レコグニションとは?今注目のレコグニション制度の概要、導入手順、導入事例を紹介

少子高齢化の影響から、慢性的な人手不足に直面している日本の採用市場。

そんな中、社員一人一人のモチベーションを高め、生産性を向上させる取り組みとして、「レコグニション」という言葉が注目を集めています。

レコグニションは、インセンティブや昇進のように金銭報酬を目的としない、新しい企業文化を醸成する制度として、導入する企業が増えています。

今回は、レコグニションの概要や特徴、導入する際の手順や企業事例などを解説します。

レコグニションの意味 とは

「レコグニション(recognition)」とは、認知や承認を意味する英単語で、人事用語としては、社員がお互いの功績や頑張りを認め、承認や称賛や送り合う制度のことをいいます。具体的には、表彰制度やありがとうカード、SNSでの称賛文化などがレコグニションにあたります。

レコグニションは、金銭的な報酬に重点を置いていないことが特徴です。

従来の制度ではインセンティブを伴う表彰制度などが主流でしたが、若い社員のモチベーション維持にはこれだけでは不十分であることが認識され始めました。自身の業務内容に誇りを持ち、エンゲージメントを高めて離職防止につなげるためには、社員同士が承認しあい、チームへの帰属意識を高めることが重要です。

そこで、承認し合う企業文化の醸成を目的として、レコグニションを取り入れる企業が増えています。

最近注目のレコグニション制度とは

従来から存在しているレコグニション制度としては、業績のよかった社員に対するMVP制度や表彰制度、他にも永年勤続表彰制度といったものがあります。

最新の動向としては、組織においてメンバー同士が承認・称賛しあう「ソーシャル・レコグニション」が注目されています。

ソーシャル・レコグニションは、上層部から一方的に業績を評価されるのではなく、もっと身近なメンバー同士で小さな取り組みも承認し合うことで、金銭報酬や昇格を伴う制度よりも、永続的なチームへの愛着が育つとされています。

また、営業職のように成果を数値化しやすい職種だけでなく、後輩指導や改善活動といった数字に換算できない頑張りも可視化しやすいというメリットもあります。

昨今では、レコグニションというと、このように報酬を前提としないソーシャル・レコグニションを指すという認識も強まっています。

レコグニション制度の導入事例

実際にレコグニションを導入している企業では、どのような課題も持っていて、それに対してどういう制度を設けているのでしょうか。レコグニションを導入した企業事例を紹介します。

GMO:職種を越えた相互理解の促進

様々なメディアサービスを提供するGMOメディア株式会社では、「コミュニケーションの活性化」を目的に導入を検討し始めました。

担当者が社内アンケートをとったところ、仲間からの称賛を報酬に結びつけるレコグニションの一種「ピアボーナス」を導入してほしいとの声があがり、導入を決定したそうです。

その結果、遅い時間まで障害対応しているエンジニアなど、これまで光の当たらなかった社員や業務にスポットがあたるようになったり、ミーティングで意見が対立したあとにピアボーナスを送り合ったりと、相互理解が促進されたといいます。

また、導入しても使う機会がなさそうだと思われていた取締役等の経営陣が積極的にピアボーナスを活用しているとのことです。

普段、感謝を伝えるのが難しい立場の社員や、口下手で言葉にするのが苦手な社員でも、制度があることで気軽に気持ちを伝えられるようになったといいます。

キュービック:会社の文化が可視化され強固に

インターネットマーケティング企業であるキュービックでは、もともと会社に根付いていた感謝・リスペクト文化をさらに強固なものにするため、新たな制度を導入しました。

もとからお互いに感謝やリスペクトを伝える制度として、「やるじゃんレター」を送り合う制度を持っていた同社。しかし、物理的にコストや手間がかかるため、ピアボーナスを送り合えるWEBサービスを導入しました。

すると、管理部と現場の垣根がないという同社の良さもあり、様々な方向で感謝の声が送られるようになったといいます。

マネジメント視点では、日報ではくみ取れないような社員の小さな行いや取り組みもわかるようになったため、マネジメントツールとしても役立っているそうです。

キュービックの良さである感謝・リスペクト文化がさらに可視化され、愛社精神を強める社員も増えているといいます。

オールハウス:離職率を大幅に改善

広島県で不動産業を営むオールハウスは、離職率の高さを課題としていました。背景としては、新規事業展開や企業規模の成長スピードに企業文化や風土が追い付いておらず、社員のモチベーション低下を招いていたとしています。

