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ニアショアとは?オフショアとの違いや、メリット・デメリット、事例について紹介

ソフトウェア等の開発でオフショア開発を行う企業は珍しくありませんが、実施している企業からは、「文化や時差によってコミュケーションが取れない」「ハンドリングが大変で思ったようなメリットが得られていない」といった声もよく聞かれます。

そこで、「ニアショア」という開発手法が注目されるようになっています。

本記事では、ニアショアの概要やオフショアとの違い、メリットや検討する際の注意点について解説していきます。

ニアショアとは

ニアショアとは、国内の別地方や地域などの比較的近距離の遠隔地に所在する企業や事業所に業務を委託することをいいます。

ニアショア開発とは、中でもシステムやソフトウェアなどの開発業務を地方へ移転することをいい、ニアショアをニアショア開発と指すことも多いです。

業務を海外に委託するオフショアと同様、人件費や固定費の安い地方に業務を委託することで、コスト削減を目的に行われます。

ニアショアとオフショアの違いとは

オフショアとは「海外の」「岸から離れた」「外国に移す」という意味の英単語です。

オフショア開発とは、開発業務を海外に委託することを意味しています。国内、特に首都圏内の人件費高騰や人材不足の解消を目的として、注目されるようになりました。

事業拡大に伴って国内のITエンジニアが不足したことから、IT関連事業におけるオフショア開発が積極的に行われてきました。

昨今では、コールセンターの設立、データ入力や画像編集といった作業もオフショアで行われるようになっています。

ニアショアは、オフショアほどのコスト削減は期待できない一方で、言語や慣習、時間、法律の違いがない、あるいは小さいことから、業務のやりとりが円滑に行え、トラブルが起こりにくいとされています。

また、リスクヘッジの利点もあります。為替レートの変動やデモなど、海外情勢におけるリスクはオフショア開発における懸念のひとつです。ニアショアの場合、このようなカントリーリスクへの対策は不要です。

ニアショアのメリット・デメリット

ニアショア開発における、メリットとデメリットをそれぞれ紹介していきます。

メリット

  • 慣習や言葉の差異がない

オフショア開発と違い、ニアショア開発では慣習や言語、労働文化、時間の違いによるコミュケーションミスが起こりづらいというメリットがあります。

海外に業務を委託したほうがコスト削減効果は高い一方で、言語の違いから意思疎通が困難だったり、生活時間の違いでなかなか連絡がとりづらかったり、納期にルーズだったりと、コミュニケーション不足に陥りやすいというデメリットがあります。ニアショア開発であれば、このようなトラブルの回避につながります。

  • 責任者を育成しやすい

オフショア開発の難しい点として、現場責任者を育成しづらいという点があります。海外で開発拠点を開拓する場合、現場責任者として現地に誰か派遣するか、現地で採用して一から育成していく必要があります。

また、どちらの選択肢をとるとしても、このときも文化や言葉の違いが壁になってしまいます。国内に開発拠点をおけば、責任者の派遣や育成も比較的スムーズに対応できます。

  • カントリーリスクがない

国際情勢の急変や、デモの発生、為替の変動による予想外のコスト増など、カントリーリスクがないという点もニアショア開発の大きなメリットです。

オフショア開発の主要国は中国や東南アジアですが、尖閣諸島問題で日中関係が悪化したり、タイで大規模なクーデターが起こって政情が悪化したりと、日本企業に影響を及ぼしたこともありました。

ニアショア開発であれば、このような予測不能のカントリーリスク発生の心配はありません。

デメリット

  • コスト削減効果が小さい

意思疎通がはかりやすい、トラブルが起こりづらいといったメリットがある一方、ニアショア開発はオフショア開発ほどのコスト削減効果を期待することができません。

オフショアで開発業務は主に中国やインドで行われますが、このような貨幣の価値が日本よりも低い国に移転するのに比べれば、やはりニアショアの方がコスト削減効果は低めでしょう。費用対効果を考え、どの程度のコスト削減を目指すのか目標と照らし合わせて委託先を決めるべきでしょう。

  • 人材が確保できない場合がある

国内で人材を確保しようとしても、少子高齢化から働き手自体が少なく、想定通りに人材を確保できないことも懸念点です。

IT人材自体のIT業界や国外への流出といった背景もあり、高度な技能を持ったITエンジニアを地方都市で確保することは困難な状況です。そのため、報酬単価が高騰してしまい、コスト削減効果を得られない可能性もあります。

