育成や対話につながる人事評価制度の重要性 ~株式会社プロフェッショナルバンク常務取締役 高本尊通さん インタビュー後編~

前回に引き続き、(株)プロフェッショナルバンク 常務取締役 高本尊通さんのインタビューをお届けします。

タレント人材やエグゼクティブ人材のキャリアを支援し、企業の経営層とも直接の接点を持って向き合うのが同社の特徴。それを実現するには、社員であるヘッドハンターのみなさん一人ひとりの高い能力を会社としてどう引き出すかも重要な要素です。プロフェッショナルバンクでは、どのような人事評価制度を運用しているのでしょうか。

また、ハイキャリア層の求職者における価値観や、マネジメント層を外部から迎え入れる際の経営者が取るべき行動など、様々な角度からお話いただき、「人材の持続的な成長・活躍」を実現するためのヒントをいただきました。

【Profile】
高本 尊通(たかもと たかみち)
株式会社プロフェッショナルバンク 常務取締役
大学卒業後、大手総合人材会社入社。大手特別法人営業グループ責任者を経て、ソリューションコンサルティング担当マネジャーとして社内選抜部隊をまとめ、企業の外部リソース活用のための様々なビジネスモデルを構築。その後は新規事業開発責任者として合弁会社設立、アライアンス、デューデリジェンス、M&A、BPRプロジェクトなど様々な事業企画を担当、同社経営層のブレーンとして活躍する。2004年、(株)プロフェッショナルバンク設立に参画。現在は同社の常務取締役を務める。

人事評価は、「評価すること」よりも「どう使うか」が大切

―プロフェッショナルバンクの人事評価制度は、どのような仕組みになっているのですか。

高本さん:基本的にはMBO(目標管理)による評価を行ってきたのですが、実は最近になってやり方を少し変更しました。というのも、当社で社員一人ひとりと設定している目標は、定量目標と定性目標の二種類に分類でき、これまでは業績をはじめとした定量的な数値目標のウェイトが高かったのです。それを、行動プロセスや取り組みの中身に比重を置くような定性目標のウェイトを高めるように変更しました。

個人業績だけを重視しすぎるとチームの協力による価値の総和が高まりにくくなりますし、一人の力だけでは限界があります。個人の能力や仕事のプロセスを組織でシェアすることで個人の成長と組織力を強化することが狙いです。

また、目標は運用次第で有形無実化してしまうことが怖いと思っています。例えば、半年ないしは1年単位で目標を設定したとしても、経営環境が変化するスピードはもっと速いですよね。期初に設定した目標が、半年後の状況とはずれていることもあるでしょう。状況にあわせて個人の役割も変わっているかもしれない。私はそれにあわせて目標がどんどん変わっていっても良いと思っていて、だからこそ目標を立てっぱなしにするのではなく、社員と小刻みに対話しながらチューニングしていくことが大切だと思います。

―目標を設定することよりも、その後の見直しや社員との対話が重要ということですね。

高本さん:そうですね。人事評価は、社員の仕事に点数をつけることよりも、一定の基準で評価した後にどう使われるかが大事だと思っています。優秀なキャリアを持つ求職者のみなさんとお話をしていても感じるのですが、彼らは金銭的な報酬だけを求めて転職をしている訳ではありません。

例えば、「若手でも経営に対して発言のチャンスがある」とか「自己実現をするためキャリアが築ける」といったことも、今のプロフェッショナル人材が次に働くフィールドとして重視しているポイント。裏を返すと、どんなに高い業績を創出できてそれに見合った報酬が得られている人であっても、次の成長に繋がる機会が与えられず、マネジメント層や経営層との対話が少なければ、会社を離れてしまいかねないように思います。

だからこそ、目標は社員を管理するためではなく、育成や対話をするためのものだと捉えた方が良いです。私も過去には「どうやって達成をするのか」と、目の前の数字を追うためだけの目標管理をして上手くいかなかったことがあり、振り返ってみると個人の状況やコンディションを理解する、成長を促すといった観点の欠如が要因だと思います。

少し前にグーグル社が社内で取り組んだプロジェクトの結果が発表され話題になりましたが、一番生産性の高い職場とは、「心理的安全性が高い職場」なのだそうです。評価に関しても、ただ人事査定の結果を伝えるだけでは一方通行のコミュニケーション。きちんと個人に向き合い対話をしてこそ、心理的安全性が生まれるのではないでしょうか。

対話によるコミュニケーションの連続が、価値を生みだす

―高本さんが支援している採用は、経営幹部や事業部長といった求人も多いですよね。外部から重要なポジションを迎え入れる際も、この「心理的安全性」は大切になる気がします。

高本さん:そのような場合に、経営者のみなさんが一つ疎かにしがちなことがあります。それは、「なぜ重要なポジションを外部から迎え入れたのか」「その人に何を期待しているのか」を、そのポジションの下の人たちに伝えていないこと。入社する本人に役割や期待を伝えるのは当然なのですが、その周囲の人たちに伝わっていないために孤立させてしまうのです。

経営者のみなさんが「これだけ重要なポジションなのだから、それも覚悟で乗り込んでくるような自律型の人材でないと困る」というお気持ちなのも分かります。ですが、信頼の土台もない状態で任せるのでは立ち上がりのスピードも遅くなりますし、あまりにも投げっぱなしにしている状態ではないでしょうか。新しく迎え入れた方を中心にその組織が高いパフォーマンスを発揮するためにも、社員との対話によって「心理的安全性」に配慮することが大切ですね。

―最後に、中小企業の経営者のみなさんへメッセージをお願いします。

まず、私の専門分野である採用の領域で言えば、前回の繰り返しになりますが、「選考」ではなく「採用」をしましょうということ。当社は、採用成功率9割以上と業界内でも高い実績を誇りますが、その一番の要因は採用プロセスにおけるあらゆる問題点を細かく解決していくことにあります。空前の売り手市場でも優秀な人材から選ばれ続けている会社は、単に報酬が良いから、知名度があるからではなく、採用に対する本気度が違います。ぜひ、待つのではなく採りに行ってください。

また、働き方改革や人事評価制度においては、改革や導入そのものよりも、その後の「運用」に注目してください。どんなに斬新な仕組みだとしても形骸化しては意味がありません。個人の育成支援や上司と部下の対話にウェイトを置いた運用を継続的に実現してこそ、真に意味のある制度だと思います。

――採用に関する話題から人事評価制度に至るまで幅広くヒントをいただき、ありがとうございました。

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