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THPとは?厚生労働省が打ち出す社員の健康保持の方法

ワークライフバランスの実現は、従業員の心身の健康を保つだけでなく、企業が働き方改革を推進する上でも重要です。

近年では、従業員の健康管理を経営戦略に取り入れる「健康経営」も注目されています。健康経営の基礎となる指針を、厚生労働省が「THP」という形で公開しているのはご存知でしょうか?

この記事では、THPを実施することで期待できる効果や、社員の健康保持の進め方などを解説します。

THPとは

THPは「トータル・ヘルスプロモーション・プラン」の略称で、「心とからだの健康づくり」をスローガンとする、働く人を対象とした健康増進計画です。

1988年の労働安全衛生法改正では、労働者(働く人)の健康増進に向けた継続的な取り組みが事業者(企業)の努力義務として定められました。

THPを継続的に取り組む道筋をつけるため、当時の労働省が「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」を公表したのです。

同じ年に、世界保健機関(WHO)が「健康づくりのためのオタワ憲章(Ottawa charter for health promotion)」の中で、ヘルスプロモーション(Health promotion)を「自分の健康を管理・改善できるようにするプロセス」と定義づけています。

この考え方は、SDGs(持続可能な開発目標)の一つである「すべての人に健康と福祉を」、そして安全で健康的に働くことができる「ディーセントワーク」にもつながっていくのです。

THPを実施する意義・効果

THPを実施する意義や期待される効果について、企業・働く人両方の視点から確認してみましょう。

職場の活性化

働く人の健康向上を通じて職場の活性化を実現することが、THPを実施する最大の意義です。定期健康診断や特定保健指導の受診勧奨を行うなど、企業と働く人との協働で健康づくりに取り組むことで、パフォーマンスを発揮しやすい職場づくりが実現します。

作業効率のアップや病気欠勤日数の低減による、生産性の向上も期待できるでしょう。適切な人事評価制度の運用をプラスすることで、働く人のモチベーションを引き出せる点にも注目です。

企業のイメージアップ

THPを実践する企業には、様々なインセンティブが用意されています。健康経営優良法人に認定された企業には、経済産業省が用意する専用ロゴマークの利用が許可され、社会的評価の向上が期待できます。

また、協会けんぽや健康保険組合に健康事業所(企業)宣言を行うことで、融資金利や保証料の優遇を受けられるなど、企業経営に有利な特典を受けられるのも魅力です。「THPの実践」というPR材料がプラスできる点も見逃せません。

高齢者活用で人手不足解消

健康に配慮しながら働ける環境づくりは、高齢者雇用を促進する面でも有効です。

一部の業界では採用難が慢性化していますが、高齢者の活用が人手不足の打開策となり得るほか、高齢者が持つ豊かな経験と知識を企業の商品力・サービス力の向上に活かせる可能性も見えてきます。

高齢者の特性を考慮に入れた、多様な働き方を提供することも有効でしょう。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、高齢者の長期勤続にあたっては企業側の健康面への配慮が重要な判断材料とされる傾向がある点には留意が必要です。

医療費の減少

生活習慣病の予防に取り組むことで、医療費負担が減るメリットがもたらされます。2018年度の概算医療費は約42.6兆円、THPがスタートした1986年の医療費(16兆円)と比較すると2.6倍です。

国全体の医療費を減らすことにもつながり、持続的な国民皆保険制度の運営にもつながります。なお、協会けんぽや健康保険組合では、生活習慣病予防検診や(被扶養者向け)特定健診の受診率などにより、健康保険料を増減させるインセンティブ制度が導入されています。

活力ある社会づくりに寄与

ここまで紹介した内容の相乗効果により、THPは活力ある社会づくりに寄与しているという見方も可能です。

健康への配慮は良好な職場環境の構築という形でCSR推進に紐付けられる他、働く人にとってはワークライフバランスの充実にも発展します。

一つの企業に留まらないパラレルワーク(副業)や、家庭や地域への参加を通じた自己実現も、社会の活力アップに結びつきます。THPの効果を高めるには、PDCAサイクルに基づいて実施内容を具体的に定めることが大切です。

THPの進め方

THPは5つのステップに分かれており、働く人・産業医・指導スタッフとの共同作業で進めていきます。

健康測定

THPの第一段階として、健康測定専門研修を修了した産業医による健康測定が実施されます。測定結果に基づいた、健康づくりに関する全体的な指導とTHPの第二段階である運動・保健・栄養指導とメンタルヘルスケアのプランニングが、産業医の役割です。

