AIが創る未来の人事「AHR(強化された人事)」

(写真=Alexander Supertramp/Shutterstock.com)

AI(人工知能)やコグニティブ(認知)・コンピューティングと いった次世代テクノロジーが、業務システムや組織形態に大きな変化をもたらしています。こうした変化の影響はHR(人事)分野にも徐々に拡大しており、HR業務の効率化を図る「AHR(強化された人事)」への転換が徐々に進んでいます。

最先端のHRテック「AHR」とは?

人間とテクノロジーを融合させることで業務プロセスを合理化し、より効率的な労働力を生み出す新たな労働のシステム化が進む中、「Augmented Workforce(強化された労働力)」というコンセプトが生まれました。

高齢化による労働力の減少や社会・経済のグローバル化にともない、未来の働き方や企業の経営方針を根本から改革する「Future of Work(仕事の未来)」の一環です。

コンピュータープログラムが、データにアクセスして自分で学習する機械学習やロボティクス(ロボット工学)などがその代表例です。

「AHR」とは、このような「強化された労働力」をHR分野に活用するという試みです。AIを基盤としたデータ分析により、「仕事と才能をいかに適切にマッチングさせるか」というHRにおける重要課題の効果的な解決が見込めます。

潜在的な才能や可能性を見抜き、組織の成熟度を測定するためのロードマップを提供するなど、主要HR関連のプロセスの大幅な改善に役立ちます。

AHR導入のメリット・活用例

AHRの導入により、以下のような多数のメリットが期待できます。

  • 従業員および組織のパフォーマンスの測定・向上
  • HR関連プロセスの効率化・改善
  • 最適な人材配置・抜擢
  • 組織の機能性の測定

具体的な活用例としては、「適切な人材の選別」が挙げられます。組織内部の成功例のプロファイル・データを分析し、パターンを識別することにより、候補者の学歴や成績などとの関連性と紐づけ、潜在的な成長力の高さを予想します。

また大量の履歴書の中から自社に最適な候補者をふるいにかけ、採用プロセスの大幅な効率化に役立ちます。

日本企業の4割以上がAugment化を重要視

デロイト社が実施した「Future of Work(仕事の未来)」に関する調査 では、協力した企業の41%が2017年の時点で「既にAI技術や認知技術を本格的に導入している、あるいは導入に向け顕著な進展があった 」と回答しました。

「Augmented Workforce(強化された労働力)」に対する積極性は国や地域によって大きく異なります。インドや中国 、オランダでは7割以上の企業が導入を重要視しているのに対し、米国やフランス、カナダでは3分の1を超える企業が重要性を認めていません。日本の企業はインド、中国、オランダに次ぎ48% と高い関心をもっています。

HR分野への導入はゆっくりとしたペースで進められています。66%の企業 が、「今後3~5年でオフ・バランス・シート・タレント を利用する機会が大幅に増加する」と期待している一方、49%は「導入準備が整っていない」と答えました。

オフ・バランス・シートワーカーとは、フリーランサー、独立系請負業者、その他の非従業員など、デロイト社が臨時労働者に対して使用する用語で、この調査では「テクノロジーを活用し、才能のある外部の人材に業務を委託する機会が増える」ことを意味します。

55%は「クラウドソーシングを活用したことがない・理解していない」と答えるなど、導入を進める上で不可欠なリーダーシップ、あるいは次世代テクノロジーそのものに対する理解の欠落が、AHR普及の妨げの要因かと推測されます。

しかし関心は着実に高まっており、「今後3~5年以内に重要になる」と答えた経営役員は26%と、過去の調査から400ポイントも増えていることから、今後採用が加速するものと予想されます。

今後の課題と注意点

このようにAHRを含む「Future of Work」の要素の大部分は、多数の企業にとってまだ十分に理解されていない発展段階にあります。企業はAHRの利益を最大限に得る上で、HRチームの教育、リーダーシップの育成・強化を図るプログラムを提供する必要があります。

またAHRによるメリットのみを追究するのではなく、「従業員自身や働き方、業務にどのような影響をあたえるのか」という点を慎重に考慮する必要があるでしょう。

「適切な人材の選別」に関しては、成功例が採用する人材をワンパターン化する可能性があるため、多様性を意識した定期的なアップデートが不可欠です。

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