HRテックを採用に活用している企業の事例

(写真=This Is Me/Shutterstock.com)

今、世界はビックデータ、AI(人工知能)、ロボットなどの新たなテクノロジーがあらゆる分野に影響を与えています。人事の業務においても、テクノロジーを活用する「HRテック」が注目されています。人事領域は、人材の採用・育成・評価、給与管理、労務管理、福利厚生など多岐にわたります。ここでは、人材の獲得である採用業務において、HRテックを活用している企業の事例を見てみましょう。

HRテックを採用に活用する企業が増えている

少子高齢化による人手不足が進み、企業間での優秀な人材の確保や既存従業員の定着は企業にとって重要な経営課題となっています。また近年、人材活用や人材開発、従業員エンゲージメント向上のためのコミュニケーション強化など、人事部門の業務領域が広がり業務量も増えています。そこでAIやビッグデータ、クラウドを活用することで業務の効率化・自動化を図ることを目指し、HRテックの導入が各社で進められています。採用活動においても、新卒・既卒を問わず、時間や手間がかかる業務であることから、HRテックを活用する企業が目立ち始めています。

こうした人材領域の環境変化に伴って、国内のHRテック市場も拡大傾向にあります。ミック経済研究所発行の「HRTech クラウド市場の実態と展望 2017 年度版」によると、「採用管理クラウド」における市場規模は、2016年が36億1,000万円、2017年度が49億6,000万円、2018年度が71億円と増加傾向にあります。

HRテックの活用事例

HRテックを活用している企業の事例として、新卒採用の人材分析にHRテックを活用した日立製作所、蓄積したデータを用いて、独自の活躍予測モデルを設計して採用に活かしているセプテーニグループ、AIによるエントリーシート選考を行っているソフトバンクを紹介します。

日立製作所

日立製作所は2016年、システム&サービスビジネス統括本部内に「ピープルアナリティクス(人財分析)部門」を作り、新卒採用などの人事領域においてAIやビッグデータ解析といった先端ITを活かす取り組みを進めてきました。

2016年には、同部門の技術系人財の新卒採用における人財アナリティクスの取り組みが評価されて、「第1回HRテクノロジー大賞」のイノベーション賞を受賞しました。2018年にはAIで分析した人事・行動データによって、従業員の行動変革を促す課題抽出や人財配置の適正化を実現したことなどが評価され、同賞における大賞を受賞しました。

セプテーニグループ

セプテーニグループでは、独自の人材育成方程式をベースに相性の定量化に取り組んでいます。同社の人材育成方程式とは、個々人が生まれ持った個性とその人を取り巻く環境が相互作用することで、成長に影響を及ぼすという考え方です。職場環境をチームと仕事で定義して、環境と個性との相性が高いほど大きく成長する可能性があると考えます。

セプテーニグループでは、人材育成方程式の理論を採用活動にも展開するため、2009年から蓄積している約6,000名のデータを用いて、活動予測モデルを設計しています。

採用活動では、性格診断テストやエントリー時のアンケート、経歴、選考プロセスでの評価など、応募者の「個性」「取り巻く環境」「行動」を中心とした情報を取得し、過去のデータをもとに構築した活躍予測モデルによって、入社後の活躍度を予測しています。

セプテーニグループの採用選考では、独自の基準に基づいてアセスメントが行われるため、一般的な採用で必要とされている志望動機や自己PRの準備、就活対策などは必要ありません。

ソフトバンク

ソフトバンクでは、新卒の就職活動のスタートといえるエントリーシートの選考にAIを導入しています。エントリーシートは、企業に応募する学生だけでなく、採用担当者にとっても選考には大変な労力がかかります。エントリーシートの選考にAIを導入することで、選考時間を大幅に削減することができました。

AIの導入によって削減できた時間を使って、採用担当者はより多くの応募者と実際に接することが可能となり、会社の魅力を伝える機会を増やすことが可能となったのです。

HRテックによって採用が変わる

ビックデータの活用によって、採用における人材分析や入社後の活躍度を予測できるようになっています。AIなどのテクノロジーを使うことで、採用担当者は応募者と面談する時間など、人間にしかできないことに集中する時間を増やすことができます。HRテックの導入で人事担当者の業務効率が大幅に改善することが期待されます。今後もHRテックの利活用がさらに進められ、企業を取り巻く採用業務は一層変革が進んでいくでしょう。

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