まずは、連携がうまくいっていなかった5つの事業部を対象に、ピアボーナス制度を導入。すると、横のコミュニケーションが増えたことでワンストップサービスが実現し、なんと売上が1億円も向上しました。

副次的な効果としては、社員がお互いに評価をしあう楽しさを実感し、他事業部の仕事についても興味を持つようになったといいます。その結果、当初の目標だった離職率も大幅に改善したそうです。

ピアボーナス制度に原資以上の価値を感じたとのことで、今後は会社の業績に応じてピアボーナスの報酬を2倍、3倍に増やしていきたいと考えているとのこと。社員の金銭面だけでなく、心も豊かにしてくれる取り組みであると感じているそうです。

レコグニション制度の導入手順

それでは、レコグニションを企業で導入する際の具体的な手順を紹介いたします。

導入目標を明確化

自社の課題はどこにあるのか、その課題に対してどのようなアプローチが必要なのか、しっかり目的を洗い出してから導入計画を立てましょう。目的を明確にしてチームで共有することで、的確な計画が立てられるようになります。

運用ルールの整備

どのような行動を対象とするのか、それに対してどのような報酬を用意するのか、運用ルールを明文化していきます。

ルールは、社員間の公平性を担保するよう、一部の社員だけ有利にならないよう配慮することが重要です。また、社内周知のためにも、社内規定として文章化することがおすすめです。

社員への周知・説明

社員向けに説明資料を用意したり、説明会を開催して制度の趣旨や運用ルールを周知します。レコグニションでは、社員がお互いに認め合う「企業風土」が醸成されていることが重要です。制度の導入目的も合わせて社員に伝えるようにしましょう。

運用後のフィードバック

新しい制度を導入した後は、その効果検証と改善点を洗い出すフィードバックをセットで行うことが大切です。

制度について社内アンケートを実施したり、制度の利用状況を調査するなど、制度が課題に対してどのような影響を与えているか把握し、より良い制度設計を目指して定期的なフィードバックを行ってください。

レコグニション制度構築におすすめのサービス2選

昨今では、レコグニション制度として利用できる便利なWEBサービスが多数登場しています。レコグニション導入にあたりおすすめのサービスを2つご紹介いたします。

Unipos

ピアボーナスで最も有名なサービスであるUniposは、社員同士が「感謝の言葉」と「ボーナス」を送り合えるサービスです。送られた称賛の言葉はリアルタイムで全社に共有されるため、自分への賛辞がすぐに全社に共有されることでモチベーションが向上します。

また、称賛された社員にはポイントが送られ、そのポイントは給与やボーナスといった形で還元されます。単なる金銭報酬ではなく、承認をともなったボーナスを手軽に導入できるとして、大企業でも多数の導入例を持っています。

Unipos

OKWAVE GRATICA

OKWAVE GRATICAは、感謝の気持ちを「サンクスカード」にして伝え合うコミュニケーションツールです。500枚以上のデザインからカードを選び、感謝の度合いから「チップ」を設定して送ります。

受け取ったチップはスポンサー企業の優待商品と交替したり、慈善団体へ寄付することができます。誰がどんな内容で感謝されているのか可視化されるため、定量的な指標によらない、新しい評価軸の策定にも効果的です。

また、導入や利用は無料なので、小規模チームでのお試し利用がしやすい点も人気の理由です。

OKWAVE GRATICA

レコグニション制度を導入して社員のモチベーションをアップしよう

優秀な人材を新規に採用することが困難になっている昨今、企業の人事部には既存社員のエンゲージメントを向上される施策が求められています。

必ずしも金銭的な報酬に頼らないレコグニションは、特に若い社員のモチベーションや愛社精神を向上させる取り組みとして、多くの企業に導入されています。導入障壁の低い便利なサービスも多数登場しているので、ぜひ検討してみてください。

また、定量化できない社員の行いを汲み取るには、人事評価制度の整備も必要不可欠です。適正な人事評価も社員のモチベーションと直結する重要な制度ですので、合わせて検討を進めるようにしてください。

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