シンギュラリティとは?いつ起こるか、仕組み、企業の対策など紹介

シンギュラリティのイメージ画像

人工知能(AI)を活用したクラウドシステム・IoTなどのサービスが急速に普及するなか、SFなどでしか登場することのなかった「シンギュラリティ」も知られるようになってきました。

シンギュラリティとは技術的特異点のことで、AI技術の革新的な発達により人間の知能を超え、社会が激変するポイントのことを言います。

様々な論争が続いているシンギュラリティ。今回はシンギュラリティの意味、起こる時期、仕組み、人類への影響、反対的な意見、対策などを紹介します。

シンギュラリティとは

そもそもシンギュラリティとは英語のSingularityのことで、「特異点」という意味です。米国のレイ・カーツワイル博士著書で2005年に出版された「Singularity is near(シンギュラリティは近い)」によって、AI技術の発展の先にある「技術的特異点」としてのシンギュラリティが広く知られるようになりました。

レイ・カーツワイル博士によると、シンギュラリティとは遺伝子,ナノテクノロジー,人工知能を含むロボットなどの技術が指数関数的に発展し,特異点を境に急激な進展をすることと定義しています。

シンギュラリティを提唱する学者達の中で、その定義は若干異なっており「AIがAIソフトを書き換えることによって起こる知能的爆発の時点」「AIの発達などによりそれ以上先の歴史が予想できなくなる時点」などの定義もあるようです。

SF上のシンギュラリティとは

シンギュラリティは、有名なSF映画やアニメなどで表現されることが多く、一般的な人達にとってはSF上の想像の産物として見られてきました。

例えば、ターミネーター、2001年宇宙の旅、マトリックス、トランセンデンス、攻殻機動隊などで登場します。人工知能やロボット達が人知を超えて意思を持つようになり、人間に危害を与えるといった意味や悲劇的なストーリーで描写されてきました。

そのため、シンギュラリティは一般的な多くの人にとっては脅威としてイメージされやすく、その一方で、どこか架空の話として捉えられやすい一面があります。

シンギュラリティはいつ起こるか

レイ・カーツワイル博士によると、シンギュラリティは2045年に起こるとしています。人間並みの知能を持つAIが現れるのが2029年ごろで、そこから加速度的に強化が進み2045年頃には人類の何億倍もの知能を持ったAIが登場するとの予測です。

「そもそもシンギュラリティは起こらない」とする人達を除くと、シンギュラリティはいきなり起こるものではなく、AI技術が徐々に進化しつつ起こると予測されています。

例えば、スパコン・人工知能エンジン開発者の斎藤元章氏によると、シンギュラリティが起こる前2030年にはその前段階の「プレシンギュラリティ」が起こると予測しているのです。斎藤氏によると、プレシンギュラリティの時点で社会・経済に大きなインパクトを及ぼすと言います。

プレシンギュラリティが起こると、エネルギー問題が解決され無料に近い形で広く手に入る社会となるため、衣食住の心配がなくなり労働の必要性がなくなる時代が到来すると予想しているのです。さらに、老化の仕組みが明らかになり不老へと進むのではとの予測もたてています。

シンギュラリティの仕組みとは

それでは、実際にシンギュラリティが起こる仕組みとはどのようなものなのでしょうか。
そもそもAIには、大きく分類すると特化型人工知能と汎用人工知能の2種類あります。

特化型人工知能

特化型人工知能とはある特定の用途・目的のために特化した人工知能で、一般的に利用されている現状の人工知能はすべて特化型となります。メモリに格納されたプログラムを実行する形の広く知られたシステムです。
画像認識、音声認識、自動翻訳、専門的な分野での診断、自動返答サービスなどがあります。

特化型人工知能の飛躍に驚かされた事例として記憶に新しいのが、2016年にDeepMind社の「Alpha GO」という人工知能が囲碁のプロ棋士を負かしたという結果です。
さらにアップデートされた人工知能は囲碁のプロを相手に60勝0敗という圧倒的な実力差で勝利した結果も報告されており、囲碁の他将棋やチェスなどにおいて特化型人工知能に勝てる人間の方がいないという状況になってきているのです。

