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人事が重要視する「インテグリティ」とは?時代背景や大企業の事例を紹介

(画像=Warchi/iStock)

「インテグリティ」という概念は、組織のリーダーやマネジメントを担う立場の人にとって重要な要素となるものです。

組織を円滑に機能させるためにも、管理職だけでなく従業員の立場でも、インテグリティの考え方の基本を理解しておく必要があります。

言葉の意味を知るとともに、社会的な背景なども知っておくと実際にどう活用すべきかが分かってくるはずです。

そこで、大企業の取り組みなどを踏まえて、インテグリティについて解説していきます。

インテグリティの意味は?注目される理由

インテグリティを正しく理解するためには、まずは言葉の意味を知ることが大切です。

そして、インテグリティが注目されるようになった背景やコンプライアンスとの違いについて押さえておきましょう。

理想の企業経営といわれるインテグリティ・マネジメントも紹介していきます。

インテグリティとは?

インテグリティ(Integrity)はラテン語のIntegerに由来しており、「全体の」「完全な」「健全性」などといった意味を元々備えています。日本語の意味としては「誠実」「真摯」「高潔」という概念を指しています。

インテグリティは企業経営において重要なものとされており、法令遵守や社会的責任の遂行といった倫理的な行動に取り組んでいく姿勢を示しています。

アメリカの企業では、企業の代表者が示す経営方針や従業員が守るべき行動規範のなかにはインテグリティという文言がよく使用されているという特徴があります。

インテグリティが欠如していると、組織運営に大きな影響をもたらすことになるため、人材を採用する現場においても意識すべき概念だといえるでしょう。

ただし、誠実さや真摯さといったものは個人の姿勢や態度を示すものであるため、定義するのが難しいといった一面も備えています。

しかし、社会的に信用される企業となるためには、インテグリティを意識することは不可欠でもあるのです。

インテグリティが注目される理由

インテグリティが注目されるようになったのは、行き過ぎた成果主義や経営理念の腐敗が企業の不祥事を招いてしまう出来事が頻繁に発生していたことに理由があります。

企業規模が大きいほど、社会に与える影響も甚大なものとなるため、コンプライアンスやCSR(企業の社会的責任)が重視されるようになったのです。

ビジネスは競合他社との競争にさらされるものではありますが、成果主義に軸足を置き過ぎると倫理基準を軽視してしまうといった事態も招いてしまいます。

多くの人から信頼される企業となるためには、インテグリティの考え方を重視した経営を行う必要があります。

人事においてもインテグリティは重要であり、求職者の立場からすれば人事担当者はその企業の顔として見られるでしょう。

優秀な人材を確保するためには、多面的な視点で求職者を捉えていく必要があります。

面接時には求職者の経歴や資格だけに注目するのではなく、人格的な面や物事に対する価値観に目を向けてみると、自社にとって有益な人材を獲得できるでしょう。

コンプライアンスとの違い

コンプライアンスは「法令遵守」という意味で捉えられることが多いですが、単に法律だけを守るというわけではありません。

社内規範や社会的倫理といったものも含めて、広い意味で捉えていく必要があります。

企業として社会的な責任を果たすことで信頼が高まり、企業のブランドイメージが向上する流れを作っていけるでしょう。

コンプライアンスに違反した例としては、パワーハラスメントやサービス残業などがあげられます。

特に人に関する部分で不祥事は起こってしまうため、実態をよく調査したうえで社内ルールを形作っていく必要があります。

コンプライアンスは組織や社会が求めるニーズに応える他律的な規範であるのに対して、インテグリティは個人の内面から湧き上がってくる自律的な規範です。

コンプライアンスの捉え方では「悪いことをしない」といった姿勢になりますが、インテグリティでは「良いことをしよう」という積極的な姿勢が見られます。

人事担当者が社内ルールを整備するときには、ルールを無理に従業員に押し付けてしまうのではなく、個人の価値判断を規範として自ら守ってもらうようにしましょう。

理想の企業経営インテグリティ・マネジメントとは?

