新入社員の定着が伸び悩み、育成の負担が増えていると感じている企業は多くありませんか。
社内でメンター制度の検討が進んでいるものの、実際に成果へ結びついた企業の取り組みや、導入時の落とし穴が見えずに迷いが残る場面が多いでしょう。
そこで本記事では、メンター制度の概要やメリットを解説し、続いて四つの成功事例で狙いと運び方を解説します。また、次に導入で得られる三つの利点と、現場でつまずきやすい四つの注意点を提示します。
さらに、目的設定から体制づくり、選定と育成、運用開始、成果の振り返りまで、五つの手順を順に示すため、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
メンター制度とは?

メンター制度とは、経験豊かな先輩社員が新人社員や若手社員に寄り添い、業務理解や人間関係、キャリアの不安を日常の対話で解きほぐす育成制度のことです。
上司の評価から切り離した関係を築けるため、悩みが早く表へ出ます。
メンター制度では、面談の頻度や扱うテーマ、記録の型をあらかじめ定めておくと、配属差が縮まり、組織全体で効果的に学びが定着し、自社の資産になります。
メンター制度を導入した企業の成功事例4選

導入の狙いと運用のコツを具体的に掴むため、代表的な事例を四つに整理します。
- キリンホールディングス株式会社
- 株式会社メルカリ
- 株式会社資生堂
- 株式会社高島屋
各社の狙いと運び方を確認し、自社の目的へ写経できる部分を拾い上げましょう。
キリンホールディングス株式会社|女性社員の離職率低下につながった

キリンホールディングス株式会社は、女性活躍を押し上げる狙いでメンター制度を導入し、役割や期待を明文化しました。
女性の職場や家庭の両立、キャリア上の不安といった個別の悩みに早期に対応しています。そのため、課題が早期に洗い出されるようになり、女性社員の離職につながりやすいサインを把握が可能です。
主に、管理職の女性登用や定着率の改善などを目指して積極的に進められています。その結果、女性社員の離職率の改善や女性活躍支援に対する意識向上につながりました。
参考:キリングループについて | KIRIN – キリンホールディングス株式会社
株式会社メルカリ|業務や意思決定スピードが向上した

株式会社メルカリは、経営陣がメンターを担い、事業の背景や判断基準を直接伝えるようにしました。
若手社員・新人社員の意見を尊重した頻度で実施し、意思決定の根拠を共有したり、重要な場面での判断力を強化させたりするための取り組みを実施しています。
さらに、メンター制度が単発で終わらないように、記録と振り返りを行い定着させたこともポイントです。
メンター制度の導入によって、業務や若手教育、意思決定などのスピードが向上しました。
参考:株式会社メルカリ
株式会社資生堂|ベテラン社員のSNSやデジタルトレンドへの対応が実現した

画像:資生堂 公式サイト
株式会社資生堂は、若手社員がベテラン社員のメンターになる「リバース・メンタリング」を実施しました。
若手社員がベテラン社員のメンターになることで、ベテラン社員はSNS運用や最新ツールの活用への対応が実現します。
そして、ベテラン社員は若手社員に対してブランド理解や顧客との向き合い方を伝授しました。
世代間の知識差が補完されることで、組織全体の保有スキル・知識が均一化され、安定した生産性を実現するのが可能です。さらに、学びが属人化しないように、手順や気づきを共有スペースへ蓄積しました。
株式会社資生堂は、このメンター制度を導入した結果、ベテラン社員を中心にDX化の理解を深めて、進めやすい環境を構築できました。
株式会社高島屋|サービス品質や品質体制の改善につながった

画像:高島屋 公式サイト
株式会社高島屋は、入社10年目の社員が入社4年目の社員に対してサポートを行うメンター制度を実施しました。
このメンター制度を導入することで、4年目の社員には課題解決能力の向上を、10年目の社員には指導力や育成力の向上を促すことができます。
先輩社員が後輩社員の日々の業務を観察し、その都度先輩社員が具体的な改善案をその場で提案する方法です。
株式会社高島屋は、メンター制度を導入したことで、サービス品質の向上や品質の確認体制の改善が実現しました。
参考:企業情報|高島屋
メンター制度を導入する3つのメリット

