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職能資格制度とは?失敗してしまう理由と再構築に成功するためのポイントを解説

多くの日本企業が導入してきた人事制度である「職能資格制度」。

しかし、自社で運用している職能資格制度がうまく機能しておらず、改善の必要性を感じている人事担当者も多いのではないでしょうか。

職能資格制度を再構築するためには、制度の特性をしっかり理解し、弱点をうまく補う人事評価指標を持つことが必要です。

本記事では、職能資格制度の特徴や普及した背景、制度がうまく機能しない理由と再構築するための具体的な方法を解説します。

職能資格制度とは

職能資格制度とは、従業員に求める業務遂行能力を明確に指標化し、その能力に応じて部署配置や人事評価、昇給や昇進を決定する制度です。

この仕組みでは、例えば部長ポストの空きがなかったとしても、部長と同格の職能資格を得れば同等の給料がもらえます。全ての従業員に平等に昇格や昇給の機会を与えられるため、モチベーションを維持しやすいという特徴があります。

一方、多くの従業員が順当に昇給することで総人件費は高くなる傾向も持っています。また、職能基準のあいまいさや降格の困難さ、経営ビジョンと人材戦略を結び付けづらいといった点から、年功序列にも似た運用になってしまうとの指摘もあがっています。

職能資格制度は、1978年のオイルショック以降に日本の大企業を中心に普及した、日本固有の制度であるといわれています。ところが、バブル崩壊を経て企業の業績が悪化し、人件費削減が課題となったことで、昨今では成果主義にシフトする企業が増えています。

職能資格制度と職務等級制度、役割等級制度との違いとは

日本の等級制度として、職能資格制度のほかに「職務等級制度」「役割等級制度」というものがあります。それぞれの違いについて解説します。

職務等級制度と職能資格制度の違い

職能資格制度が業務を遂行するための「能力」を指標に等級を用意するのに対し、職務等級制度は職務ごとに給与基準を定めるものです。

職務等級制度では、それぞれの職務に対して、全ての業務を網羅した「職務記述書」が用意され、記述書で示されている職務内容が遂行できれば、同一の賃金が支給されます。「同一業務・同一賃金」を原則しているため、職能資格制度と違って年齢や勤続年数といった指標は考慮されません。

賃金について合理的な評価ができる一方で、職務記述書の作成が煩雑であることや昇給機会が少ないといった点から、日本ではあまり普及しませんでした。

役割等級制度と職能資格制度の違い

役割等級制度は、ミッショングレード制とも呼ばれる制度で、それぞれの職務の役割等級を設定します。例えば、営業、総務、開発といた職務区分に、それぞれ係長、課長、部長といった役割を作り、役割に応じて期待される行動や賃金、権限が設定されます。

ただし、役割の設定については定型的な形式が存在しないため、それぞれの企業の実情に合わせて、模索しながら導入されているのが現状です。

それぞれの役割には「役割定義書」が作成されますが、比較的簡略であり、職務等級制度ほど煩雑ではありません。

さらに、経営目標達成のために従業員それぞれのミッションを細かく定義し、ミッションに応じた給与基準が設定できるため、職能資格制度と職務資格制度の両方のメリットを持った制度として、広く普及が進んでいます。

職能資格制度の具体例

企業では、どのような形で職能資格制度が導入されているのでしょうか。

一般的には、新入社員で第1等級から始まり、能力の上昇に合わせて等級が用意されています。等級の数に決まりはありませんが、100人未満の企業で6段階以下が目安とされています。

各等級には、「指示通りに仕事がこなせる」「後輩の指導ができる」「経営目的達成のために的確な戦略を立てられる」など、資格要件が設定されています。

要件は等級があがるごとに難易度が高くなり、要件をクリアしていると判断されると、上位等級に昇格します。

また、それぞれの等級には、昇格までの「標準経験年数」と、主任や部長などの代表的な「対応職位」が設定されます。対応職位は、その等級に達したら必ず就くというものではなく、この職位に就くためにどの程度の能力を求められるのか基準になるものです。

