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「働き方改革」を企業はどう捉えるべきなのか。 ~元榮太一郎 参議院議員 インタビュー前編~

いわゆる「ブラック企業」問題を筆頭に、大手広告代理店での過労自殺や物流業界の労働環境が大きなニュースとなるなど、「働き方改革」はもはや日本社会全体が避けては通れない問題となっています。このような大きなうねりの中で、企業は社員の働き方や人事評価制度をどう捉え直していくべきなのでしょうか。

今回は、弁護士であり「弁護士ドットコム株式会社」の社長も務めながら、参議院議員として国政にも参加している、元榮太一郎議員へのインタビューを実施。3つの顔を持つ元榮議員に、企業経営者へのアドバイスをいただきました。

【Profile】
元榮 太一郎(もとえ たいちろう)
参議院議員/弁護士/弁護士法人法律事務所オーセンス 代表弁護士/弁護士ドットコム株式会社 代表取締役社長 兼CEO
1975年米国イリノイ州エバンストン市生まれ。1998年に慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、1999年には旧司法試験に合格。2001年にアンダーソン・毛利法律事務所(現、アンダーソン・毛利・友常法律事務所)に入所。M&Aや金融など企業法務を専門とする。2005年に独立し、法律事務所オーセンスを開業。同年にはオーセンスグループ株式会社(現・弁護士ドットコム株式会社)を設立する。2014年、弁護士として日本初の株式上場を実現。2016年に行われた第24回参議院議員通常選挙にて初当選し、現在は弁護士・企業経営者・政治家と多面的な活動を続けている。

不幸な事件を対岸の火事と捉えず、教訓から学ぶことで自社の変革を推進してほしい

―今、各産業で既存の働き方や労働環境を疑問視する声が大きくなっています。弁護士でもある元榮議員はこの問題をどのように感じていますか?

元榮議員:例えば「未払い残業代」や「不当解雇」といった雇用に関わる訴訟は、以前から度々起きていて、私も弁護士として企業から相談を受けたり是正のアドバイスを行ってきました。しかし、これまではあくまでも当事者間の問題として扱われており、産業や社会全体に波及することは少なかったように思います。

それが近年になって非常に多くの方々が関心を持ってくださるようになったのは、インターネットやSNSの普及によって被雇用者側にも労働基準法の理解が進み、個人の声がきちんと社会に届くようになったことも要因でしょう。

労働基準法がありながら企業のコンプライアンス意識はあまり徹底されていないという時代が長く続いていましたが、それでは企業として存続できない時代へと本格的に突入したのだと思います。

―企業経営者は、近年取り沙汰される労働問題をどのように捉えるべきなのでしょうか。

元榮議員:昨年大きく注目された、大手広告代理店での過剰な時間外労働による若手社員の過労自殺事件によって、社会全体で一気に働き方改革への意識が高まり、政府も改革のど真ん中に据えて本格的な議論を行っています。

しかし、この事件だけでなく以前から数々の不幸な事件が起きていたことは事実。企業経営者のみなさんには、「大手企業」や「広告業界」の事件と捉えるのではなく、あらゆる産業・企業で起こりえることだと捉えていただきたいです。

従来の労働環境では立ち行かなくなるというピンチをチャンスと捉え、近年の事件から教訓を学ぶことで、各企業が自社の働き方や人事制度の見直しに活かしていくことが必要だと思いますね。

「働きがい」とは、物心ともに充実してこそ得られるもの。

―元榮議員は、自ら起業した企業経営者としての顔もお持ちです。ご自身も経営者であるという視点で、どのような改革から手をつけていくべきだとお考えですか。

元榮議員:まずは経営者自身のマインドセットが時代に沿っているのか見直すべきではないかと考えています。というのも、特に中小企業やベンチャー企業を経営する社長のみなさんは、ご自身が「モーレツ」に働くことで大きな仕事を成し遂げたり、事業成長を実現したりしてきた方々が多いのではないでしょうか。

かくいう私も弁護士駆け出しの頃は昼夜問わず働くことで成長を実感していた一人。弁護士は私も含め個人事業主として事務所に所属している場合が多いので、厳密には労働基準法の適用対象外でしたし、何より私自身が楽しくてそんな働き方をしていたのですが、それを従業員に強いるとなると問題です。

まずは「ハードワークが人を育てる」という、過去の成功体験をもとにした価値観を見直し、持続可能性の高い事業にしていくという発想で従業員の労働環境を整備していくべきだと思います。

―「ハードワークによる成長」という既成概念を疑ったとき、雇用する側とされる側の関係を良好にする指針として、何を掲げると良いのでしょうか。

元榮議員:弁護士ドットコムでは、労働環境を改善・向上させていく指標として従業員の「働きがい」に着目しており、それは「物心両面での充実」によって醸成されるものだというのが私の考えです。

「物」とは単に賃金を上げることで経済的な充実を支援するというより、例えば「結婚して子どもを生み育てていきたい」というような個人にとっての夢ある人生設計が、この会社で働き続ければ実現できると感じられる状態のこと。「心」とは、社会に役立つ実感が持てることや、仕事を通して成長を感じられることなどを意味します。

これらの両方が実現できてこそ、長期的に働き活躍できる従業員が増えていくはずです。「働き方改革」は主に長時間労働の是正が注目されていますが、これはあくまでもマイナスをゼロにするための施策。企業は、そこからさらにプラスへと転じさせるための人事評価制度や労働環境が必要なのではないでしょうか。

――インタビュー後編では、「一億総活躍社会の実現」に向けた政府が進める働き方改革のポイントや、日本の労働環境の変化をテーマに語っていただきます。次回もお楽しみに。

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