冒頭で触れた課題の多くは、日常の対話と素早い支援で解けます。
次の三点が制度導入の核となります。
- 社内でのコミュニケーションが活発になる
- メンターの自己成長にもつながる
- 離職率の改善と採用力の強化につながる
順に深掘りし、指標や運用の勘所へつなげます。
社内でのコミュニケーションが活発になる
メンター制度を導入するメリットは、社内でのコミュニケーションが活発になることです。
特に、定例面談と軽い雑談の場を定着させることで、部署や世代を越えてコミュニケーションが生まれます。
その結果、相談のハードルが下がり、組織内で情報がスムーズに共有されるため、誤解や課題の早期発見が可能です。
さらに、先輩社員が新人社員・若手社員をサポートしたり相談に乗ったりすれば、関係性が深まり、協力の依頼や学びの共有が滑らかになります。そして、会議以外での接点が増え、心理的な安心感が高まるでしょう。
そのため、社内でのコミュニケーションに課題を抱えている場合は、メンター制度の導入がおすすめです。
メンターの自己成長にもつながる
メンターの自己成長につながることも、メンター制度を導入するメリットの1つです。
メンターとして教える立場は、わかりやすく説明するためにサポート内容の組み立てや傾聴の姿勢を磨く絶好の機会になります。また、相手の状況に合わせた言い換えや、例えの引き出しが増えます。
面談後の振り返りでは、良かった点と次の改善点を洗い出す習慣を導入すると、成長が加速するでしょう。
さらに、メンター制度によって支援の成果が見えてくると、メンター側のやりがいにもつながります。
メンター制度を導入することで、先輩社員と新人社員のどちらも成長するため、結果的に組織全体の成長が可能です。
離職率の改善と採用力の強化につながる
メンター制度を導入すれば、離職率の改善と採用力の強化にもつながります。
早い段階で従業員が抱えている悩みに対応し、解決のためのサポートを行うことで、孤立感が薄れやすくなります。
さらに、雑談履歴や学びの記録が可視化されれば、職場の育成力が外からも伝わり、採用広報の素材としても活用が可能です。
候補者へ面談の雰囲気や支援の仕組みを具体的に語れれば、選考体験の質も向上します。
その結果、メンター制度の存在が理由で入社を決める方が増加し、居心地や評判のいい会社として改善が可能です。
メンター制度の導入手順【5STEP】

導入は小さく速く回し、振り返りで磨き込みます。
次の順番で設計すると、最短距離で立ち上がります。
- 1.メンター制度を導入する目的を明確にする
- 2.運用体制とルールを構築する
- 3.メンターの選定と育成を行う
- 4.実際に運用を開始する
- 5.成果を分析し改善する
各ステップで使うテンプレートや記録の型を揃え、担当が替わっても同じ品質で運用できる状態を目指します。
1.メンター制度を導入する目的を明確にする
メンター制度を導入する際は、最初に目的を明確にしましょう。
例えば「定着の改善」「戦力化の前倒し」などの目的によって、面談テーマや実施頻度が変わります。そのため、人事指標と現場の課題を突き合わせ、三か月後と一年後の到達点を数値で置きましょう。
また、面談実施率・早期離職の減少・育成期間の短縮などの一行で言い切れる目的に整理し、全員にわかりやすく共有するのも大切です。
目的が定まらないと、面談が雑談へ流れやすくなるため、先に目的を明確化した上で運用に落とし込みましょう。
2.運用体制とルールを構築する
導入する目的が明確になったら、続いて運用体制とルールを構築していきます。
メンター制度は、部門ごとに実施する取り組みではなく、会社全体で実施する取り組みであるため、スムーズに導入するためには運用体制とルールの構築が重要です。
特に、上司の関与・担当範囲・面談頻度・記録方法・守秘の範囲を明確に定義し、面談記録の雛形を配布し、当日の進め方と時間配分を固定しましょう。さらに、相談の受け皿や専門窓口を設置します。
形だけの制度では社内で定着しにくくなるため、役割の重なりを避け、現場が回しやすい型へ整えましょう。
3.メンターの選定と育成を行う
運用体制とルールの構築が完了したら、メンターの選定と育成を行います。
メンターを選定する際は、選定基準を先に共有し、希望と適性の両方を見て判断しましょう。また、先輩社員でもいきなりメンターとして選定されたら、スキル不足で対応しきれない可能性があります。
そのため、メンター育成制度や説明会を設けて、メンターのスキルアップをサポートするのが大切です。
4.実際に運用を開始する
メンターの選定・育成が完了したら、サポートする新人社員とマッチングを行い、運用を開始します。
メンター制度では、マッチング後に先輩社員と新人社員の相性があまり良くない場合があるため、その都度変更していくことが大切です。
また、上司が管理しメンターのサポートを行うフォローアップ体制を構築するのも欠かせません。
しっかりとマッチングの相性やメンターのフォローアップ体制を整えられれば、より高品質なメンター制度が実現します。
5.成果を分析し改善する
最後に、メンター制度を実施した成果を分析し改善していきます。特に、面談実施率・相談件数・早期離職の減少・育成期間の短縮などを確認します。
改善点がある場合は、その都度改善していきよりいい体制で運用できるようにしていくことが大切です。
また、メンターだけでは解けない課題は上司や人事担当者が対応し、メンターの負荷を軽減させます。
しっかりと成果を分析し改善すれば、より質の高いサポート体制が構築できるため、しっかりと取り組むことが大切です。
メンター制度を導入する際に注意すべき4つのポイント

