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入社時の身元保証書とは?入社者が書類の提出を懸念していたらどうする?

(画像=Motortion/iStock)

社員の入社時に、雇用契約書を交わすのは一般的ですが、付随して「身元保証書」の提出を求める会社もあります。

見慣れない人事部担当者からすると、入社予定の社員に対してどのような書類なのか説明する際に不安を感じることもあるかと思います。

今回は、身元保証書の概要や、法的拘束力、使用される事例、説明時のポイントなど紹介します。

身元保証書とは?

身元保証書とは、従業員が重大な不始末を起こして会社に与えた損害について、身元保証人が本人とともに賠償する責任を記した書類です。

普通、この書類には本人と身元保証人の欄があり、身元保証人の責任や保証期間が明記されています。

身元保証書は、新入社員や中途人材が入社する際に提出してもらう書類です。

見慣れない方も多いかと思いますが、一部の大手企業でも提出を求められる書類で、特に銀行をはじめ信用が重視される金融機関では一般的に用いられています。

入社時以外にも身元保証書はある

企業に入社する際以外にも、身元保証書は用いられます。
代表的な例は、外国人を日本国内に招く場合に、VISAの申請と同時に身元保証書も提出するというケースです。

短期滞在ビザで外国人を日本に招く場合、特定の国の対象者には、招待する側が身元保証人となって身元保証書を作成し、大使館や総領事館に提出する必要があります。

これは入社時のものとはやや意味が異なり、滞在者が日本でトラブルを起こさないよう受け入れ側が保証する書類です。

身元保証書の目的とは?

身元保証書の目的には、主に3つがあります。

損害賠償

先述の通り、雇い入れた従業員の重大な過失や不祥事によって会社が損害を受けてしまった場合に、本人だけでなく身元保証人も一緒に賠償させるという目的があります。

従業員が会社に与える損害の程度はさまざまで、本人の能力で賠償できる場合もありますが、対応できないケースもあるものです。

そこで身元保証人を立てることで、損害金額を回収できる可能性を高めます。

意識付け

従業員に、本人以外の人物の賠償責任を盛り込んだ身元保証書を提出してもらうことで、従業員にとって不祥事や不始末の抑止効果になります。

つまり、不測の事態に本人が責任を負うだけならまだしも、身元保証人にまで迷惑がかかるのであればなおさら注意しようという意識を働かせる効果があるのです。

実際に身元保証人に対して賠償請求をするかどうかはケースバイケースで判断するとしても、本人が自覚を持って業務にあたらせる効果があります。

人物に対しての保証

身元保証書には、「損賠賠償させる」という目的よりも、人物に対しての保証を目的として重視する会社も多いです。

第三者に身元保証書を提出してもらうことで、入社者の素性や経歴に問題がないか確認する意味を込めています。

あるいは、本人が精神疾患などに陥り、勤務の継続が困難になった場合、本人の今後については会社や親近者との間で慎重に議論しなければなりません。

そのような場合、身元保証人が話し合いのサポートになる役割も期待されています。

身元保証書の内容

身元保証書の内容は、細かい規則が定められていたり、厳格なルールに従ったりしなければならないものではなく、企業によって一定の自由度があります。

ただし、一般的な決まり事が存在するのも事実です。

まず、日付欄には入社日あるいは提出日の記載が必要。また、本人と身元保証人の氏名、住所、続柄なども記入してもらいます。

書面に明記しておくべき内容は、本人が会社に対して損害を与えた場合には、身元保証人も連帯して賠償の責任を負うという条項です。

また、その他にも保証期間を記載しておくとよいでしょう。

保証期間について、法律では、書面に期間を記載していないと原則3年間となります。

ただ、保証期間を定めておけば、最長で5年間にまで設定できます。

期間を延ばす場合は、書類にその旨を記載しなければなりません。双方が誤解してしまわないように、保証期間については責任が消滅する条件も含めて明記しておくのが賢明です。

身元保証書に法的効力はあるのか?

身元保証書は、「身元保証ニ関スル法律」(通称は「身元保証法」)によって法的な効力が存在します。

つまり、従業員が身元保証書に署名した場合、従業員の過失や故意によって受けた損害を身元保証人に請求すること自体は問題ありません。

しかし、損害を身元保証人に請求しても、実際に全額を回収するのは大変困難だと言えるでしょう。

身元保証法によると、裁判所が身元保証人の責任や賠償金額を決定する際は、使用者(会社側)の監督不行届の有無、身元保証人になった経緯、身元保証人としての注意の程度、本人の業務上の任務といった一切の事情を考慮すると定めています。

実務において、身元保証人が本人の業務を監督するよりも、会社が監督する機会の方が圧倒的に多いでしょう。

実際の判例でもこのような事情に配慮し、身元保証人が損害を全額負担しないケースが大半です。

身元保証者は誰になる?

