どこからがアウト?ハラスメントの種類と定義を知ろう

(写真=designer491/Shutterstock.com)

「〇〇ハラ」という「ハラスメント造語」が次々と産み出されていますが、何でもかんでも糾弾すればいいという考え方が、かえって組織の秩序を乱すこともあります。ここでは、特に職場におけるハラスメントについて、厚生労働省などの公的機関がどのように定義しているかを見ていきます。

「ハラスメント」とは

ハラスメント(Harassment)には、『嫌がらせ、悩み(のタネ)』という意味があります。本人の意図に関わらず、言動によって相手を不快にさせる、尊厳を傷つける、不利益や脅威を与えることを指します。

職場におけるハラスメントについては法律の整備が進められています。ハラスメントは労働者の就労意欲・企業の生産効率・社会的評価を低下させるおそれがあり、企業にとって重大な損失になりかねません。

職場におけるハラスメントの種類と定義

セクハラ、パワハラなど、職場におけるハラスメントは厚生労働省によって定義されています 。

セクシュアルハラスメント

セクシュアルハラスメント(通称:セクハラ)の定義 は以下のとおりです。

「職場」において「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応(拒否など)により、その労働者が労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されたりすること。

ここでの「職場」とは、労働者が業務を遂行する場所であれば就業場所以外も含まれます。また、「宴会」「懇親の場」など、勤務時間外であっても、参加が義務に近く実質的に職務の延長とみなすことができるものは「職場」に該当します。また、「労働者」とは、正規雇用・非正規雇用を問わず、事業主が雇用する労働者すべてを指します。

男女雇用機会均等法第11条によって、セクシュアルハラスメントの防止措置を講じることが事業主の義務として定められています。

妊娠・出産・育児休業・介護休業などに関するハラスメント

妊娠・出産や、育児休業・介護休業などを理由とするハラスメント(通称:マタハラ、イクハラ、ケアハラ)は、以下のように定義されています。

「職場」において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業・介護休業などを申出・取得した「男女労働者」などの就業環境が害されること。

上記のハラスメントについては、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法に基づき、防止措置が事業主に義務付けられています。

パワーハラスメント

職場におけるパワーハラスメント(通称:パワハラ)は、「同じ職場で働く者に対して、職場内での優位性(職務上の地位や人間関係など)を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境が悪化するような行為」と定義されています。

2019年3月現在、法律によって規定されてはいないものの、相手の尊厳や人格を傷つける行為であり、防止対策が望まれます。

業務上の指導とハラスメントの違い

ハラスメントは、どのようなものであっても防止に努めるべきです。ただ、いわゆるセクハラやマタハラなどと比べ、パワハラの起こり得る範囲は広いです。「普段の部下や後輩への指示命令がパワーハラスメントにあたるのではないか」と心配する人もいるかもしれません。

職場のパワーハラスメントにあたる可能性がある行為としては、以下の6つがあります。

1. 身体的な攻撃
2. 精神的な攻撃
3. 人間関係からの切り離し
4. 過大な要求
5. 過小な要求
6. 個の侵害

さらに、厚生労働省の雇用環境・均等局によって「以下の①~③の条件をすべて満たすもの」がパワーハラスメントにあたると定義されています。

① 優越的な関係のもとに(優位性を背景に)行われる
② 業務の適正な範囲を超えて行われる
③ 身体的/精神的苦痛を与える、または就業環境を害する

たとえば、「新入社員を教育するために別室で研修を受けさせる」ことは「3. 人間関係からの切り離し」にあたるものですが、これは業務上の適正範囲内と考えられる(条件②に当たらない)ためにパワーハラスメントには当たらないと考えられます。

職場において、労働者の意に沿わないことすべてがハラスメントとなるわけではなく、正当な業務上の指示命令・指導と言える場合もあるのです。

これらのハラスメントの定義をふまえて、防止に努めていきましょう。

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