「知性を超える特異点」をどこと捉えるかにもよりますが、上記のゲーム、記憶力、計算力においてAIはすでに人間を超えています。
部分的なシンギュラリティはすでに始まっているとの捉え方もできるでしょう。

汎用人工知能

シンギュラリティが起こるとされているのは、主にこの汎用人工知能によってと考えられています。
汎用人工知能とは、特化型人工知能のように特定の用途に限定されず、まるで人間のように自律的に思考・学習・判断・行動する人工知能のことです。AGI(artificial general intelligence)やGAI(general artificial intelligence)と表現される場合もあります。

汎用人工知能は未だ開発段階で、よく知られている特化型人工知能の仕組みとは全く異なる原理です。ニューロコンピュータと呼ばれる人間の脳にある神経細胞がシナプスを介して伝達する仕組みを模倣します。

チップを作成したりコンピュータシミュレーションで動作を模倣したりすることで、コンピュータ上に神経細胞やシナプスを形成し伝達できる仕組みを実現化しているのです。
2012年の時点でGoogle社が1万6千個のニューロン、10億個のシナプスによるニューロコンピュータの制作に成功しています。

2030年頃には140億個もある人間の神経細胞の仕組みをそのままニューロコンピュータに複製することが可能になると言われており、その後に爆発的にAIが進化することでシンギュラリティは引き起こされるとみられているのです。

シンギュラリティに対して否定的な意見

「シンギュラリティが起きる」と主張する有識者に対して、シンギュラリティは起こらないと主張する有識者も少なくはありません。

シンギュラリティを経てもたらされるとされる内容は、肯定派の中でも割れているため否定的意見についても、「この部分は起きる可能性があるが、こういったことは起きない」という話もあり複雑化しています。ここでは、否定的意見を2つ見てみましょう。

シンギュラリティの実現化に対しての否定的意見

人工知能はあくまでも人間の動作をまねるものであって、人間ならではの五感を使った領域の知能はなかなか超えられないのではとの見解を示す方もいます。

創作、共感、言語化などの領域は単純に真似をしてできるものではなく、人間が意識していない状態でも五感を活用し察知することで成り立つ部分が大きいです。
こういった領域を人工知能が人間のように動作できるようになるまでには、ぎこちなく真似るという作業が繰り返されるようなるのではとの予想があります。

人間の仕事の大部分が置き換わることはありもちろん社会・経済的にインパクトはあるものの、レイ・カーツワイル博士などが提唱しているような人類が想像のつかないような内容で短期的かつ劇的に変化するという意見には否定的立場です。

脅威論に対しての否定的意見

シンギュラリティ=人類を脅かす・人類の終焉をもたらすという意見に対して否定的な意見も多くあります。

人工知能が人間のように生存の要求でもって人間を支配するという考え方ですが、現状の理論で、こういったAIが生まれるはずはないという意見です。
こういった生存への要求というのはあくまでも人間が本来持つ性質であって、機械には持ち得ないとしています。

こういった生存の要求が生まれるためには、AIが自ら改変する知能を保有していなければなりませんが、現状では実現化できる理論は見つかっていないようです。

シンギュラリティによって人類は絶滅危機があるのか

シンギュラリティの内容や否定的な意見について見てきましたが、シンギュラリティによって人類が滅亡する可能性はあるのでしょうか。
これまでの論争をみていくと「滅亡する可能性は全くない」とは言えないと思われます。

それは、「人工知能が心・魂・精神といったものを持ちうるか」という問いに対して、答えが出せない点が大きいのではないでしょうか。心、魂、精神といったものがどういう仕組みでどこにあるのかは未だ解明されていません。

仮にこういった目に見えない心・魂・精神が、物質を介して脳という仕組みとして形づくることによって発生するものだと仮定すると、人間と同じような意思を持った人工知能が誕生する可能性も捨てきれないでしょう。
この場合、シンギュラリティによりまるでSFのように人類をAIの敵とみなして攻撃してくることも想定されます。

また、シンギュラリティが起こっていく過程でも忘れてはならないのが人間の関与。
人工知能を悪用して悪事を働く組織の登場、そして戦争に発展する可能性も懸念されます。シンギュラリティそのものがというよりも、人工知能に関わる人間のリスクにより人類が滅亡するほどの惨事になる可能性も否定できないでしょう。