実務では、身元保証人は両親のいずれかになるケースが多いようです。

身元保証人として一般的なパターンは親族で、両親の他には配偶者、兄弟姉妹、子、祖父母、叔父・叔母などが挙げられます。

親族以外では友人や知人といったケースも可能です。

ただし、これらに該当すれば必ず良いわけではなく、身元保証人になる条件としては、独立して生計を立てており、成人している必要があります。

実際に身元保証書が法的に使用されるケース例

身元保証書が法的な効力を発揮して、身元保証人の賠償責任が発生するケースにはいくつかのパターンがあります。

ここでは、2つの具体例を紹介しましょう。

1つ目の例は、取引先との受発注で従業員が不適切な取引を行い、会社に損害を与えたケースです。

取引先との契約権や価格決定権を持っている仕入れ・発注担当者が、取引先から個人的な利益供与を受けた見返りに、取引先を優遇し自社に不利になるような契約を結ぶといった行為が該当します。

賠償金額が大きい場合は、本人が個人的に弁済することは困難なケースが多いので、身元保証書に基づき、身元保証人が法的に連帯責任を負わせられる可能性があるでしょう。

2つ目の例は、経理担当者や営業担当者が会社の金銭を横領するケースです。

会社の金銭の流れを管理している経理担当者は、小口現金に手をつけたり、あるいは費用を過大に計上して差分を自分の懐に入れたりするなど、横領の方法は多岐にわたります。

営業担当者も、売掛金や売上金を顧客から回収する際に、一部金額を横領する場合が考えられるでしょう。

不正の発覚時に横領した金銭が残っていれば弁済はできる可能性がありますが、ほとんどは何らかの用途に使ってしまったために弁済が不可能なケースも多いものです。

その場合は身元保証書が効力を発揮して身元保証人が負担する義務を負う可能性があります。

入社者に身元保証書の提出を拒否された場合はどうする?

身元保証書は損害賠償について明記されていることから、入社者が書類の提出に合意したがらないこともあります。

入社者が身元保証書の提出を拒否した場合、入社を取り止めることはできるのでしょうか?

就業規則に身元保証書について明記されていないと、身元保証書が提出されなかったことだけを理由に入社を拒否するのは難しいです。

就業規則には、「身元保証書を提出する必要がある」という文言があるだけでなく、「提出しない場合、採用を拒否する場合がある」と明記することが必要となります。

身元保証書を入社者に説明するポイント

身元保証書をはじめて見た入社者は、書類の提出にあたって懸念する可能性があります。

そこで、人事担当者としては新しく入社する人物の不安や疑問を払拭するために、いくつかのポイントを意識しながら丁寧に説明することが大切です。

まず、入社する従業員に対して、身元保証書を提出させる目的を正確に説明しましょう。

損害賠償といった目的だけでなく、過失や不始末を防止する意味合いもあることや、人物保証で本人に不測の事態が起こった時の備えという目的についても説明すると相手に理解されやすいです。

また、身元保証書は特別な書類なのではなく、世間で広く用いられている一般的な書類であることを説明しましょう。

他の会社でも用いられていると伝えることで、身元保証書をはじめて見る従業員に余計な誤解や心配を与える事態を防止できます。

さらに、損害賠償の文言を記載している理由についても説明しましょう。

もともと、身元保証書の主な役割とは、本人の故意や過失による不始末によって会社に与えた損害を、本人が弁済できない場合に備えて連帯責任の人物を立てて賠償させるものです。

本人に責任意識を持ってもらうためにも、文言の意味や理由も説明する必要があります。

身元保証書を理解して正しく入社者に伝えよう

身元保証書は従業員の過失・故意によって会社が損害を受けた場合の賠償の他にも、人物保証や抑止効果という意味合いもある大切な書類です。

入社する人物が正確に理解できるように、人事担当者は疑問や不安に対して丁寧に説明する必要があります。

入社者が不安を抱いて、身元保証書を発端としたトラブルに発展しないよう、人事担当者は正しい知識を以て入社者へ説明するように心掛けましょう。

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