  • 再委託の可能性がある

開発を委託されている企業が、再委託を行うことも考えられます。再委託とは、委託された企業がさらに別の企業に委託を行うことです。

業務が再委託されると、要件の認識にズレが生じたり、修正に時間がかかったりと、クオリティを担保することが難しくなってしまいます。再委託を事前に防止するには、契約書で再委託に関する事項を明確に記載しておくようにしましょう。

ニアショアの実施事例

ニアショアの例として、三菱商事エネルギー株式会社から独立して、ガソリンスタンドに関わるWEBサービスを展開している株式会社カーフロンティアの事例を紹介します。

ニアショアを選択した理由

カーフロンティアでは、タイヤの取り付け予約やEC販売できるサービス、ガソリンスタンドや整備工場でオイル交換や洗車のWEB予約ができるサービスなど、複数のWEBサービスを展開しており、その開発は全て社外の開発ベンダーに委託していました。

しかし、外注任せだとサービスの成長が滞ってしまうという理由から、社内に開発部を作って内製化する方向性に転換。もともと30人規模から始まった会社で、たくさんの社員を置けるほど社内に席がないことから、ニアショアを検討します。

外注と内製開発のいいとこ取りをしたかったこと、元からテレワーク制度を進めていたこと、社内にエンジニアがいて話をまとめやすかったという背景もあり、ニアショア形式でのエンジニア採用を決めました。

開発が必要になったときに、席や設備を用意することなく、声をかけるだけでチームを作れるため、スピーディな立ち上げが可能だったといえます。

ニアショアを実施した結果

カーフロンティアの担当者は、社内にエンジニアがいなければニアショアの成功は不可能だったと話しています。

開発業務のハンドリングは、専門知識を持ったエンジニアでなければ難しいこと、遠隔で対応してもらうのが難しい業務が出てきた場合に巻き取る必要があることから、エンジニアが中にいることが重要だったようです。

コストに関しては、オフショアのような大幅カットはやはり難しいと感じたようです。

エンジニアの単価は居住地ではなく、本人の技術力や実績によるところが大きいため、比較してもあまり意味がないと。地方だからと言って安くなるわけではないため、コストを理由にニアショアを選ばない方がいいとの所感でした。

また、社内に席を用意するのも難しく、小規模でもスピーディに開発を開始したい企業にニアショアはおすすめといいます。

大規模な拠点を必要とせず小規模プロジェクトでコストをかけずに開始したいときには、ニアショアを選ぶメリットは多いと感じたようです。

ニアショア実施の難しい点

最後に、ニアショア開発を実施するにあたり、難しい点を解説していきます。

どこに頼めばいいのかわからない

沖縄など、経済特区を設けて補助金提供等の優遇策を講じた地域では、短期間にIT企業が集約し、どの地域のどの会社が、どのような技術を持っているのかわかりにくいため、依頼先の選定が難しい点があります。

それまでは大手企業との元請け・下請け関係が多層構造で成り立っていましたが、特定派遣の禁止のよってそれが崩れました。IT企業は自身で営業を行わなければならず、委託先を探すことがより困難になっています。

IT人材の不足

前述でも触れた通り、少子高齢化による働き手の減少や、IT業界の急速な拡大、IT業界に対するネガティブイメージからの離職といった背景により、国内のIT人材不足は加速しており、人材確保は困難を極めています。

政府や各省がIT人材確保に取り組む動きも見られますが、昨今の採用情勢からも、今後も人材不足は続くものと考えられます。

ニアショア開発で人材確保が難しい企業には、社内で一から人材を育成する、待遇を改善するといった取り組みが求められます。

ニアショアのまとめ

オフショア開発に変わり、コミュニケーションミスを防止し、クオリティを担保しつつもコスト削減効果を得られる開発手法として注目を集めているニアショア開発。

中小企業や小規模プロジェクトでも実施しやすいため、取り組む企業が増えていますが、実施にあたっては委託先の開拓や人材確保といった障壁もあります。

どの程度のコスト削減効果を求めるのか、どうコミュニケーションを図っていくかなど、具体的な実施方法を検討して、導入を進めてください。

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