メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の違いとは?リモートワークに適応するこれからのワークスタイルを考える

メンバーシップ型雇用は、日本では従来から主流だった雇用形態です。

しかし、近年は高度IT化や事業環境の急速な変化によってジョブ型雇用が注目されています。さらに、2020年は新型コロナウイルスの流行によって、多くの企業がジョブ型雇用の導入を本格的に検討し始めました。

経営者や人事担当者は、今後のワークスタイルを考えるにあたって、両者の雇用形態の特徴と違いを正しく把握することが大切です。

この記事では、メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用のそれぞれの仕組みやメリット・デメリット、両者の違いとジョブ型雇用を導入する際のポイントを紹介します。

メンバーシップ型雇用とは?

メンバーシップ型雇用とは、多くの日本企業が従来から採用していた雇用形態です。

ただし、現在は高度IT化や人手不足などで、問題点も指摘されるようになりました。経営者や人事担当者は、まずこの雇用形態のメリットとデメリットを知ることが大切です。

メンバーシップ型雇用の概要

メンバーシップ型雇用とは、職務内容や勤務地などを限定しない無限定型の雇用です。

さまざまな部署で異なる種類の仕事を幅広く経験させ、転勤によって別の地域で仕事をさせることもあります。

メンバーシップ型雇用は日本企業に多く見られる雇用形態で、一般的に「日本型雇用」とも呼ばれてきました。

日本型雇用は、年功序列や終身雇用といった制度とセットとして語られることが多く、雇用の安定性や長期的な視点が大きな特徴です。

このように、あえて職務内容や勤務地域を明確に定義しない雇用方法の狙いは、OJTによって正社員人材にスキルや経験を幅広く蓄積させたり、人材配置の最適化を図ったりすることが挙げられます。

メンバーシップ型雇用のメリット

メンバーシップ型雇用のメリットは、会社側にとって人材配置や人材開発がしやすいという点です。

メンバーシップ型雇用では、職務内容や勤務地、労働時間などを限定しません。例えば、これまで開発部門にいた人材が、営業部に行って顧客対応を行うといったケースもありえます。

このような仕組みによって、企業内で特定の部門の人材が不足したり、あるいは余剰人員が発生したりした時に、社内の人材を異動させることで人数を調整できるのです。組織の変更に伴って、新たに人員を削減したり外部から新しい社員を雇い入れたりする必要はありません。

また、職務内容を限定しないため、社員には幅広い仕事を経験させることができ、社内の事情に広く精通した総合型人材を育成できる点もメリットです。

メンバーシップ型雇用のデメリット

メンバーシップ型雇用のデメリットは、勤務管理が難しい点や専門人材が不足しがちになる点です。

この雇用形態では、社員の職務範囲を限定しないため、社員が際限なく仕事を抱え込む可能性があり、過労になってしまうリスクがあります。

過労死の問題はメディアなどで度々取り上げられてきましたが、過労死の背景としてこの雇用形態が指摘されることは少なくありません。

メンバーシップ型雇用では、社員に幅広い業務を経験させるため、専門的なスキルを身につけさせることは困難です。

高度IT人材がますます必要とされる状況において、こういった総合人材を育成する仕組みは、専門人材の不足を加速させるという指摘もあります。

ジョブ型雇用とは?

メンバーシップ型雇用と比較される雇用形態に、ジョブ型雇用があります。

欧米諸国では一般的に取り入れられており、日本でも移行に関心が高まっている状況です。ここではジョブ型雇用の特徴やメリット、デメリットを紹介します。

ジョブ型雇用の概要

ジョブ型雇用とは、職務や勤務地を明確に限定する雇用の方法です。

職務内容や、勤務時間、雇用期限の有無、勤務方法などがあらかじめ定められており、それ以外の業務や勤務方法などを企業側が強制することはありません。

社員が定められた条件に従って仕事を行えば、企業側は賃金を保証します。

ジョブ型雇用では、メンバーシップ型雇用に見られるような仕事内容が大幅に異なる部署間の異動や転勤は原則として適用されません。

そのため、企業は社員の専門的なスキルを伸ばし、さらにその専門スキルを最大限活用することができます。

ジョブ型雇用は、欧米などの諸外国において一般的に採用されている方法です。専門人材の獲得や育成がしやすいため、特にIT分野においては技術優位性の強化に役立てられています。

