防止と適切な対応方法の習得 |
| ロジカルシンキング研修 | 論理的思考で課題整理と判断力を伸ばす |
| プレゼンテーション研修 | 伝え方や資料作成や緊張対策を実践で強化 |
| Excel研修 | 時短につながる関数活用とデータ分析の基礎から実務応用まで |
| リーダーシップやコーチングやマネジメント研修 | 役割に合う関わり方と目標達成の進め方を体系的に学ぶ |
| DX研修 | デジタル技術で業務変革と顧客体験の向上を進める |
職種別研修|営業・エンジニア・マーケティングなど
成果は専門スキルで決まります。職種ごとの指標に合う学びへ集中しましょう。
| 職種 | 主な狙い | 主な内容 |
| 営業職 | 受注率の向上 | 顧客ヒアリングや提案構成やクロージングを強化。クレーム対応や心理アプローチも習得 |
| エンジニア | 品質と開発速度の両立 | 言語や設計やセキュリティを学ぶ。チーム開発やアジャイルや版管理の運用を定着 |
| マーケティング | 集客と転換の最適化 | ターゲット分析や広告運用やSEOやSNSを学ぶ。データ分析とPDCAで改善を継続 |
| デザイナー | 体験価値の向上 | UIとUXやブランド表現やツール活用を習得。ユーザー視点とチーム連携を強化 |
| カスタマーサクセス | 継続利用と解約抑止 | オンボーディングや活用支援や指標管理を学ぶ。対話力とデータ活用を育成 |
人材育成で効果的な研修を設計・実施する流れ【5STEP】

人材育成を成功させるためには、計画的に研修を設計し、実施後のフォローまで行うことが欠かせません。
- 1.研修の目的を明確にする
- 2.研修担当者・体制を整える
- 3.研修方法を選ぶ
- 4.研修内容とレベルを調整する
- 5.振り返り・報告で効果を高める
ここでは、研修を進めるための5つのステップを解説します。
1.研修の目的を明確にする
研修は課題解決のために行うものであり、まず自社の目標と現状のギャップを把握することが重要です。
会社の方向性や経営戦略に基づき、どのような人材を育成すべきかを整理する必要があります。
課題を明確化したうえで、受講者にどう成長してほしいかを定義し、目的を共有することで効果を高められます。
2.研修担当者・体制を整える
社内で実施する場合は、ファシリテーションや指導ができる人材を担当者にします。
外部委託を行う場合は、研修会社と円滑に調整できる担当者を配置することが求められます。スキルマップの作成や現場管理職の巻き込みによって、現場の実情を反映した体制構築が可能です。
また、複数の研修を並行して進める際は役割分担を行い、担当者の負担を分散させることが重要です。
3.研修方法を選ぶ
研修方法にはOJT・OFF-JT・自己啓発などがあり、対象や目的に応じて選択する必要があります。
新入社員や基礎スキル習得にはOFF-JT(座学)が効果的であり、理解を深めるためにOJTと組み合わせると効果が高まります。集合研修・ミニ集合研修・eラーニングなども活用でき、費用や負担、目的に応じて最適な手段を選ぶことが大切です。
方法選定の際には、それぞれのメリット・デメリットを比較し、自社にとって最適な組み合わせを考えることが求められます。
4.研修内容とレベルを調整する
研修内容は目的や課題に基づき決定し、受講者のレベルに適した難易度に調整する必要があります。
難易度が低すぎても高すぎても効果は下がるため、適度な挑戦感を持たせることがポイントです。スキルマップを用いれば、年次や役職ごとの必要スキルを整理でき、抜け漏れのない内容設計が可能になります。
さらに、ロールプレイやワークを取り入れることで理解度や定着度を高められます。
5.振り返り・報告で効果を高める
研修後には必ず振り返りを行い、受講者に学びの報告書を作成させることが重要です。
実施側も成果や改善点を整理した報告書を作り、次回研修の改善につなげます。
また、学んだ内容を業務で活用するための環境整備や、上司によるフィードバックも欠かせません。効果測定では、知識習得度・スキル向上・行動変容・業績貢献といった指標を組み合わせると、成果を正しく把握できます。
人材育成研修が企業にもたらす3つの効果