ただ、まだ汎用人工知能が完成していない段階でこのような議論をするのは、さまざまな可能性が多すぎて時期尚早であるかもしれません。
そのため、シンギュラリティによって人類は絶滅危機があるのかという論争については、全くないとは言えないにとどめておくのがよいのではないでしょうか。

シンギュラリティに対してどのように対処すべきか

このように、シンギュラリティに対しては学識者たちの間で様々な見解が飛び交っています。シンギュラリティが実際にどのようなレベルで現実化するのかも統一的な見解はない状況と言えるでしょう。

ただ、特化型にしても汎用にしても、日々進化を続けて社会・経済における多くの分野で人間に代わって活躍していくのはそう遠くない未来のようです。
ここでは、AIが普及していく中でどのように対処していくべきかを紹介します。

学習し続ける意識を持つ

これまでは、学生時代を重点的に学習する期間として、その後に就職し労働するのが一般的でした。

AIが普及していく生活のなかでは、学習を一時的なものとして捉えずに、生涯学習として就職後も学び続けることが大切です。学び続ける中で、いかにAIを活用して如何に新しいビジネスを創造していけるかが、シンギュラリティ後にも対処していける能力と言えるでしょう。

AIの不得意な分野を伸ばす

AIの不得意な分野として、創造性、協調性、言語化などが挙げられます。

特化型人工知能の分野では、曲や絵の制作が行われるなど創造性の部分でもAIは活躍しているかのように見えますが、まだまだ模倣の範囲。人間的な感性が必要不可欠な協調性や言語化の分野も不得意とされています。

また、汎用人工知能であっても「人間に似せた動作を模倣させる」という範囲内の場合、上記分野は対応が難しいです。
そういったAIの不得意な分野のスキルを伸ばすことで、シンギュラリティ後も活躍できる人材となれるでしょう。

AI普及を前提とした意識を持つ

AIが普及されていく中で重要となるポイントとして、どのような意識を以て対峙するかということがあります。

AIとの共存のキーポイントとなるのが、人類が活躍できる新たな仕組みをいかに創出できるかどうかです。そのために、意識しておきたいのが、新しい物事への好奇心や柔軟性、冒険心です。

日頃からこういった意識を持つように努めることで、AIによる急激な社会変化にも適応できる力を養うことができるでしょう。

企業がシンギュラリティに注目する背景

人間の知能を超えた人工知能が生まれる「シンギュラリティ」は、企業にとっても注目されています。一番には、シンギュラリティもそうですがAIの発達によって必要のない人材や事業、または会社が出てくる可能性があるからでしょう。

2015年に野村総合研究所が発表した報告書によると、創造性や協調性が求められる特定の分野を除いて、約100種の業種が人間と代替される可能性があると示しました。また、10から20年の愛大に国内の労働人口の約49%がAIやロボットで代替可能であると報告しています。例えば、一般事務・配送・清掃・警備・運転・製造業務などです。

約半分もの労働人口が数十年のうちに仕事がなくなるということは、AIを活用する企業にとってはビジネスチャンスかもしれませんが、他の多くの企業にとって存続危機が想定されるでしょう。

また、シンギュラリティに対して大手企業さまざまな取り組みを実施している点も背景としてあります。

2008年IBM社とHRL研究所は、米国の国防総省の出資を得ながら「シナプスプロジェクト」という人間の脳と同等のシステムを構築するプロジェクトをスタートさせました。 2013年の時点で100万個のニューロンと10億個のシナプスを模倣したマルチチップシステムの開発に成功しています。

また、2008年GoogleやNokiaなど大手企業が出資して米国のカルフォルニア州にシンギュラリティを専門に学べるシンギュラリティ大学が創設されました。
このように、大手のIT企業を中心にシンギュラリティへの研究に力が入れられており、企業としてもシンギュラリティは現実的に起こりうるものとして注目が集まるようになっているのです。

シンギュラリティ時代に生き残れる企業とは

それでは実際にシンギュラリティ起こった場合に生き残れる企業とはどのような企業なのでしょうか。

積極的にAI技術を取り入れる

シンギュラリティが起こった場合にその影響度の大小はありますが、積極的にAI技術の動向を押さえて取り入れておくことがキーポイントとなるでしょう。

AIを活用したクラウドシステム、IoT、業務自動化システム(RPA)など企業が活用できるサービスは多岐に渡ります。現状の仕事の中でAIを使って代替できる部分がないか、またAIを活用して新たなビジネスを提供できないか検討しましょう。
「自分の業界はAIとは関係ない」と思っている業種の方でもAIを活用して革新的なビジネスを創出できる可能性が広がります。