職能資格制度のメリット・デメリット

職務を越えて等級を設定する職能資格制度は、一定期間働けば上位資格に昇格していくため、社員にとっては安心感のある制度です。

一方、年功序列に陥りがちで、実際の職務内容と評価が乖離してしまうというケースも頻発しています。
他にも、以下のようなメリット・デメリットがあげられます。

メリット デメリット
・職務を越えて職能を設定するので、人事異動や組織変革に対応しやすい。
・ポスト不足にも柔軟に対応できる。
・ゼネラリストを育成しやすい。
・昇給機会が平等に与えられているため、モチベーションを維持しやすい。
・等級と職務内容がかい離しやすい。  
・年功序列のような運用になってしまう。
・全従業員が平等に昇給していくため、総人件費が高くなる。

職能資格制度が機能しにくい理由とは

職能資格制度は、高度経済成長期から日本の多くの企業に採用されてきたシステムです。ゼネラリスト育成を目指してジョブローテーションを導入している大企業や、専門性が問われる製造業に適しており、現在でも多くの企業に採用されています。

一方で、勤続年数に応じて能力はあがっていくものという考えに基づいているため、どうしても年功序列的な運用になってしまいがちです。

また、多数の職種で共通する能力を設定しようとすると、基準があいまいなものになってしまいます。実際の能力と関係なく形式的に昇級する社員が増えるだけでなく、ポストも不足するようになります。

そのため、昨今の成果主義を基盤とする人事評価とはマッチしづらく、企業の実情に合わせて新たな評価基準を導入する企業が増えています。

職能資格制度を再構築するための3つの方法

職能資格制度が年功序列的な運用になってしまうことを防ぎ、適切に機能させるためには、人事評価を補う制度と管理体制が必要です。制度を再構築するための具体的な方法を3つご紹介します。

360度評価

360度評価とは、多面評価や周囲評価ともいわれている人事評価手法で、上司や人事部だけではなく、チームメンバーや部下、異なる部署の社員など、様々な視点から評価を受ける方法です。

評価の属人化を防ぎ、より公平な評価に近づけるだけでなく、従業員にとっても客観的に自己を振り返り、業務改善をうながすことができます。

職能資格制度と併用して取り入れることで、等級だけに頼らず、従業員が自身の仕事ぶりを振り返るきっかけとなります。

コンピテンシー評価

コンピテンシーとは、特に高い成果を上げている社員の行動特性のことです。

モデルとなる社員の行動特性を指標化し、それに従って評価を行うのがコンピテンシー評価です。コンピテンシー評価は、自身で成果を出すための行動目標を設定し、上司と面談などのコミュニケーションをとりながら、成果を出す行動を評価していきます。

そのため、成果と過程の両方を評価できる手法とされています。職能資格制度に取り入れることで、等級と実情のかい離というデメリットを補うことができます。

コンピテンシーマスター評価項目一覧

目標管理制度

目標管理制度は、「MBO(Management By Objective)」とも呼ばれる方法で、従業員が自分自身で設定した目標を、企業やチームで共有して管理していく方法です。

経営目標やチーム目標などの行動指針を共有し、従業員はそれに従って自身が達成すべき課題や身に付けるスキルを自主的に設定します。年功序列的な制度に寄りかかるのではなく、従業員の自主性を育てて、各自の生産性を向上させることができます。

クラウドサービスの導入

とはいえ、新しい制度を導入しても、形骸化せず運用することは人事担当者にとっては難しい課題です。

そこで、煩雑な人事評価業務を効率化するサービスを活用することも一手です。例えば、人事評価をクラウド上で運用できる「あしたのクラウド」では、上記で紹介した評価制度もクラウド上で管理でき、適正な評価基準を策定できます。

既存の職能資格制度を活かしてマンパワーを最大化しよう

職能資格制度は、全ての従業員に平等に昇格や昇給の機会を与えられるため、モチベーションを維持しやすく、多くの企業で採用されてきた制度です。

一方で、運用が年功序列的になってしまい、実際の仕事ぶりとかい離しやすいことや、人件費が高くなってしまうといった理由から、昨今では運用が困難になる企業も多く見られます。

職能資格制度をうまく機能させるためには、デメリットを補う人事評価指標や制度を並行して運用する必要があります。人事評価制度の構築に役立つサービスをうまく活用し、充実した評価体制の構築を目指してください。

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