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一般労働者派遣事業とは?派遣労働法の歴史と派遣社員受け入れの注意点

これまでに多くの規制改正がされてきた派遣法。経営者や人事担当者はトラブルを防ぐためにもしっかりとその内容を把握しておくことが求められます。

派遣法を深く理解するために、この記事では一般労働者派遣事業の概要や、派遣労働法の歴史、派遣社員受け入れの注意点などを解説します。

一般労働者派遣事業とは?

一般労働者派遣業は、労働者が一般労働者派遣業者へ登録し、派遣先企業が決まったら、契約期間は雇用が発生する形態です。「登録型派遣」とも呼ばれています。

一般労働者派遣業者は、登録者に雇用を斡旋するだけでなく「教育訓練」をする義務も生じます。

一般労働者派遣業の他に、常用雇用労働者を派遣先企業に派遣する特定労働者派遣事業がありましたが、2015年に労働者派遣事業の適正な運営確保及び、派遣労働者の保護等に関する法律(通称「労働者派遣法」)が改正されたことで、特定派遣事業と一般労働者派遣事業の区別はなくなりました。

労働派遣法の歴史

1986年からスタートした労働派遣法は、日本経済の背景とともに、大きな変動を繰り返して現在に至っています。以下、労働派遣法の歴史を解説します。

1986年:「労働派遣法」施行

法が施行される以前、人材派遣は、職業安定法第44条において「労働者供給」という禁止事業に含まれており、その代わりとして、大手人材会社が「業務請負」という形で人材派遣に似たサービスを行っていました。

しかし、高度経済成長後の好景気に向かう経済を背景に、多様な人材を活用したい企業などが急増し、人材派遣のニーズが高まっていきました。

また、人材派遣を法的に認め、適切な管理を行った方が労働者保護につながるという考え方が浸透していき、1985年に労働者派遣法が成立され、翌年の1986年に施行されました。

当初の労働派遣法は、ソフトウェア開発や通訳、秘書などの専門的な13業務の派遣のみ可能という限定的なものでしたが、機械設計などを新たに追加し16業務となりました。

初の労働派遣法は、ソフトウェア開発や通訳、秘書などの専門的な13業務の派遣のみ可能という限定的なものでしたが、機械設計などを新たに追加し16業務となりました。

1996年:適用対象業務が26業務へ拡大

1990年代のバブル崩壊後、産業界は固定費である正社員の人件費を、変動費である人材派遣に置き換えようとする動きが出てきました。

政府は、規制緩和により民間企業の活力を取り戻そうとしたため、1996年に適用対象業務が16業務から、研究開発や広告デザインなどの新たな専門性の高い業務10業務を追加した26業務へ拡大しました。

1999年:適用対象業務の原則自由化

規制緩和の波がさらに強く押し寄せ、建設、港湾運送、警備、医療、物の製造業務を禁止業務とし、適用対象業務の原則自由化が実現しました。

また、それと同時に派遣受入期間が定められ、専門性の高い26業務は最長3年、自由化となった業務については最長1年となりました。

この規制緩和を皮切りに人材派遣のニーズは一気に高まり、それと同時に、人材派遣業者も増えていきました。

2000年:「紹介予定派遣」の解禁

一般労働者派遣事業の許可基準が改正され、雇用契約が終了した労働者を直接雇用できる「紹介予定派遣」が解禁されました。

直接雇用までの期間、派遣として雇用されるため、労働者側と企業側の双方の採用ミスマッチを防ぐことが期待されました。

2004年:製造業務へ労働者派遣が可能に

この時から、民間企業の雇用形態の多様化が進み、人材派遣などの外部人材の受入が経営戦略に組み込まれるようになり、経営側の要望に応じた人材派遣へと変化していきました。

また、以前からニーズの高かった製造業務へ労働者派遣が解禁されました。

2006年:一部医療関係の労働者派遣が可能に

医師の確保が難しい離島や疎開地域などの医師不足の解消と、医療従事者の仕事と家庭の両立支援の観点から、それまで禁止とされていた医療関係業務への派遣が解禁されました。