健康測定は、身体的機能に関する基本情報や、運動指導の可否・条件決定に必要な情報を入手する目的で行われます。

そのため、定期健康診断より血液検査の項目が多い他、生活状況の調査や肺活量・皮下脂肪厚の測定も実施されます。

3か月以内に健康診断や生活習慣病予防健診を受けた人は、その結果を提出することで測定の一部項目を省略可能です。必要に応じて、筋力や平衡性・柔軟性などの運動機能検査も行われます。

運動指導

運動指導は、運動指導担当者(ヘルスケア・トレーナー)が作成した個別の運動プログラムをもとに、運動実践担当者(ヘルスケア・リーダー)のサポートを受けながら実施されます。

楽しく効果的に運動を実践できるよう、個人の生活状況や趣味・希望などが十分に考慮したプログラムが作成されるのが特徴です。その上で、健康な生活習慣の確立を念頭に置いて運動の習慣化を目指していきます。

年齢や体力差への配慮が必要なことから個別指導を主体に実施されますが、肥満や禁煙など同じ課題を持つ人との集団指導を組み合わせるケースもみられます。

メンタルヘルスケア

健康測定の結果、産業医が必要と判断した場合は、心理相談担当者(心理相談員)によるメンタルヘルスケアが提供されます。

働く人が希望した場合も、ケアを受けることが可能です。ストレスに気づき対処するセルフケアの手法や、リラクゼーションの方法に関する指導が行われるのが特色です。

積極的な健康づくりを前提としたケアであるため、ストレスに伴う脳疾患やメンタル不全の防止に主眼を置いた面接指導とは趣旨が異なる点に留意が必要です。必要に応じて、専門の医療機関につなぐ(相談・受診を促す)ことができる体制を用意しておくことが、THPを有効に機能させる秘訣といえます。

栄養指導

健康測定の結果、食生活上の問題がみられると産業医が判断した場合は、産業栄養指導担当者による栄養指導が実施されます。

医師の視診あるいは血液検査の結果を通じて、栄養バランスの問題が発覚するケースが多いようです。朝食抜きや間食といった食事習慣や、偏食や行き過ぎたダイエットなどの食行動の評価・改善に主眼を置いたプログラムが組まれます。

生活習慣病の予防を目的として、栄養バランスと適切なカロリーを考慮した献立を提案する事例もみられます。

保健指導

心身の疲労を回復するための適切な睡眠時間の確保、歯周病予防を通じて全身の健康増進につなげる口腔ケアなど、健康的な職業生活を送り続けることに重点が置かれていることが特徴です。

近年では受動喫煙防止の観点から、禁煙への動機付けを保健指導に加える事例がみられます。また、2020年に入ってからはストロング系アルコール飲料による健康被害や生活習慣の乱れが問題視され始めており、健康測定結果を踏まえた節度ある飲酒を促す指導場面が増えることが予想されます。

THPに取り組む方法

THPへの取り組み方は、アウトソーシングによる方法と内製化による方法の2通りに分かれます。

サービス機関・指導機関に依頼(アウトソーシング)する

企業の委託を受けてTHPへの取り組みを支援する2つの機関が、全国に設けられています。

(1)労働者健康保持増進サービス機関

THPに基づく健康測定と健康指導を、フルサービスで実施できる機関です。

産業医の選任義務がない50名未満の事業場にとっては、この機関が唯一の外部委託先となるでしょう。

(2)労働者健康保持増進指導機関(指導機関)

事業場の産業医と連携して、運動指導を実施できる機関です。

産業医を含むTHPスタッフが自社に在籍しているため、健康保持増進専門委員会の設置が推奨されますが、事業者と機関との間で密な情報交換を行う条件で、委員会機能を代替させることができます。

THPスタッフを養成する

事業場独自でTHPを推進する場合は、健康教育や健康相談のできるTHPスタッフの養成が必要です。THPスタッフは、一定の研修を修了した次の6つの職種のことで、「THP6人衆」と呼ばれることもあります。

  • 産業医
  • 運動指導担当者
  • 運動実践担当者
  • 心理相談担当者
  • 産業栄養指導担当者
  • 産業保健指導担当者

中央労働災害防止協会では、専門スタッフを養成するメンタルヘルス関連セミナーなどの研修が開催されており、研修を修了することで指導担当者登録が可能です。

社員のメンタルヘルスケアの鍵を握る、適切な人事評価

企業の生産性を保ち続けるためには、従業員の健康管理を徹底することが大切です。

働く人へ適切なメンタルヘルスケアを提供することも求められます。メンタルヘルスケアの実施にあたっては、企業内カウンセラーの導入も一つの案ですが、上司・管理職とのコミュニケーション促進を図るアプローチも考えられます。

「ゼッタイ!評価」は、自社の文化や行動特性に合わせた評価制度を構築し、従業員のモチベーションアップへつなげられることが魅力です。人事評価制度の導入は、健康経営を推進して企業価値と従業員満足度を高める上でもおすすめです。

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