日本では従来からメンバーシップ型雇用が主流でしたが、終身雇用や年功序列型の雇用形態が徐々に衰退しつつあり、さらに高度IT化によって専門スキルを持った人材が求められることから、一部の大手企業や経済団体などからはジョブ型雇用の積極活用を訴える声も出ている状況です。

ジョブ型雇用のメリット

ジョブ型雇用は、専門性の強化やワークライフバランスの実現がしやすくなり、専門性の高い人材を確保できるというメリットがあります。

この理由は、ジョブ型雇用は雇用がジョブ(職務)と紐づいており、雇用契約は特定の職務を遂行するための契約であると捉えているからです。

労働者側からすると、果たすべき職務があらかじめ決まっているので、自分の専門スキルや経験が活用できるかどうか判断しやすく、希望の職務とのミスマッチが生まれづらくなります。

特に、エンジニアや研究職など特定の専門スキルを保有する人材は、仕事を選ぶ際に自分のスキルを活用できるのか、専門業務に打ち込みやすいか、さらにはそのスキルを磨ける環境なのかどうかを気にする傾向が強いものです。

企業側にとっては、ジョブ型雇用を実施することで、こういった専門性の高い優秀な人材を確保しやすくなります。また、ジョブ型雇用はその社員が専門業務に打ち込みやすい制度なので、さらなる成長も期待できます。

ジョブ型雇用のデメリット

ジョブ型雇用は、人材確保や人員調整の難しさといったデメリットがあります。

ジョブ型雇用の企業では、ある職務に対して、その仕事を希望しており、なおかつその業務を遂行する能力がある人材を採用しなければなりません。

一般的に、企業がジョブ型雇用のポストに求めるのは、専門性が高くその分野での経験や実績がある人材です。ただし、こういったプロ人材はもともと引き合いが強く、ジョブ型雇用を導入しているからといって確保することは簡単ではありません。

社内でそういった専門人材を育成する場合も、従来からメンバーシップ型雇用を実施してきた企業では、育成制度や人事制度を大幅に変更する必要があります。

また、メンバーシップ型であれば、部署ごとの人数を調整するために、営業を経験してきた総合職人材をそれまで未経験の企画部門に異動させるといった配置転換が可能ですが、ジョブ型の場合は契約によって職務内容が明確に規定されているため、こういった柔軟な対応は難しくなります。

ジョブ型雇用導入のポイント

日本企業は従来からメンバーシップ型雇用が主流だったため、これからジョブ型雇用を導入する際はいくつかのポイントに注意しなければなりません。ここではジョブ型雇用を成功させる方法を紹介します。

職務内容を定義する

まずは、ジョブ型雇用を適用する職務や条件を明確に定義しましょう。

ジョブ型雇用は、社員の職務範囲を特定し、何をしなければならず、何をする必要がないのかを区切ることがポイントです。

職務内容、待遇、勤務場所、勤務時間帯といった基本的な条件だけでなく、役職、責任、権限といった役割も決めておきましょう。

なお、ジョブ型雇用において職務内容や条件などを記した書類を「ジョブ・ディスクリプション」(職務記述書)と呼びます。詳細なジョブ・ディスクリプションを用意しておくと、社内での管理や、求人掲載、応募者選考などがスムーズになるでしょう。

募集要項に反映する

ジョブ型雇用における職務の要件を定義にした後は、人材採用に備えて募集要項を作成しましょう。

募集要項は、外部の求職者にとって仕事内容や職務の責任などが理解しやすいような形でなければなりません。

そのため、社内で定義したジョブ・ディスクリプションをそのまま用いるのではなく、重要なポイントを漏れなく具体的に記述することが大切です。

求職者は企業が明示したジョブディスクリプションを見て応募するので、詳細にすればするほど、仕事を求める人材と企業が求める人物像とのマッチングが期待できるのです。

社内制度を見直す際は人事評価制度の整備もお忘れなく

メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用は、社員の職務内容や責任、働き方に至るまでさまざまな点が異なります。

これまでメンバーシップ型を実施してきた企業がジョブ型を導入する場合、職務内容や賃金、採用方法などを見直すことが大切です。

特に、人事評価制度の整備は重要で、ジョブ型に合った評価制度の構築が欠かせません。社内制度を見直す際は、構築から運用までサポートしてくれるサービスの導入も検討してみてはいかがでしょうか。

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