2007年:製造業務の派遣受入期間が最長3年へ延長

製造業務に関して、現場からのニーズが高かったため、派遣受入期間をこれまでの最長1年から最長3年へ延長されました。

それまで知識のつけた人材により長く雇用契約を結べるため、業務安定が期待されました。

2008年:「日雇派遣指針」が制定される

2008年のリーマンショックの影響から、製造業を中心に派遣切りや、雇い止め、ワーキングプアなどが大きな社会問題となりました。

このような問題が起こった原因として人材派遣という働き方に焦点が当てられ、これまでの規制緩和の流れがストップされることになり、規制強化の姿勢に変わることになりました。

そうした動きに伴って、新たに「日雇派遣指針」が制定されました。これは、日々又は30日以内の期間を定めて派遣会社に雇用される者を対象に、派遣会社と派遣先企業は、労働者派遣契約を締結する前に互いに日雇派遣労働者の就業条件をよく確認し、協力して労働者派遣契約の期間を長くしなければならないということを定めたものです。

2012年:派遣労働者の「権利保護」を目的とした法改正が施行

法律の正式名称が「労働者派遣業の適正な運用の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」と変更され、派遣労働者の「権利保護」を目的とした法改正が行われるようになりました。

この改正により、派遣先企業の社員との待遇のつりあいに向けた配慮が求められるようになりました。

派遣労働者の賃金は、遣先企業で同種の仕事をしている社員の水準や、派遣労働者のスキルや経験なども配慮されるようになり、教育訓練や福利厚生についても均等待遇を図ること、有期雇用から無期雇用へ転換する機会を設けること、派遣会社は有期雇用の派遣労働者の希望に添う努力するよう義務が定められました。

その他、日雇い派遣の原則禁止、派遣会社を特定の会社に限定する専ら派遣の規制強化、離職後1年以内の人材を派遣スタッフとして元の職場で働かせることの禁止など改正法案で定められることになりました。

2015年:労働者派遣法が大きく5つの規制強化が追加される

2015年に労働者派遣法の改正ポイントは5つあります。

1.派遣事業の健全化のため「許可制」となりました。

今までにあった特定労働者派遣事業は届出制、一般労働者派遣事業は許可制と区別されていましたが、その区別がなくなり、全ての労働者派遣事業が許可制となったのです。

2.教育訓練の義務付けが設けられました。

新しい改正案では、派遣会社に対して、派遣労働者に対する計画的な教育訓練や、希望者に向けたキャリア・コンサルティングを派遣元に義務付けることが求められたのです。

3.派遣労働者の雇用の安定化が求められました。

派遣会社には、派遣期間終了時の派遣労働者の雇用を継続するための措置が義務付けられました。派遣労働者の雇用が3年経過時は義務、1年以上3年未満は努力義務となっています。

4.派遣期間規制が見直されました。

これまでは、専門業務の26業務は期間制限がなく、その他の業務は最長3年という期間が定められていました。

しかし、それを廃止し、「派遣先の同一の事業所における派遣労働者の受け入れは、3年を上限とする。それを超える場合は過半数労働組合等からの意見聴取が必要」「派遣先の同一の組織単位(課)における同一の派遣労働者の受け入れは、3年を上限とする」と新しい「3年ルール」が設けられました。

よって、派遣先企業は、3年以上雇用契約の可能性が高い場合はなるべく無期雇用派遣を利用する」「26業務の派遣については雇用契約を調べ、有期雇用は無期雇用への転換を派遣会社に依頼するか、そもそも無期雇用の派遣会社と入れ替える」といった対応が求められることになりました。

5.派遣元と派遣先双方において、派遣労働者と派遣先企業の正社員との均衡待遇確保が強化されました。

こちらの義務違反には許可の取り消しなど厳しく指導がされます。

派遣社員を受け入れるときの注意点

企業にとってメリットもある派遣雇用ですが、注意点をしっかり把握しておかなければトラブルになり兼ねません。派遣社員を受け入れる際の注意点を解説します。

派遣の「3年ルール」

2015年の法改正により、派遣社員の待遇改善の観点から、派遣社員は同じ会社で3年以上の就業が原則できなくなりました。

そのため、派遣社員を直接雇用に切り替えることを検討する必要があります。また、それが難しい場合には、新しい派遣労働者を受け入れるか、該当の派遣労働者を無期雇用派遣とするなど、安定した雇用継続を図るための措置が必要になります。

しかし、同じ派遣先で業務内容が異なる他部署への異動の場合は、異動後3年間は派遣労働者として受け入れることが可能です。

また、「3年ルール」は全ての派遣労働者が対象ではありません。既に無期雇用されている派遣社員や、60歳以上の派遣労働者、一定期間内に完了する有期プロジェクト業務、日数限定業務、産休・育休・介護休業を取得する労働者は「3年ルール」の対象外となります。