人材育成研修は、単なるスキル習得にとどまらず、社員の成長や組織全体の活性化に大きな影響を与えます。
- 社員の成長とモチベーション向上
- 生産性アップと業績改善
- 離職防止・組織の活性化
ここでは、企業にもたらす代表的な3つの効果を解説します。
社員の成長とモチベーション向上
研修を通じて「自身の成長を実感できる仕組み」を提供することで、社員のモチベーションを向上させることが可能です。また、目的や期待を事前に伝えることで研修参加への主体性が高まり、自己効力感も育まれます。
例えば、新入社員研修では、ビジネスマナーや企業理念を学ぶことで、早期戦力化と主体性の向上が期待できます。
中堅社員研修では、リーダーシップや問題解決力を強化し、次世代の管理職としての意識を育成可能です。
さらに、管理職研修では戦略立案や人材育成力を養い、組織全体を牽引するスキルを身につけられます。
生産性アップと業績改善
研修により社員のスキルを体系的に底上げすることで、業務の効率化や成果創出が可能です。
たとえば、1万人規模の企業が研修によって5%の生産性向上を実現すれば、500人分の人材不足を補えるという試算もあります。コストダウンや売上向上、ロス防止といった経営課題も、教育を通じて解決が可能です。
特に営業力、問題解決力、デジタル対応力など、現場で活用できるスキルを強化する研修は業績に直結します。
また、OJTとOff-JTを組み合わせた実践的な研修は、学んだ内容を即座に現場へ還元できる点で効果的です。
離職防止・組織の活性化
キャリア形成やモチベーション向上を目的とした研修は、社員の定着率を高める効果があります。
特に若手社員にキャリア自律を促す研修は、離職防止に直結しやすい取り組みです。
また、組織のビジョンや理念を共有する研修は、帰属意識を強化し、企業文化の浸透を促します。さらに、ハラスメント防止やメンタルヘルス研修は、社員が安心して働ける職場環境を整える上で欠かせません。
階層別研修を通じて各層が役割を理解し、相互に連携できるようになることで、組織全体の活性化につながります。
人材育成研修の具体的な4つの実施方法

人材育成は、やり方を分けて設計すると学びが定着しやすいです。ここでは代表的な4つの研修方法を紹介します。
- 集合研修(社内・社外)
- OJT(現場教育)
- eラーニング・オンライン研修
- 自己啓発・公開講座の活用
強みと弱みを踏まえ、目的に合う方法を選びましょう。
集合研修(社内・社外)
社内集合研修は、自社特有の業務や文化に即した教育が可能であり、全員が共通認識を持てる点が特徴です。
外部講師を招く集合研修では、最新の知識や標準的なスキルを効率的に学ぶことができます。また、異業種の人材と交流できる公開講座型の研修では、新しい刺激を受けやすく、視野を広げられる効果があります。
一方で短期間で集中的に教育できる反面、受講者が実務から離れるというデメリットもあります。
OJT(現場教育)
OJTは実際の業務を通じて実践的なスキルを習得でき、現場に即した教育により即戦力化につながります。
ただし、トレーナーの指導力や性格に依存するため、育成効果にばらつきが出やすい点が課題です。また、担当者や現場に大きな負担がかかることもデメリットといえます。
目標を明確に設定することで効果的に進められ、早期育成につながりやすい手法です。そのため、内定後から配属までの新入社員研修に組み込まれるケースも多く見られます。
eラーニング・オンライン研修
eラーニングやオンライン研修は、時間や場所を選ばずに学習でき、多人数に対しても効率的に教育できる点が強みです。
費用を比較的抑えられるだけでなく、研修管理機能やテストを通じて習熟度を確認できるメリットもあります。
一方で、受講者の集中力が続きにくく、知識偏重になりやすい課題もあります。近年では短時間で学習できる「マイクロラーニング」が普及しており、集合研修と組み合わせることで学習効果を高められます。
自己啓発・公開講座の活用
通信教育や自主的な学習は、主体性を持つ社員に適した学習方法です。公開講座は1名から参加可能で、異業種交流を通じて新しい刺激や学びを得ることができます。
ただし強制力が弱いため、学ぶ人と学ばない人の差が出やすい点がデメリットです。自己啓発は知識習得に偏りやすいため、実践の場で活用することが求められます。
また、外部の公開講座は自社では得にくいノウハウを取り入れられる一方、費用が高めで日程調整に制約がある点にも注意が必要です。
人材育成の研修をお探しなら「あしたのチーム」にご相談ください!

人材育成研修を導入することで、社員の成長やモチベーション向上、生産性アップや離職防止といった効果を期待できます。一方で、研修方法や内容が自社に合わない場合には、学びの定着不足や成果のばらつきといったリスクも存在します。
自社の課題や人材のレベルに合わせて研修の種類や設計手順を選定することで、より効果的で持続可能な人材育成を実現可能です。質の高い人材育成研修を実現したい方は、ぜひ専門サービスを活用し、自社に最適な研修体制の整備を進めてみてください。
あしたのチームでは、創業13年、全国4,000社以上の実績に裏打ちされた人事評価制度の構築・運用のノウハウで貴社の人事評価制度構築・運用をワンストップで実現しています。
質の高い人事評価制度の構築をご検討の際は、ぜひ一度ご相談ください。
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