また、AI技術の動向をしっかりと追い積極的に取り入れていくことで、シンギュリティが起こる前の準備・インパクトの軽減を図ることが可能でしょう。

エンジニア人材の採用・育成に力を入れる

エンジニア人材の採用・育成に力を入れることも重要です。
積極的にAI技術を取り入れていくためには、しっかりとエンジニア人材を社内に確保・育成していくことが必要と言えるでしょう。

しかし、エンジニア人材への需要は高まる一方で、特に日本は専門的な人材の育成が遅れていると言われています。
そもそも、エンジニア人材を育成する大学機関への国の支援が遅れたことに加えて、採用後の育成にも問題を抱える企業が多いのが現状です。

世界的に普及している欧米のようなジョブ型の雇用システムの場合、仕事内容があらかじめ定められておりジョブホッピングも活発的に行われるためプロフェッショナルが育成されやすいです。一方、日本の従来からある雇用システムではジェネラリストの育成には向いていますが、専門分野の育成には不向きと言われています。

このような状況下で近年は、エンジニア人材にはジョブ型の雇用システムを適用するなど、大手企業を中心に人事制度の変革が進められているのです。
企業を人事制度の改革をはかり、エンジニア人材の採用・育成に力を入れることが求められるでしょう。

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啓蒙活動と学習機会の提供

前述の通り、シンギュラリティは想像の産物と思われやすい側面があります。
ただ、学識者の中でも意見が割れていること、また「何を以てシンギュラリティとするか」という点でさまざまな論争があることから、一概に「ない」と言い切れない状況でしょう。

企業として刻々と変化するAIの動向にしっかりと目を向けながら、正しい情報を社員に提供することも重要。
正しい知識を学び、さまざまな観点での可能性について社員がまずは知ることで「現状のビジネスに活用できないか」「自分はどのような対応が必要か」を考えることにつながります。

社員一人ひとりがAIについて学び考えること自体が、シンギュラリティへの対策となるでしょう。

タスク精査と新たなタスクの創出

企業はAIの普及に伴って、どのような従来のタスクが必要なくなるか精査し、新たに創出できるタスクは何なのか考えていくことが大切でしょう。

AIが普及すると人間の仕事がなくなると危惧する人は多いですが、中には「必要のないタスクが生まれることで、新しいタスクを生み出せる」と考える人もいます。 従来からある仕事の中でAIを活用できるタスクを洗い出し、それによって新しく発生するタスクはないか検討するとよいでしょう。

また、人材を活用できる新たなビジネスを検討するのも手。
現状の社会・経済システムでは、企業は人材によってできあがっていると言っても過言ではありません。AIの活用のみならず、AIを活用した先で人材をどのように活用していくかについても焦点を当てる必要があるでしょう。

シンギュラリティに備えて対策を立てよう

一般的にはシンギュラリティは架空の話ととらえられてきた側面が大きいですが、大手企業でも研究が進んでおり、現実的に起こる可能性がないとは言えません。

実際に起こるのか、また、インパクトの大小について統一的な見解はありませんが、ここ数十年の間にAI技術による社会・経済的インパクトは避けられないものとなっていくでしょう。

企業はAI技術の動向をしっかりと追いながら、時代にマッチしたビジネスを創出する必要性がますます増していきます。自社とは関係のない事ととらえず、AIを上手く活用して積極的に変革を目指しましょう。

「シンギュラリティとは~2045年問題~」

リコージャパン株式会社

「やがて来るシンギュラリティー。今、企業がやるべきことは?」

NTTコムウェア株式会社

「人類文明と人口知能」

NIRA総合研究開発機構

「人工知能と倫理」

内閣府

「迫り来るシンギュラリティと人類の未来」

人工臓器48巻1号

「シンギュラリティ時代の「未来の働き方」を 考えるために必要なスキルと重要資本とは?」

日立製作所

「人工知能は資本主義を終焉させるか」

斎藤元章/井上智洋著

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