導入は勢いだけでは続きません。次の四点を事前に押さえると、制度が根付きます。
- メンターの選定は慎重に行う
- メンターにかかる業務負荷を考慮して導入する
- 相性を重視してマッチングする
- 事前説明や研修を実施して社内に周知させる
準備段階で詰めておくほど、初期のつまずきが減ります。
メンターの選定は慎重に行う
メンター制度を導入する際は、メンターの選定を慎重に行うことが大切です。メンターは希望だけで決めず、日常の行動や評価も材料にします。
さらに、傾聴の姿勢・説明の整理・観察の視点を基準にし、最初は担当数を抑えて始めるのがおすすめです。適性の見立ては面談記録で更新し、配属替えも柔軟に行いましょう。
適切なメンターを選定できれば、より効率的に新人社員のサポート・育成が可能です。そのため、これからメンター制度を導入する際は、メンター選定を慎重に行うのが大切です。
メンターにかかる業務負荷を考慮して導入する
メンター制度では、メンターにかかる業務負担を考慮して導入するのも、大切なポイントの1つです。
メンターは、通常業務に加えて新人社員のサポート・育成を行う必要があるため、時間の確保と業務配分の見直しが必要になります。
そのため、面談の所要時間と回数を先に定め、スケジュールを決めておきましょう。
また、代替要員や簡素化できる手順を洗い出し、無理のない運用へ調整するのも大切です。
メンターに疲れが見えた時は一時的な負担の軽減や同席支援で受け止め、メンターには無理をさせないようにしましょう。
相性を重視してマッチングする
メンター制度を導入する際は、メンターの選定だけでなくマッチングにも注意を払うことが大切です。
メンター制度は、社内全体で従業員のスキルアップを期待できる制度ですが、マッチング次第では逆効果になるリスクがあります。
そのため、マッチングが適さない場合は、適宜変更するようにしましょう。安心して話せるメンターとマッチングすれば、従業員はスムーズに相談や対話ができます。
事前説明や研修を実施して社内に周知させる
メンターに選定する社員とメンターにつける社員には、事前に研修や説明会を設けて制度の目的・役割・面談の扱い・守秘の範囲を共有しましょう。
社内全体にメンター制度を導入する旨を共有した上で実施すれば、従業員からの理解を得た上で実施できるため、不満を減らすことが可能です。
メンター制度は、従業員が不満を抱えている状態で実施しても、社内に馴染みにくくストレスや離職率向上の原因になるため、十分に注意しましょう。
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メンター制度は新人写真の不安や課題を早期に対応し、育成しやすくする制度として、多くの企業から注目されています。
実際に、大手企業でも導入後に定着や業務の進め方が安定した事例では、さまざまな対策やルール設定を行っています。そのため、これからメンター制度を導入したいと考えている企業は、ぜひ参考にしてみてください。
また、あしたのチームでは目的別テンプレート・面談記録の雛形・評価や表彰の設計・マッチング基準の作成・導入後の伴走支援まで一貫してで対応しています。
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