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人事評価制度における成果主義の歴史と問題点の克服方法とは?

(写真=Potstock/Shutterstock.com)

1990年代以降、多くの日本企業では成果主義を評価制度に取り入れるようになりました。しかし、2000年代から成果主義の弊害が強く叫ばれるようになり、その修正を図る企業も増えてきています。

今回は、成果主義が導入されるに至った背景やその問題点を改めて整理するとともに、問題点の克服のためにどんな方法や考え方があるのかご説明します。

日本企業が成果主義を導入した背景と歴史

一般的に、成果主義以前の日本企業の評価制度が「年功序列」と呼ばれます。能力や実績よりも年齢ないし勤続年数を重視する評価方法です。 仮に若手社員が実績を出したとしても、実績の無い中堅社員より低い等級・給与にしかならないということで、とかく批判の対象になりがちでした。

学術的には、成果主義が広く導入される前の日本独自の評価制度を「職能資格制度」ないし「職業能力評価基準」と呼びます。 これは業種や職種などに応じて職務遂行能力を定め、この職務遂行能力に基づいて従業員をランクづけする制度です。年齢や勤続年数よりも、従業員の能力を重視するべきであるという能力主義に基づいています。理論上は、職能資格制度と年功序列は別のものです。

しかし、能力なるものがあいまいで評価しにくいために、実務上では年齢や勤続年数を考慮する方向に流れるという問題がありました。 このために、本来は年功序列と異なる考え方であるはずの職能資格制度が、結果的に年功序列に類する評価のあり方へ変容しがちだったのです。

こうした問題意識から、1990年代前半のバブル崩壊以降に成果主義を導入する企業が増加したと考えられています。

成果主義の問題点

ところが、2000年代以降から成果主義に基づく人事制度も強い批判を受けるようになりました。論点は、主に3つに分けられます。

1つは、成果主義の前提となる成果→報酬→意欲→成果(→企業業績)という結びつきを否定するものです。 そもそも成果を正当に評価できるのか、報酬を上げたからと言って意欲に結びつかず、むしろ金銭的報酬以外の内発的な動機づけが必要ではないか、目標達成 が困難な仕事をどう評価するのか、個人業績の評価に偏る結果、組織の業績が軽視されるのではないかなど、さまざまな批判が存在します。

次に、成果主義の機械的運用によって従業員の不満が生じるという点です。 成果主義を杓子定規に適用すると、成果が上がらないとみなされた社員に対しては降給もやむをえないという評価になります。「なぜ自分が評価されないであの人が評価されるのか」など、評価自体に対する不満が必然的に出てしまいます。

成果主義的な評価制度へ移行した結果、成果に表れにくい部分が軽視されたという批判もあります。成果だけを気にする従業員が増えた結果、目に見えやすい成果として表れないチームワークや部下の育成、長期的な能力形成などを無視して働く従業員が増えたとの声もあります。 成果の定義が狭いことで、組織の業績に役立っていた潜在的な要素が省みられなくなってしまうというのです。

以上を踏まえて、成果主義を導入した企業の中には制度の修正や再転換を図るところも多く出てきました。

成果主義を超える人事評価制度のポイント

成果主義以降の方法論として、「コンピテンシー」への着目や評価スタイルの変化が挙げられます。

コンピテンシーとは、高い業績を出す人の行動特性です。 職務ごとに優秀な人の行動を観察し、業績を支えるコンピテンシーを抽出します。評価の際にこのコンピテンシーにどれくらい沿って働いているかを基準とすることで、表に出やすい成果だけでなく潜在的な行動や考え方なども評価に取り込もうという考え方です。

次に評価スタイルの変化とは、具体的には360度評価やリアルタイム的・継続的な評価を指します。360度評価とは、上司からだけではなく、同僚や部下、グループ会社の社員、クライアントなどさまざまな関係者からの多面的な評価を指しています。 評価者を多様化することで公平性を高め、より多様な職場行動を評価対象とすることを可能にしています。

リアルタイム的・継続的な評価とは、評価のタイミングを増やすような施策です。たとえばアドビシステムズでは、従業員とマネージャーが独自のワークシートを基に細かく面談してフィードバックを与え合うCheck-In(チェックイン)と呼ばれる制度を導入しています。 評価タイミングが増えることで、より細かな行動特性や仕事に対する考え方を評価に取り込めると考えられます。

成果主義は形を変えて定着しつつある?

成果主義への偏重が批判を受けたとは言え、成果主義自体が完全に否定されたわけではありません。成果に対する評価の重要性を認識しつつも、その成果には目に見えないチームワークや育成などが必要であること、そして成果の定義が一義的にはできないことなどの限界があります。企業は、こうした限界を踏まえて成果主義の改善を図ろうとしていると考えられます。

これからの評価制度は、成果への評価を前提としつつも、各企業および部署・チームなどで何を成果とするかを考える必要があるでしょう。

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