「インテグリティ・マネジメント」とは、法律や規範といったものを守るだけでなく、社会的な責任を積極的に果たそうと実践していくことを指します。

企業や経営者が認識すべき共通の倫理基準としては、「コミュニケーションにおける正直さ」「公平な処遇」「特定の配慮」「公平な競争」「組織的責任」「企業社会責任」「法の遵守」などがあげられています。

このような要素を盛り込みながら社内ルールを決めていくことが、インテグリティ・マネジメントにおいては重要だといわれているのです。

ピーター・ドラッカーが注目したインテグリティ

インテグリティの重要性は、ピーター・ドラッカー氏も強調しています。

著書である『現代の経営』では、「真摯さに欠けるものは、いかに知識があり才気があり仕事ができようとも、組織を腐敗させる」という点を指摘しているのです。

インテグリティの欠如は部下からの失望を招くだけでなく、最終的には組織そのものを腐敗させると著書では説かれています。

また、インテグリティが欠如している人の特徴として、「人の強みではなく、弱みに焦点を合わせる者」「冷笑家」「『何が正しいか』よりも『誰が正しいか』に関心をもつ者」「人格よりも頭脳を重視する者」「有能な部下を恐れる者」「自らの仕事に高い基準を定めない者」などがあげられています。

アメリカ企業の経営方針や企業理念には、「integrity」という文言が頻繁に使われており、それだけ広く浸透している概念だといえるでしょう。

ビジネスにおいてインテグリティを備えていることは、社会から高い評価を得るために不可欠な要素でもあるのです。

企業のインテグリティ対策の現状

大手企業の間ではインテグリティの実践に、積極的に取り組んでいるところもあります。

ここでは、各企業の取り組みを紹介するとともに、インテグリティをどのような位置づけで捉えているのかを見ていきましょう。

事例1.花王 サステナビリティ

花王は「花王サステナビリティ」として、社会の持続可能性への貢献に向けた取り組みを冊子として取りまとめています。

グローバルで存在感のある会社となるために、法と倫理に則って行動し、誠実で清廉な事業活動を行っていくことを表明しているのです。

継続的な教育やコンプライアンス通報・相談への適切な対応を通じて、すべての働く人にとって平等な職場環境を提供することが重要だと宣言しています。

花王には創業以来、「正道を歩む」という経営理念があり、「よきモノづくり」を通じて社会に貢献することを使命としているのです。

花王サステナビリティデータブック2019
「重点領域:コーポレート・カルチャー」

https://www.kao.com/content/dam/sites/kao/www-kao-com/jp/ja/corporate/sustainability/pdf/sustainability2019-all.pdf

事例2. AGC 求める人物像

AGCでは新卒者向けの採用サイトにおいて、「求める人物像」を掲げています。

創業の精神である「易きになじまず難きにつく」という経営理念を、世代を超えて受け継いでおり、情熱・チャレンジ・革新・インテグリティ・巻き込む力という5つのキーワードをAGCが求める人物像としてあげているのです。

インテグリティにおいては、「他者から学び、誠実な行動により、信頼してもらえる人財」という規範を定めています。

AGC 新卒採用サイト「求める人物像」

https://www.agc.com/recruiting/information/index.html

事例3. 伊藤忠グループ 企業行動基準

伊藤忠グループでは、「ITOCHU Mission(使命)」と「ITOCHU Values(価値観)」と企業理念として打ち出しており、「この企業は何のために存在しているのか」「どんな役割を担う企業なのか」といった使命を大事にしています。

企業行動基準として、先見性・誠実・多様性・情熱・挑戦を掲げており、従業員が毎日の行動を確認できるような行動規範を示しているのです。

個人だけでなく、チームとしてのあり方を問い直す機会を設けています。

伊藤忠グループ 「企業行動基準」

https://www.itochu.co.jp/ja/files/booklet_full_ja.pdf

事例4. ダイムラー 基本理念

ダイムラーではインテグリティを最優先の課題として位置づけています。

企業価値の根幹に、情熱・規律・尊重・誠実を置いており、公正な倫理理念に従って企業活動が行われている場合のみ、経済的な成功が永続して可能になるといった考えを示しているのです。

ダイムラーはビジネスを公正に行い、法律を遵守するだけでなく、企業内部で策定された規則を遵守していくことを表明しています。

インテグリティにおいては、従業員に義務感ではなく意思を持つことを促し、職場で実践されることを基本方針として定めているのです。

「ダイムラー 基本理念」

https://www.mitsubishi-fuso.com/oa/jp/moral/download/IntegrityCode_JP.pdf

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