派遣業務の確認

労働者派遣法によって、港湾運送業務、建築業務、警備業務、医療業務、士業への派遣は禁止されています。

しかし、全てが禁止という訳ではなく、建築業務でも事務員やCADオペレーターなどは派遣可能、看護師でも紹介予定派遣や産休のための欠員補充は可能となっています。派遣受入を検討している業務が派遣適用業務であるか確認が必要です。

基本契約書と個人契約書

派遣労働者を受け入れるにあたり、派遣元企業や派遣社員とトラブルにならないよう契約書を作成します。

派遣先企業が契約を結ぶのは派遣会社です。契約書は、派遣会社との取引における基本的事項を記載した基本契約書と、派遣労働者に対する個別の契約事項を記載した個別契約書の2種類になります。

基本契約書では、人材派遣契約である旨をはじめ、契約期間、派遣料金取り決めについて、休日・休暇の取得について、派遣社員の交換、損害賠償、契約解除、守秘義務などを記載します。

また、個別契約書では、労働契約期間、就業場所、派遣先と派遣元の担当者、直属上司名、業務内容、就業時間・休憩時間、時間外労働やシフト制の有無、雇用安全措置について、休日・休暇・賃金の詳細、契約解除、派遣社員からの苦情処理などが記載されます。

派遣先責任者の設置

派遣社員が派遣先で安心して働けるようにするため、派遣先責任者を設定しなくてはなりません。

派遣社員100人につき1人の派遣先責任者を設置する必要がありますが、事業所などで派遣社員と派遣先の社員が5名以下の場合は責任者を設置しなくても良いとされています。

派遣責任者は、派遣元との連絡調整、派遣社員のクレーム処理、派遣先管理台帳の管理を行います。

派遣先管理台帳の作成

派遣先企業は、派遣社員が適切な環境で就業できているかを確認する派遣先管理台帳の作成、保存、派遣元への通知が義務付けられています。また、派遣先管理台帳は、派遣終了日から3年間は台帳の保存が義務付けられています。

派遣先管理台帳には、派遣労働者の氏名、60歳以上であるか、派遣元事業主・事業所の名称、派遣元事業主の事業所の所在地、業務内容、無期雇用か有期雇用か、派遣先事業所の名称、派遣元派遣先と派遣先責任者、就業日数や勤務時間などの就業状況、社会保険の加入有無、教育訓練の実施日と内容、紹介予定派遣の場合はその旨と決められた記載項目があります。

均衡待遇に対する配慮義務

「賃金」「福利厚生施設」「教育訓練」の3点に関して、派遣社員と派遣先の社員待遇の均衡を図ることが義務付けられています。

賃金は、業界の平均賃金を勘案し、派遣先の社員との均衡を図る努力をする必要があります。派遣先企業は、給与水準や求人条件などの情報を派遣会社に提供するようにしましょう。

福利厚生施設は、派遣先の更衣室や食堂などの施設を派遣労働者も使用できるよう配慮する必要があります。

教育訓練は、業務に関する教育訓練を社員に行う場合、派遣元からの要請があれば派遣労働者の受講も許可する配慮が求められます。派遣元で訓練が可能な場合や、高額な費用がかかる場合には派遣元との相談が必要です。

労働契約申込み

労働契約申込みみなし制度とは、違法状態で派遣が行われていた場合、派遣先は派遣労働者に対して直接雇用の申し込みをしたと見なされる制度です。

ここでいう違法派遣とは、派遣禁止業務で派遣を受け入れた場合、無許可・無届の派遣元事業主から派遣労働者を受け入れた場合、派遣可能期間を超えて派遣労働者を受け入れていた場合、偽装請負で受け入れていた場合が指されます。

派遣を受け入れる前に、違法派遣でないか確認するようにしましょう。

まとめ

社会環境が変わり、派遣に対する雇用の考え方も変化してきました。今では派遣社員も業務には欠かせない存在となっている企業も少なくないはずです。それに伴い、派遣社員の人事評価も見直ししていかなければなりません。

あしたのチームでは、派遣社員を対象とした人事評価の見直しも可能です。派遣元や派遣社員とも良好な関係を築いていくために、正しい人事評価制度が求められています。

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